続・同窓会
ジュースを入れに行った女子達が戻り、同窓会が始まった。
……ようやくな!
みんなワイワイと楽しげに何を歌うか話したり、タッチパネルリモコンを操作し早速曲を入れている子もいる。
「よーし! 最初は私から!」
デンモクを操作していた子の一人が勢いよく席から立ち、前の少し段差がついて高くなっているステージに上がっていく。その子は釣り眼がちの目の下に泣きボクロがある美少女、そう三島さんである。
三島さんはマイクを持つと俺の方へ向くと笑顔を浮かべ、
「最初のこの曲を秦野君へ捧げます!」
そしてビシッィ! と俺を指さして言った。
おぉ……、捧げられた。なんて返答するべきか……。
俺にそう宣言した三島さんはどことなくやってやった! 見たいな顔をしている。
しかしそんな三島さんに周りからブゥブゥとブーイングが起こる。
しかし三島さんは気にした様子も見せずニコニコ笑いながら言う。
「こう言うのは早い物勝ちなのよ」
その言葉を聞いた他の女子達は一様にクッ……! と悔しそうな表情を浮かべる。
……みんな楽しそうだな。俺はそんなことを思いながら三島さんに言葉を返す。
「楽しみにしてるね」
「期待してて」
どうやら相当歌に自信があるのか不敵に微笑んでいる。
もしかして私の歌声でときめかせてやるぜ! とか思っているのかも知れない……。
……いや、まさかな。
俺は三島さんの不敵な顔を見て、少し悪戯心が湧いてきた。
だから少しだけご褒美を付け加えることにした。
「……もし俺を感心させる程の歌を歌えたら俺の膝の上に一分間乗らしてあ・げ・る」
少しだけ色っぽい感じで言って見たがどうだろうか? 若干カマ臭い気がしないでも無いが……、そんな事を内心で思いながら、俺はステージにいる三島さんを改めて見ると、眼を見開いて呆然としていたが曲が始まるとハッと意識を取り戻して宣言する。
「言ったわね秦野君! 膝の上は私が貰うわ!」
俺の言葉を聞いて周りも唖然としていたが三島さんの宣言を聞いたザワザワしだしてきた。
「秦野君……、本当に乗せるの?」
そう問いかけてきたのは三島さんの隣に座っている大井さんである。
「うん。歌が上手かったらね」
「そう……、そうなんだ」
その後少し考え込む。
「それって他の子……、例えば私が歌って上手かっても乗れるのかな? 膝の上」
コイツ乗る気だ! いや別に良いんだが……。
「うん、良いよ。今日は同窓会だから少しサービス」
「ちょ、ちょっと秦野君! それは少しサービス過剰じゃ無いかな!」
俺の言葉を隣で聞いていたらしい前頭が口を挟んでくる。
「まぁ良いんじゃ無い今日ぐらい」
「そんなぁ~」
なんか前頭が情けない声をだしている、そんな前頭は放っておいて大井さんを見るとリモコンを無言で操作していた。行動がとても早い……。
他の女子もこのやり取りを聞いていたらしく、複数あるリモコンの奪い合いが静かに行われていた。
みんなやる気満々である。
おっと……、三島さんの歌を聴かなければ、俺はちょっとした歌の審査員の様な気分で歌を聴く。
「あなたを~何時まーでもー見つめーていーるわ~」
結論から言えばステージで身体をリズムに乗せて軽く踊りながら歌っている三島さんの歌唱力は高かった。伸びの部分でビブラートを入れたりしてる……、絶対一人カラオケで練習してるだろうと感じる程だ。
「ずぅっと~ずぅっと~」
そしてその歌も終わる。三島さんは俺の方へ”どうだ!”と言う顔を作る。
「ん~……」
俺の答えを待つように周りが静寂に包まれる。
………………
ごくりと誰かが喉を鳴らす音が聞こえた。
「合格!」
「やったーーーー!」
ぉぉぉおおおおおお!!!!!!
部屋の中で歓声が轟く。その発生原因の三島さんは大きくガッツポーズを決めていた。
その眼からはキラリと光が見える。
泣く程なのか! ちょっとした悪戯心だったのにここまで喜ばれるか……、いや凄く喜ばれるとは思ってたけど泣くほどとは思っていなかったんだ、うん。
とは言え何時までも感傷に浸らせておくわけにもいかない。
「三島さーん、何時までもこないんだったら無しにするよー」
「ダメーー!」
三島さんは一秒でも無駄に出来ないと急いでこちらに寄ってくる。
その足取りがとても軽やかなのはこれから始まる幸運を思ってのことだろう。
しかし、いざ俺の前に来るとその勢いは急激に無くなり顔を赤くしてモジモジとしている。
「ほ、本当にいいの?」
「うん、良いよ」
「後で訴えるとか言わない?」
どんだけ信用無いんだよ! 高校でも同じクラスなのに!
しかし今世ではそう言う事も大いにあるので声には出さない。
変わりに少し意地悪な顔をして
「じゃあ止める? 滅多にこんな事無いと思うけど」
「そ、それは……、そうだけど」
三島さんがヘタレているのを見てチャンスと思ったのか他の子達が声をあげる。
「じゃあ私が……」
「いやいや、ここは私が」
「あいや、待たれい。ここは私の出番じゃないか?」
……今、武士がいたような。
そしてそれらの声に続くように次々と立候補が上がる。
ここで”どうぞどうぞ”と出たら有名なネタになるのだが、コイツ等絶対に言わないだろうな……。
「いや! 私が座るし!」
三島さんは次々あがる声に焦った様に言い、少し逡巡した後に”エイッ!”と俺の膝に乗ってきた。
そして俺の膝には三島さんの柔らかなお尻の感触が伝わり、なんだかいけないことをしている様な気分になってくる。だって俺は今、女子高生を膝の上に乗せているのだから!
……断じてエロ親父では無い。




