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驚異の攻撃

 ネットの向こうの男子は真剣な顔でボールの行方を追っている。だがその前に俺の疑問に答えろやゴラァ! と言ってやりたいと思うのは間違ってないはずだ……。第一、王様とか思っているのはコイツだけかも知れないからな! うん、他の人はそんな事思って無いはずだし、……多分。


「秦野行ったぞ!」


 試合中にまったく関係ないことを考えていた俺の耳にチームメイトからの注意の声が飛んでくる。

 慌ててボールの位置を確認すると良い具合の位置にボールが飛んでいる。

 チラリと先程の男子を確認すると、いかにも”来い! どんなボールでも止めてやる”とでも言うような眼でこちらを見ている。

 ……なんだろう、とてもへこませたくなる顔である。

 いや、違うよ? 別に俺の性格がひん曲がってるとかじゃ無いよ。等と若干の言い訳を心中でしつつポイントを決める為に落ちてくるボールにタイミングを合わせジャンプする。そして最高地点で振り上げた腕を振り抜く。振り抜いた手にはしっかりとした感触を残り、ボールは相手コートに勢いよく叩き込まれる。ドバン! と大きな音を残しボールはテンテンとコートを転がっていく。その瞬間、試合会場である第三体育館は一瞬静まりかえりその後歓声に包まれた!


「スゴーイ! スゴーイ!」

「本当! あれが王様なのね! とても王様だわ!」

「全てを従える絢爛の王様……、あれが一組の秦野琥珀君。良い……」


 観客である女子生徒のハートはガッチリとキャッチしたようで大変結構だと思う。


「秦野ナイス! さすが王様!」

「見てみろよ! 二組の奴ら呆然としてるぜ!」

「ナイス殺人スパイク!」

「ゴクリ……、お前二組の奴らを病院送りにするつもりか?」

「そんな訳あるか! いや、それよりも王さ……」

「秦野琥珀!」


 チームメイトも盛り上がってくれて次々と声を掛けてくれる。しかし王様って共通の認識なのか? 

 その事を聞こうとするとそれを遮るように先程の二組の男子が大声で俺の名前を呼んでくる。


「……なんでしょうかね?」


 さっきからコイツ狙って俺の質問遮ってるんじゃないだろうな?


「なかなかのスパイクだった! 認めるやろう、しかし次も上手くいくと思うなよ! 今度は俺が絶対にブロックしてやる覚えていろ!」

「お、おう。……が、がんばれ」

「クッ、舐めやがって! フン!」


 思わず挑発するような言葉を返してしまったが、別段そんな気は無い。

 ……でも一言いわせて貰うなら、おまえボールがコートにつく前にジャンプしないとブロック出来ないぞ……。


「あれが男と男のライバル関係ってヤツね! ステキ!」

「ああっ! 写真オーケイだったら……!」


 …………まぁ良いか。


 しかし、その後は俺の所へボールが飛んでくる事が無く、一組と二組の試合は白熱したものとなっていった。


「……さすが一組と言うべきでしょうね」

「ああ、一筋縄じゃいかないな。しかも次のサーブはアイツだ……」

「…………驚異」

「ですね、先程のスパイクを見る限りサーブも強烈でしょう」

「あいつは俺たち二組を徹底的に潰す気なんだろうよ、クソ!」

「反逆する者は許さない……、と言うことでしょうかね」

「暴君」

「ああ、でも俺たちはアイツを倒してみせる! だろ!」

「その通りだ! みんな気合いを入れましょう!」


 …………なんか言いたい放題言われてるけど、全部言いがかりである。こいつら全員風評被害で訴えてやりたい! しかし、観客の女子生徒は”男達の友情って素敵”と盛り上がってる。これも盛り上がる材料なのか……。


 でも、サーブか。どうするか……。いや、普通に打てば良いだけなのだが、そうすると俺のサーブだけで試合が終わりそうだ、しかも嫌な噂も追加されそうな気もする。しかし手を抜いてみんなみたいに下からサーブするのはスポーツマンシップの精神としてどうなのか……。いやまぁ、風評被害をまき散らす二組の奴らを痛い眼に合わせたいと言う気持ちもなきにしもあらずではあるが、特にあのリーダーっぽい男子生徒にはボールをぶち当てたい。


 ……いや、冗談ですよ? 俺はスポーツマンシップに則った男だから! そんな、ねぇ……。


「秦野! 殺人スパイクの次は殺人サーブをお見舞いしてやれ!」


 チームメイトから物騒な檄が飛んできた。……よし! やっぱり手を抜くのは良くないな。

 俺は後ろに下がり持っていたボールを少し前方に投げ、タイミングを合わせ打ち出す!

 バシンと良い音を出し相手コートに向かう。

 おお、思いの外上手く打てたな、でもボールは相手がいる場所に行った。

 取られるかと思い見ていると、相手選手は気合い十分にボールに向かいそのまま顔面にボールを受けた。


 ”み、水島ー!”


 二組のチームから絶叫があがる。


「大丈夫か水島!」

「グゥ……ああ、なんとか。でもやはり暴君と呼ばれるだけの事はある。秦野は狙って来てるぞ、俺たちを潰すきだ……」

「クソッ! 卑怯な!」


 言いがかりも甚だしい! 暴君ってお前等が呼んだんじゃん! 

 しかもチームメイトからはさすが鬼畜と言わんばかりのなんとも言えない顔で見られてるし! 

 どうすれば正解なんだよ! ……でもちょっとスカッとした事は内緒である。


「ああっ、クールに敵を仕留めていく王様って良いわ……」

「ちょーくーる」

「何故写真がダメなのか!」


 …………さっきから薄々感じてたけど、女子生徒(アイツ等)って男だったらなんでも良いんじゃ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤字報告です。 恐らく「認めてやろう」というセリフが「認めるやろう」になっております。
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