日本人なら温泉だろ?④
「ねぇ、みんなもう寝た?」
「どうしたのヒカル?」
「お嬢様お加減でも悪いのですか?」
「侵入の形跡無し・・・大丈夫、なんともないわよ」
「あ、ゴメン、そうじゃなくてさ
その~・・・今年はお世話になりました、来年もよろしくお願いします
って言いたかっただけ・・・おやすみっ」
「くっ、油断した、このタイミングで・・・こちらこそよろしくお願いします、おやすみヒカル」
「お嬢様・・・よろしくお願いします、お休みなさいませ」
「この天然っぷり・・・再就職先は間違いじゃ無かったね
おやすみ、ヒカルお・じょ・う・さ・ま」
「うみゅっ・・・う~ん」
あ、変な声が出ちゃった
「お嬢様、おはようございます」
「あ、おはようユキさん
喉が渇いちゃった、冷たいお茶もらえる?」
「はい、畏まりました」
ユキさんは備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して急須に・・・
水出しってヤツ?
ペットボトルのお茶を使わない所がユキさんらしいね
「お待たせいたしました」
「ありがとう
うわ~これ美味しい、さすがユキさんだね、ありがとう」
「お嬢様、朝食の時間までまだ余裕がございます
お散歩をなさってはいかがですか?
”冬はつとめて”と言うぐらいですからね」
「え~と・・・何それ?」
「枕草子の一節ですが、今の中学校では習わないのでしょうか?」
「う~ん、”春はあけぼの”ぐらいしか覚えてないや・・・」
「失礼しました
冬の早朝ですのでお体が冷えないように短時間でお戻りください
帰られましたら露天風呂で温まるのも良いかもしれませんね」
「そうだね、じゃあちょっと行ってくるね
あ、美優は爆睡中か・・・置いて行こうかな?」
「美優ちゃんはかまいませんが、亜矢さんは連れて行っていただきます
亜矢さん、よろしくお願いします」
「はい、お任せください」
「うわぁ~九州でも冬はやっぱり寒いね
ハーーーーッ
ほら、息が白いよ」
「このあたりは温泉の地熱で多少は暖かいハズだけど
やっぱり冬だから、寒いものは寒いわよね~」
「でも、時間が早すぎて誰もいないね」
「風情を楽しむついでにお腹を空かせるだけでしょ?
それに護衛としては人混みに比べたら楽だし・・・」
「そうだよね、あまり出歩くのも・・・
ほっぺも冷えてきたし戻ろうか?」
「はい」
「アヤさんも冷えたでしょ?戻ったら一緒に露天風呂に入ろうよ」
「!!・・・よっしゃぁぁあああー念願の一緒にお風呂だああぁぁ~」
あ、アヤさん、今日も声に出てますね
でも、慣れってスゴイね
ボクも女の人と一緒にお風呂に入るのに抵抗が無くなってる
体に心が適合していくものなんだろうか?
それともボクは大人になる前に女の子の体になったからかな?
・・・う~ん
考えても分からないよね
なるようになる・・・かな?




