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試合終了

 バシン! 


「ぐわっ!」


 バシン!


「うわぁー!」


 バシン!


「なんのぉ! グハッァ!」


 ……俺がサーブをしてからこの様な光景が繰り返されている。

 真面目にサーブを打ってはいるけど、その内ミスるだろうと思っていたのだが、今の所順調にサーブが入り続けている。

 そして、とうとうマッチポイントになってしまった。

 流石にこんな試合は盛り上がらないだろうと思ったが、そんな心配を他所に会場は盛り上がっていた。


 ちなみに盛り上がる箇所は、男子が無慈悲に倒される所や、それでも諦めずに立ち上がって頑張る所、そして一番盛り上がる所は俺がサーブを打つためにジャンプする場面である。

 ……ジャンプしてボールを打つ時に体操服が軽く捲れてへそが見えるからである。それに気付き、一度服をキチンとズボンに入れてみたら、会場中から失意の声が聞こえてきたので、しょうがないので上着は外に出している。


 女子生徒(こいつら)バレーの楽しみかた絶対間違ってる……。


 しかし二組の連中は、サーブを受ける度に大袈裟に叫びながら転がっていくな。

 俺のサーブは決して人外染みた凄い物では無い。

 強いて言うなら素人にしては上手いサーブと言うだけの物である。なのにアイツラの反応は何なんだ! まるで俺がおかしいみたいじゃないか! 全くもって心外である。


 そして今もコートに手を打ち付け悔しがっている。


「クソッ! 何で取れないんだ!」


 本当に何ででしょうね……。


「諦めるな! まだ負けた訳じゃない!」

「そうだ! まだまだこれからだ、今度こそ暴君のサーブを取り逆転するぞ!」


 その言葉に励まされたのか、二組から"オオッ!"と気合の入った声が上がった。


 暴君って言うな……。


 そんな気合十分な二組に嘲笑の声を描ける者達がいる……。

 言わずもがな一組の生徒である。


「バカだなお前達、点差を見てみろよ」

「そんな事も解らないから、お前達は二組なんだよ」

「この試合で僕達一組との差が解っただろ? 諦めたらどうだい?」


 ……コイツらの言動まるで少年漫画の悪役である。しかもコイツら俺のサーブが始まるまで一進一退の互角の戦いしてた事忘れてるんじゃないだろうな。何故にここまで強気に出られるのかわからない。


 とにかく、試合を始めるか……。

 俺は何時もの如くサーブを打つ。ボールはちょうど選手のいる場所へ向かって行った。


「何時も決まると思うなよ!」


 レシーブをした選手はボールの勢いに負けないようにするためか、ボールが当たった瞬間組んだ手を大きく振り上げた。


 バンッ! と大きな音が鳴り、レシーブをした選手の顔が苦痛に歪むが、ボールは大きく上に上がりネットを越えて来た。


「バカな! 返しただと!」

「あり得ねえ!」


 その光景を見た一組の選手から動揺の声が上がった。


 ……もう何も言うまい。


 俺は心の中でのツッコミを諦め、返ってきたボールの行方を確認する。


 ……しかしコレは。


 高く上がったボールは思ったよりも飛距離を稼いだらしく、サーブを打った俺の所まで来た。


 まぁ、なんだ……、しょうがないよな?

 俺は落ちて来たボールにタイミングを合わせボールをダイレクトで打ち返す。


 そのボールは誰に触れる事無く、二組のコートに突き刺さった。

 一瞬の静寂の後、試合終了の笛が鳴り。会場からは拍手が鳴り響いた。


「秦野君は最強だー!」

「二組の男子も良く立ち上がったよねー」

「傷付いた所があったら治療するから私の所へ来てねー、うん別にいやらしい事なんかしないよ。ただ私保健委員だからだよ、本当だよ?」

「一組も二組も頑張った、感動した!」


 等と観客は意味不明な事を口走っており……。

 では無く、楽しめたようで何よりだ。


 しかし良い試合だっただけではすまない人達も居るのだ。

 俺はその人達、……二組の生徒達に目を向ける。そこには負けて悔しがっている二組の男子だけでは無く一組の男子も居た。当然の事ながら健闘を称えあっているのではなく、敗者を更に痛めつけているのだ。


「これでお前達もわかっただろう? 俺達一組との差が」

「二度と生意気な口を聞くなよ負け犬どもが」

「クソッ! 一回勝っただけで偉そうにしやがって……」


 二組の男子の言うとおりで、ぐうの音もでない正論である。


「一回でも勝ちは勝ちだろ? これまでの事を素直に謝れば許してやるよ」

「フン、俺達はお前達に負けてない!」

「何をおかしな事を……」

「あれを見ろ!」


 そう言って二組の男子が指をさした。

 その先には、スコアボードがあり一組の勝利を示している。

 一組の男子陣は首をかしげてその二組の男子を見た。


「お前眼がおかしくなったのか? ちゃんと俺達の勝利を示してるじゃないか?」


 その言葉を聞いてその二組の男子は"フッ"と鼻で笑った。


「あれを見てもまだ気付かないのか? やっぱり一組も大した事がないな」

「なんだと!」

「確かに! あれは俺達の負けを示している。だが俺達は一組に負けたんじゃない! 暴君、秦野琥珀に負けたんだ! その証拠にポイントのほとんどが秦野によるものだ! それ以外は互角……いや、俺達の方が勝っていたと言っても過言では無い!」


 その言葉に、他の二組の生徒も追従する。


「そうだ! 一組と言っても所詮秦野に頼りっきりじゃないか!」

「秦野抜きで戦ったら負けるもんね……、いやわかってるから言い訳しないで良いよ」


 その言葉にプライドの高い一組男子は簡単に乗せられる。


「……どうやら、徹底的に身の程をわきまえさせる必要が有りそうだな」

「ああ、もう一回勝負だ! 秦野お前はでなくて良いぞ!」


 えっ、お前達もう一回するの? でも、大会だし進行予定とかあるだろうから無理じゃないか? そう思い、俺は審判をしていた教師へ目を向けると、教師は良い笑顔でサムズアップを返してくれた。


 ……どうやら大丈夫らしい。


 再試合か……、あれ? けっこう面白そうじゃないか……。

 でも俺は女子の応援に行くけどな!

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