表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/313

談笑

 俺の目には三枝さんが笑顔で映っている、……いるのだが、なぜだろう? ちょっと笑って無いように思えるのだが……。


「琥珀さん? みのりですよ?」


 心の中で名前を呼ばなかった事に気がついた! いや、まさかな……、そしていつの間にか名前で呼ばれている……。


「なにか?」

「いえ、なんでもないです……」


 何故か自然と、返事が丁寧語になってしまう。


「ん~? 二人は知り合いだったの?」

「ええ、同じ中学校だったんです、中学では仲良くして頂いてました」


 そうですよね? とこちらに顔を向け同意を求める、三枝さん……


「うん、そうだね……」


 俺は素直に同意しておく、思い出と言えば、お昼ご飯を食べたぐらいしか思い浮かばないが……。


「琥珀さん」

「ん?」

「み・の・り、ですよ」


 何故心の声が聞こえるのか……?

 顔に出ているのかと、思わず手で顔を触ってしまった。


「へ~、そうなんだ。うらやましい……、琥珀君みたいな優しい男の子なんか、絶滅危惧種だよ」

「はい、私もお昼を一緒に食べて貰った事もあります」

「わっ、うらやましいです」


 女子三人で盛り上がっていく、前世では、”女三人よれば姦しい”との言葉があったが、それはこの世界でも通用するらしい。


「えっ、え~と、さえっ……みのりさん、もう部活決めたの?」


 何故か中学での俺の話に、話題を移している三人に割り込んで話を変える。


 ……というか最初はこの話をしていたよな? なんで俺の話になってるんだ?

 中学校では、それ程女子と仲良くはしていなかった筈なのに、話題が尽きない事にも驚く……。

 何故そんなにも俺の事を知っているのか……、それも当然の情報の様に話している事から、中学のクラスメイトにとってはあたりまえの事らしい……。


「あっ、はい。決めました」

「何処に入るんですか?」


 柚香さんが興味深そうに訪ねる。

 すると、みのりさんが微笑みながら答える。


「スーパーアーツ部にしました」

「わぁ、やっぱり人気あるんだね!」

「はい、私、これでも格闘技をしていますので、やはり興味深かったです」

「格闘技されているんですか?」

「はい、小さな頃からしています。スーパーアーツは武器ありですので、ちょうど良かったです」

「武器?」


 みのりさんが格闘技をしているのは知っていたけど、武器を使用する武術をしているのは初耳だ。


「はい、剣術をしているので、私の使用する武器は刀ですね」


 これでも結構強いんですよ、とみのりさんは言う。


 はい、なんとなく雰囲気から分かります。


 そんな話をしていると、結構時間が経ってしまっていたので、そろそろ帰る事にする。


「じゃあ、そろそろ帰ることにするよ」

「あっ、車がもうすぐ来るから、送っていくよ」


 詩乃さんが帰ろうとする俺に、そう提案してくれた。……さすが貴族である。


「いや、大丈夫。電車で帰るから……」


 否、との答えを聞いて、詩乃さんはがっくり肩を落とす。


「そっか~残念、一緒に帰れると思ったのに……」

「無理言っちゃだめだよ、詩乃」


 俺はその姿を見て、少し悪いことをしたかな? という顔をして言葉を掛ける。


「あはは、そんなに落ち込まれるとは思っていなかったよ、ごめんやっぱり送ってもらって良いかな?」


 もちろん演技である。最初からホイホイと付いていくよりも、一回断った事で安い男では無いと印象づけ、その上で落ち込んだ人の気持ちも汲むことが出来る、優しい男だと見せつけたのである。


 ……成功したかわからないが。


「ホント! 嬉しい! 私、男の子と一緒に帰るの初めてだよ!」

「私も嬉しいです。琥珀君が優しい男の子で良かった」


 どうやら二人とも喜んでくれたようだ。……それにしても、こう素直に喜んでくれると、若干悪いことをしている気になってくる。


「みのりも一緒に乗っていく?」


 詩乃さんはみのりさんにも聞いている、いつの間にか名前で呼ぶ程、仲が良くなっている。


「一緒に帰りたいのですが、私はこれから部活の体験入部に参加しようと思っていまして……、申し訳ありません」

「そうですか……、残念です」


 柚香さんが言葉通りの残念そうな顔で言う。

 そういえば、委員長はもう帰ったのかな? いやもう委員長じゃ無いけど……。


「みのりさん、委員長はもう帰ったのかな?」


 俺はみのりさんなら知っていると思い聞いてみる。

 俺の質問に、みのりさんは何処か答えづらそうな顔をしている。


「ねぇ、委員長ってだれかな?」


 俺の言葉に疑問を持ったのだろう、詩乃さんが質問してくる。隣では柚香さんも不思議そうな顔をしていた。


「あぁ、ごめん。三島 百合って言う女の子。その子も中学が同じだったんだ。」

「ああ、なるほど、その子は中学校ではクラス委員長をしてたんですね?」

「うん、それであだ名が委員長だったんだよ」

「あれ? その三島さんってポニテの子?」

「詩乃さん知ってるの?」

「いや、知っているというか、……その子すっごい肩を落として、教室を出て行ったから。気になってたんだよ」

「肩を落として……?」


 ちらりと、みのりさんを見ると、彼女は静かに話し出す。


「確かに今日の彼女は敗北者です……。しかし必ず彼女は立ち上がり戻って来る事でしょう……」


 なんか少年マンガみたいな事を言い出した……。そりょあ、明日も授業があるから来るだろうよ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ