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生徒会への返事

 目の前には木製の重厚なドアがある。そしてそのドアには生徒会の文字。

 そう俺は今、生徒会室の前に立っているのである。まぁ特別な理由があるわけでは無い、この前の返事をしに来ただけである。


 しかし、このドアはアレだ、重苦しいことこの上ないな! ノックするのにも緊張する人が居るんじゃ無いか? とはいえノックしなければ始まらないが。


 コンコンコン……と、俺はノックを三回して中の返事を待つ。すると直ぐに”どうぞ”と返事が返ってきた。俺はその返事を聞きドアを開ける。生徒会室のドアはその重厚な姿に似つかわしくない程スムーズに開いた。


 中に入ると会長が一人で仕事をしていたらしく、机に置かれているノートパソコンが開かれていた。

 会長は部屋に入ってきた俺を見て、少し目を見開くと穏やかに微笑んだ。


「やあ、いらっしゃい」

「こんにちは、会長」

「どうやら、この前の話の返事をしに来てくれたみたいだね、じゃあ隣の部屋で話そうか」


 会長はそう言い、座っている席から立ちあがり、俺を隣の部屋へと案内をしてくれた。

 案内された部屋は以前、話をした部屋である。部屋に案内された俺は会長から取り敢えず座って待っていてくれと言われたので、以前と同じ席に着いて待っていることにした。


 ……待つこと数分だろう、会長が戻ってきた。その手にはお盆を持ちその上にカップが二つとスプーン、そしておそらくシュガーポットが乗っているのが見える。会長は紅茶だがと良いながら、カップの一つとスプーンを俺の前に置く。


「砂糖はいくつ要るかな?」

「じゃあ一つ頂けますか」


 会長は、ハイどうぞと良いながら紅茶に一つの角砂糖を落としてくれる。

 俺はありがとうございますと言葉を返し、スプーンでクルクルとかき混ぜる。


「入れ方は適当だが葉は良いものらしいから美味しいと思うよ」


 以前話した時と同じ場所に座った会長は、俺にそう声を掛けて自分の分の砂糖を入れ一口飲んだ。


「良い香りがしますね」


 紅茶から漂ってくる香りに俺がそう言い口をつける。そして会長に美味しいです、と声を掛ける。

 会長はその言葉を聞くと、それは良かったと微笑んでくれる。


「さて、一息ついた所で本題に入ろうか」

「ええ、そうですね」

「では、答えを聞かせてもらえるかな?」

「はい、せっかくお誘い頂いたことですしお受けしたいと思います」


 色々考えたが結果お誘いを受けることにしたのである。

 見習いと言うことだから、主な仕事は雑用だろう。

 しかしこの大きな学校の生徒会ならやりがいはあると思う。よもやブラックなんて事も無いだろうし……。


「そう、それは良かった……」

「良かった?」

「ああ、問題がでてくるとは言え、結局の話部活をすることをやめさせてしまったからね。悪いと思っていたんだ。部活動ではないけれど、生徒会活動もいろんな学年の生徒がいて一緒に活動する事になるから、少しでもそう言った雰囲気を味わって貰えると思ったんだ。せっかく縁があってこの学校に来たんだ好きになって貰いたいしね」


 …………この生徒会長すごい立派な人だ!


 やはり、この学校ぐらいの規模になると高校の生徒会長と言えども一角の人物が選ばれるのだろうか?

 俺が前世で高校生だった時なんか遊ぶことぐらいしか考えていなかったが……。

 今の俺、社会人の経験を持つ俺から見ても感心するほどである。


 …………負けてないよな?


 社会人として立派に働いて俺だが、どうしてだろう? 目の前の高校生に人間としての器で負けているような……。


 いや……、まさか。き、気のせいだよな……。


「どうかしたかい?」


 黙り込んだ俺を不思議に思ったのか会長は質問してくる。


「い、いえ、なんでもありません……」


 とてもじゃないが、高校生に人として負けているなんて言うことは出来ない。……だって俺も高校生だし!

 俺の言葉を聞いた会長は不思議そうにしながら、”そうかい”と言い話を続ける。


「せっかく来てくれたとは言え、今日はもうすることがないんだ」

「そうなんですか?」

「ああ、今月の一大イベントである入学式が終わったしね、少し暇な時期なんだよ。他の役員も今日はみんな帰っているしね」

「会長は先ほどまで仕事をされていたみたいですが?」

「仕事って程のものでもないけどね。何をしていたか見るかい」

「問題なければ是非」


 じゃあこっちへと、先ほどのノートパソコンがある机まで連れて行かれる。


「この学校のホームページのここから学籍IDを入れログインすると、学校の予定や連絡事項が乗っている専用のページへ行くんだけど、知っているかい?」

「はい、最初のオリエンテーションで一通りの使い方は聞いています」

「そう、それでねここには生徒会の一日って題名で活動報告を乗せているんだよ」


 ほらここっ、と確かに画面のある矢印は、生徒会の一日と書いてある場所を指している。会長はそこをクリックしてそのページを開くと、そこには確かに生徒会の活動が……、と言うよりも生徒会の日記と言った方が正しい気もするような内容が載っている。


「まぁ不定期なんだけど、一週間に一度は更新する決まりになっているんだ。今日はこれの更新をしていたんだ」

「……あんまり固い内容じゃ無いんですね?」


 今画面には映っている内容は”今日のお昼の定食が美味しかったおすすめ!”と出ている。


 会長はクスクス笑いながら俺の質問に答える。


「もちろん、キチンとした内容の物も載せるよ。でも普段からそう言った物ばかりでは興味を持って貰えないからね。ちょっとした事も載せているんだよ」


 結構評判良いんだよと会長は微笑みながら言ってくる。

 なるほど……、先ずは興味からか……。


 俺も今度この定食を食べてみよう。




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