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体育大会

「はいっ! みんな静かに聞いて。もうみんな知っていると思うけど、今度体育大会が開催されます。今日のホームルームは各種目にでる選手を決めて行くのでみんな真剣に考えてね!」


 教壇には詩乃さんが立っており今日のホームルームの進行をしている。

 まぁ、それも詩乃さんはこのクラスの委員長を務めているから当然の事である。詩乃さんは四大貴族の一角、東華院の御令嬢であり、本人も明るい性格で何処か人を惹きつけるカリスマを持っているような人である。だからみんなに好かれているし、クラス会議などでも詩乃さんの進行ならスムーズに進むのだが……。

 何故か今回の議題に関してはクラスのみんなの雰囲気がいつもと違い、気迫があると言うか真剣さが段違いな気がする。

 たかだか体育大会の出場種目を決めるだけなのに。


 そんな俺の疑問に答えるように詩乃さんが話を続ける。


「みんな、噂は聞いている? もしかして聞いていない人も居るかな? その人達は何でたかが体育大会で真剣にって思ってるかも知れないけど…………」


 そこで詩乃さんは一旦話を切り、間を開けてから答えを言った。


「負けたらクラスの入れ替えが起きます」


 詩乃さんの声が教室に響くと、何処からかゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。

 ……でも俺は、というか男は関係ないなコレ。

 うん、でも周りが思った以上に真剣だから神妙な顔をしておこう……。


「ねぇ、その噂は聞いたけどそれって本当の事なの?」

「うん、私も疑問に思ったから調べたけど本当みたいだね。もし負けたらクラスが入れ替わる……、と言ってもずっとと言う訳では無くて一週間ほどみたいだけどね」

「そう、なの……、でもずっとじゃ無くて良かった……」


 質問をしたのは元祖委員長の三島さんでほのかに否定して欲しい気持ちが入った声色だったが、新委員長の詩乃さんの答えはその願望を真っ向から否定するものだった。まぁ三島さんの弱気な心はしょうがないと言えるだろう。なぜならここ絢爛高校にもスポーツ特待生と言うものがいるからである。彼女達は他の生徒達と違い各々の競技においての成績で所属するクラスが決まるのである。初っぱなの一年のこの時期は大体が真ん中編のクラスの所属になっているはずだ。そこから試合や大会などで良い成績を残し上のクラスに上がっていくシステムになっているらしい。もっとも彼女たちもテストで良い点を取れば上のクラスに行くことは可能だ。


 つまり体育大会みたいな物があれば当然の如く彼女達の独壇場と言えるだろう。

 しかし、さすがこの国のトップに君臨する貴族である東華院はプライドが高い。


「みんな! 確かにスポーツ特待生は強いけど勝負はまだ決まって無いよ! 易々と負けを認めて良いの! 私は認めない! 脳筋どもにこのクラスを渡すなんて絶対に嫌だ! だから頑張って勝とうよ!」


 そう言い、既に敗戦ムードが漂っていたクラスのみんなを鼓舞した。

 ひどい言いぐさである。


「私も運動には自信があるし、柚香だってすごいんだから!」

「うん、私も頑張るよ」


 もう一人の四大貴族がかわいらしく決意表明した。

 どうやら四大貴族はハイスペックらしい……、勉強できて顔が良い、そこに金持ちにと家柄を加えさらに運動神経まで乗せるのか……、なんて格差だちくしょう。

 しかし、詩乃さんの激が聞いたのかみんなの顔に闘志が戻ってきた。


「そうですわ! 私も野球なら自信があります! 特待生なんか蹴散らして差し上げますわ! ……野球って種目にあるよね?」


 俺の中ではポンコツの印象が強い舞澄さんが安定しない言葉づかいで、


「私も簡単に負けるつもりはありませんよ?」


 運動能力は絶対に高いと思われる修羅の三枝さんもおしとやかに、


「美羽も足とかはやいよー」


 ロリッ子の八千草さんのあざとくポーズを決めながら、


「わ、私も……、うん頑張る!」


 先程、弱音を吐いていた三島さんもそれぞれ勝利の為の声を挙げた。

 それに続いて他の生徒達も次々に声を挙げていく。どうやらみんなガチで勝利を目指すらしい。

 今、このクラスの女子はみんなが共通の目的に一丸と成っている。

 大変素晴らしい。


 ……でも、おそらく学校としてはスポーツ特待生に勝って欲しいんじゃないかと思う。

 言い方は悪いが、一週間ほど質の良い餌、この場合俺たち男子だけど……、を与えてこれから始まる大会にやる気を持たせる、……そう言う感じの事を考えていそうな気がする。

 しかし、いくらやる気を出したとしても一般クラスの生徒がスポーツの特待生として入って来た生徒とスポーツで対決しても勝ちを拾うのは困難だと思うのだが、……思うのだがなぜだろう、このクラスの子達を見ているとやりそうな気がしてくるから恐ろしい。


 みんなが気合いが入った顔で出場種目を決めて行く中、俺は教室でにこやかに会議を見守っていた先生に詳細を聞いてみると。試合の結果でポイントが与えられその総合ポイントで三位までに入ったクラスに入れ替えの権利が与えられるとの事だった。

 つまり、スポーツ特待生のクラスを抜いても上位のクラスと入れ替わる事が出来るらしいので下位のクラスは頑張るらしく上位のクラス、……この場合二組と三組が必死になるらしい。


 なんと言うか弱肉強食と言う言葉が思い起こされる。

 あっ、男子は毎年のほほんとしているらしいです。



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