おじいちゃんとデートなのです⑧
グルメ回とみせておいて・・・
「こちらは、丹波産のマツタケの土瓶蒸しでございます
俗に”香りマツタケ味シメジ”と言われるほどの香りをお楽しみください」
「ヒカル、この場合の味シメジと言われるシメジは一般に食べられているシメジでは無いんだ
一般に食べられているシメジはブナシメジという種類で
マツタケより味が良いとされるシメジは本シメジといって、希少なのだ」
「こちらは、比内地鶏のセセリ、鹿児島産黒豚のロース、伊賀牛のハラミでございます
陶板焼きでお召し上がり下さい」
「よく、比内鶏の○○などと宣伝されているが、正しくは比内地鶏だ
比内鶏は保護対象だから食べたら捕まるぞ
伊賀牛は生産量が少なく、ほとんどを地元で消費される希少な肉だ
都内で食べられる店は片手で数えられるぐらいだな」
「ヘェ〜、ボクはお肉って言ったら松阪牛しか知らなかったよ」
「お嬢様、失礼ながら、"まつざかぎゅう"ではございません
"まつさかうし"が正しい名称でございます」
「え?そうなの?テレビとかでも"まつざかぎゅう"って言ってるからてっきり・・・」
「それは、番組制作者のレベルが低すぎるな
人名や地名は間違えてはいかん、相手に失礼だからな」
「人名って言ったら、女優さんとかデパートはまつざかじゃなかったっけ?」
「字が違うのよ、松坂は"つちへん"で松阪は"こざとへん"よ
坂はさかともざかとも読めるけど、阪はさかとしか読まないのよ
時代によって変わる場合もあるのよね
たとえば、豊臣秀吉が建てた城は大坂城だし、大坂夏の陣は"つちへん"だけど
土に反るでは縁起が悪いからって事で江戸時代に阪に変えたのよ」
「こちらは伊豆産の伊勢海老の活け造りでございます」
「海産物は水揚げされた港で産地が分類されるのだ
たとえ同じ漁場で獲れても別々の港で水揚げされれば、産地は別になる
極端な事を言うと、値段まで変わる
伊勢海老は伊勢で獲ったものでなくても伊勢海老だな
都が京都にあった時代、伊勢海老は伊勢湾で獲れた物しか入らなかったのだろうな
時間があれば色々な物の名前の語源を調べてみなさい
そうやって得た知識は詰め込んだ知識に比べて、身になりやすいぞ
今日覚えた知識は地理や歴史の授業で習うよりも、スッと頭に入って行くだろう?」
「そう言えば、簡単に覚えちゃった
社会科はこれでバッチリだね」
「ヒカル・・・全部の事柄に、この覚え方があるワケじゃ無いんだけど」
あ
"あ"じゃないや
グッドアイデアだとおもったんだけどなぁ
ウンチク回だった件




