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あなたは求められていない

適していない

 期待が外れたことは、それはそれとして。マジでクッソ不味いなこれ。

 反応に近い涙を飲み込み、コップの中身を飲み干す。

「意外だったかな?」

 ウサミが空のコップを持ったまま、俺から少し離れた場所で空を仰いでいた。

「この世界にも割と普通に、君のよく知る天空が存在していることに」

 そうなのである、俺はもう地下にいない。ここは地上だ。

「あれは、偽物って訳ではありませんよね」

 とりあえず水分を補給できたので、分かりにくい皮肉を言う余裕が出来た。ウサミは顎を擦りながら笑う。

「あんなすごい偽物を作れたら、それこそ楽園を目指す必要が消滅するな」

 彼は笑みを引きずったまま言葉を続行する。

「散々楽園だ何だと重要そうに伏線を張った割には、実際ただの地面の上だったから、それこそ君にとっては期待外れだっただろうね」

「そうでしょうか」

 下手に変なことを言うとまた後悔しそうなので、最小限の返事だけに抑えておく。ウサミはどこか、建造物ででこぼこの地平線を見つめる。

「派手な名称がつけられているけれど、君たちにとっては普通の光景なんだよね。何だっけ?アースだっけ?地面の球って言うんだろ、面白いよね」

「うーん、まあ言うなればそう言うことになりますね」

 こうして改めて言われると、妙に違和感があるな。しかしながら、

「よく知ってますねそんな、あるかも判らない異世界の事なんて」

 俺が言うべき台詞ではないと遅れて理解した。

「うん?ああ、若い頃の友達でそういうことに詳しい人が居たんだ」

 ウサミも気まずそうに話題を逸らそうとした。

「念のため確認しておくけれど、君は今自分が何処にいるか理解しているかい?」

「それは、地上でしょう?」

 真正直な回答にウサミは引いていた笑みを取り戻す。

「妖獣の操縦によって疲弊していた君のために、より正確な説明をここでしておこうか。ここはバルエイス共同保護区が保有する地上生産所の一つだ」

「地上生産所って、どういう役割があるんですか」

「現在の魔法および科学力では補えない、区民に必要な生活資源を補給、或いは生産するために。というのが一応の役割だ。様々な種類の生産所が設置され、日々区民の生活を支えているのさ」

「こんな危ない所で?」

 脳裏に怪物の丸い背中が浮かぶ。ウサミは待ってましたと言わんばかりに語気を強くした。

「そう、地上は地下とは比べ物にならないほど危険だ。肉体的にも精神的にも頑強でなくてはいけない。だからここではバルエイス内でも身体能力が高い種族で、尚且つ個人の能力が高い人材が求められる。つまり僕のような病弱で軟弱な人材はお断りってことさ」

「なんか、大変っすね」

 異様に真剣な彼の様子に、俺は不気味さを覚えた。話題を変えてみる。

「あの、あの、ちなみにここの、えっと第7生産所では何を作っているんすか?」

「ん?えーと確か…」

 ウサミはすぐに緩やかな口調に戻った。

「ここでは畜産物を生産しているね。家畜を管理している、例えば豚だったり、もしくは山羊とか」

出来ないことをやりたくなってしまいます。

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