再会
あれから3ヶ月。
久々の……。
今日は久し振りにたっくんに会える。彼が引っ越して3ヶ月、こんなに長い間、顔を見ないなんてはじめて。相変わらずスマホでの読書デートはしているけれど、やっぱり同じ空間で、同じ空気を吸って、同じ時間を過ごすのとは少し違う。
たっくんはバイトを頑張って、あと貯金もはたいて念願のバイクを買ったみたい。免許も取って大はしゃぎしてたな。でも私はちょっと心配。安全運転してほしい。
いつもの『見晴らしの丘』で待ち合わせして、背中合わせの読書デート。今からワクワクしている。
まず出発前にたっくんから電話がかかってくる。それから同時に家を出て、私が先に『見晴らしの丘』で待ってる……。
なんか、今から緊張してきた。
何を着ていこうか散々迷ったあげく、襟元にレースがあしらわれた白の長袖ブラウスに、エンジに軽く白を混ぜたような色合いの、そう小豆にホイップクリームを少し混ぜたような色味で、膝まであるフレアスカート。
初秋に相応しい色合いにまとまったんじゃないかな、と自分では案外気に入っている。
少し大人っぽい服装に、たっくんはなんて言ってくれるかな。
妙にそわそわしながら、部屋の中を行ったり来たりしている自分に気づき、ちょっとだけ笑っちゃった。
そんなことをしていると、お待ちかねの着信音が鳴る。
急いでスマホを手に取った。
「もしもし、たっくん?」
『ああ、彩葉。今からそっちに向かうよ。急いで行くから『見晴らしの丘』で待っててくれ。早く会いたいよ』
「たっくん、私も早く会いたい……。でも、急がなくてもいいよ。時間はいっぱいあるんだから」
『解ってるよ。安全運転でゆっくり向かうよ。彩葉、大好きだ。いつもお前のこと想ってる』
「私もたっくんが大好き。運転気をつけて。私、ずっと待ってるから」
『うん。じゃあ、また後でな』
「じゃあ、また後でね」
電話を切ると、ひとつ大きく深呼吸をする。
もうすぐ会える。やっと会える。
逸る気持ちを抑えつつ、身支度を整える。
ゆっくり、ゆっくり。
そうして20分は経っただろうか。
お気に入りの本を持って、たっくんと会えるまでのドキドキ感を楽しむように、ゆっくりと時間をかけて『見晴らしの丘』まで歩いた。
見慣れた風景もすっかり秋の装いに変わり、少しもの悲しくも感じたが、恋する乙女には、それさえもロマンティックに思えた。
さあ、『見晴らしの丘』に着いた。辺りを見渡し、大きく深呼吸をする。でも、ドキドキが収まらない。それが、坂道を上ってきたせいなのか、愛しい人との対面を間近に控えているせいなのか。
お読み下さりありがとうございました。
次話「静かな時間」もよろしくお願いします!




