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同窓会開始

 前頭から臭いと言われ、消臭スプレーを出会い頭に浴びせられた不憫な少女、三島百合……。彼女は今地面に両手を突き項垂れている。そして、その横に彼女をそんな状態に追いやった前頭がまったく! 気にしてない様子で消臭スプレーをカバンに戻していた。


 恐ろしいヤツである。眼中に入れていない。

 しかし、そうしかしなのだ……! この状況を俺は好転させる事ができる!


 俺は項垂れている三島さんの側に行き、三島さんの目線の位置が同じになるように腰をおろす。そして、優しく語りかける。


「三島さん……」


 俺の声に反応し、三島さんはゆっくりと顔をあげる。

 他のクラスメイトも俺の行動に注目しており、静まりかえっている。そんなに注目をされると緊張してくる。しかしここで噛んだりしたら決まらないのでゆっくりとトチらない様に、なおかつ安心させる様な声で話しかける。


「大丈夫だよ、全然臭くなんて無いから」


 ……自分で言っていてもっと良い言い回しは無かったのかとも思うがフォローの言葉を三島さんに掛ける。


「で、でも前頭くんがく、臭いって……」

「前頭は男子校に通ってるから女性の香りに少し弱いんだよ」

「……本当? 私臭くない?」

「本当だよ……」


 俺はその言葉の後に、三島さんの首筋にスッと顔を寄せる。


「柑橘系の香りがする香水をつけてきてるんだね、爽やかな感じがでとても良い香りだよ」


 三島さんは俺に自分の体臭を嗅がれたせいか顔が真っ赤に染まっている。


「えと、そ、その……、秦野くんに気に入って貰えたら、う、嬉しい……」


 三島さんは真っ赤になった顔を伏せて小さな声でそう呟いた。

 中々可愛い反応である。

 そんな三島さんの反応を見ているとチッ! と舌打ちが聞こえてくる。その舌打ちをした人物は当然の如く前頭その人である。

 そしてそれ以外にもギリギリと歯ぎしりをする様な音が聞こえてくる。俺はなんの音だと思いながら周囲を確認して音の発生場所を認めた。その場所とは元クラスメイトが集まっていた所だ。

 更に付け加えると歯ぎしりの様な……、では無く歯ぎしりその物であった。

 一つ一つの音が小さくても集まると大きな音に成るんだなぁ……、と思わず感心してしまった。

 そして、そんな彼女達から話声が聞こえてくる。


「くっ……! 三島のリア充め!」

「絢爛に行くとあんなご褒美があるのか!」

「私、今なら嫉妬で呪いを発動できるかも……」


 三島さんにもその怨嗟が聞こえたらしく急いで立ち上がり、ささっと服の乱れを直し明らかにひきつった笑顔で話しかけて来た。


「えっと……、もう皆集まってるから中に入りましょうか?」

「そうだね、皆待ってるみたいだし」


 俺は不穏な空気を醸し出してる女子一団を見て答える。


「ふん! 早く案内してよね」


 三島さんの言葉を聞いて前頭もぷりぷり怒りながら返事をする。

 しかし前頭は何を怒ってるんだ……。しかもどことなくツンデレ風味が漂った怒りかたで……。

 コイツもしかして萌えキャラ狙ってるのか? 止めときなさい需要ないか……、んんっ! いや需要はあるのか? 難しいなどっちだ……。まぁ前頭は素の態度だろうけどな! 等と俺が前頭のキャラについて悩んでいる内に会場となる部屋についた。


 部屋は大きく豪華な装いだ。大きな部屋だったがカラオケの機材は一台だけだった。まぁ二台あっても一緒に歌ったら混乱するだろうから当たり前だろうが……。

 しかしマイクに関しては四本あり一緒に歌う事も考えられているようだ。


 そして部屋につくと椅子の真ん中に座らされた。右隣には当然前頭が座っている。

 そこで又女子達の中で不穏な空気が流れ出す、誰が男子の横に座るのかと言うことだ。

 部屋の中が重く息苦しい雰囲気で満たされる。例えるならデスゲームが始まり、仲間だった奴らに疑心が生まれ仲違いして最終的に誰も残らない様な感じと言えば良いだろうか……。


 有り体に言えば一触即発だ! おかしいな……、今から始まるのは和やかな同窓会なはずなのに。

 女子達がお互いに牽制して席の事を意識から少し外した時にススッっと一人の女子が俺の横にポスンと腰を下ろした。


「「「「三枝ーーーーー!!!!」」」」


 女子の絶叫が響き渡る。

 ここがカラオケ屋で良かったな騒がしくても大丈夫だ。


 騒ぎの中心はみのりさんである他の女子が放つ怨嗟の叫びをそよ風の様に涼しい顔して受け流している。

 自分が正妻だと言わんばかりの余裕を伺わせている。


「皆さんどうしたんですか? 早く席に座りましょう」


 にこりと笑顔を浮かべて言い放つ。とても良い性格をしていると言えるだろう。

 他の女子達も”くっ!”と悔しそうな顔をしながらも席に着いていく。ちなみに前頭の隣は俺の席が取られた時に素早く動いた女子に確保されていた。


 取り敢えず全員が席に着いた所で、飲み物の注文をしてそれが届いた後に中学校の委員長だった三島さんが始まりの挨拶をした。


「忙しい中同窓会に来てくれてありがとう、長々と挨拶はしません今日はみんなで楽しみましょう! 乾杯!」


 三島さんの乾杯の後にみんなが続いてかんぱーい! グラスを合わせ同窓会が始まった。

 そして誰かが言った。


「じゃあ早速席替えしよっか!」


 始まって一分たってねえよ!

 ふと隣を見るとすごい顔した女子がいた……。

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