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部活紹介

 お昼も終わり、午後からは大ホールでの、一年生全員が集まっての部活の紹介になる。

 絢爛高校は部活動も盛んで、これから紹介される部活も多いし、ここで紹介されない同好会も数多くある。

 

 面白そうな部活があれば入りたいと思う。

 ちなみに一番人が多いと言われているのは、あの人気スポーツである、スーパーアーツである。

 絢爛にはスーパーアーツを行うための設備があるらしく、入部希望の人が多くいるらしい。

 

 ホールに入り、指定された座席に座ると、横の席にはキャラを作っている疑惑がある、舞澄さんが既に座っていた。

 

「まぁまぁまぁ! 王子様が横の席なんて、とても光栄ですわ!」

 

 どうやら天使から王子様へジョブチェンジしたようだ……。

 

 舞澄さんをじっと見つめる……。

 金色の髪に、お嬢様の定番の巻き髪。見た目はとても派手だ。……しかし、どことなく庶民的と言うか、親しみ安そうな気配が感じられる。

 

 しばらく、見ていると舞澄さんが段々ともじもじ、とし顔も赤くなってきた。

 

「そ……、そんなに見つめられたら、恥ずかしいですわ……」

 

 頬を手で挟みながら、イヤンイヤンと顔を振る。

 

 ……もし、キャラを作っているとしても、せっかく頑張って作っているんだから、指摘しない方が良いよな? 俺はそう結論づける。

 

 しかし、舞澄さんも成金かも知らないが、社長令嬢であることは変わらない。


 ……あれ? そうだよな?

 本人は言っていないけど、このナリで違うとすれば驚くぞ。

 

「ごめん、綺麗な髪だったから見とれてたよ」

 

 俺はそう言い、舞澄さんの髪を一房手に取り、優しく撫でる。

 

 ……少しキザっぽい行為だが、どんな反応が返ってくるか。

 

 ………………あれ? 反応が返って来ない?

 不思議に思い、舞澄さんに話しかける。

 

「舞澄さん?」

 

 呼び掛けるも、反応がない。よくよく顔を見れば、

 煙でも出しそうな程、顔を赤くし放心していた。

 

 ……やりすぎたか?

 

「おーい、舞澄さん戻っておいで」

 

 俺は頬を軽く叩きながら、呼び掛ける。

 その呼び掛けの為か、舞澄さんはハッと気を取り戻した。

 

「ダーリン」

 

 ダーリンじゃねえよ! どんな妄想してやがった!

 言った本人も、自分が何を言ったのかわかったのか、赤い顔をさらに赤くして恥ずかしがっている。

 

 しばらくして、ようやくもとに戻った。そしてコホンと、一つ咳払いをしてこちらに話しかけてくる。

 

「絢爛高校は部活も一杯ありますから、楽しみですわね」

 

 突然の話題転換、どうやらさっきまでのやり取りは

 無かった事にするらしい。

 

「さっきのダーリンって何の……」

「楽しみですわね!」

「何のこ……」

「楽しみですわ~ね!」

 

 どうやら追及されたくないようだ……。

 目には涙も浮かんでいるので、そろそろ止めておこう。

 

 しかし、積極的な割には、こういう事には恥ずかしがるんだな。……あのバラを渡すのもキャラ作りの一環なのかな?


「ごめん、なんでもないよ」


 俺のその言葉に、舞澄さんはフーッと大きく息を吐いた。


「でも確かに一杯あるから、楽しみではあるけどね」

「そうですわよね!」

「舞澄さんは、部活何にするか決めてるの?」

「いえいえ、コレと言っては決めていませんので、体験入部を色々しようかと思っていますの」


 舞澄さんと離している内に、部活紹介の時間が来た。

 壇上に各部活の代表者が出てきて、デモンストレーションをした後に、自分の部活の紹介やアピールポイントを言って降りていく。


 どの部活も楽しそうである。隣の舞澄さんも、ワーとかスゴイとか、素直な反応をいちいち返して居るぐらいだ。これに加えて同好会も多いとなると、何があるのかを知るだけでも、一苦労だろう。


 特に人気があったスーパーアーツ部は、人数が多いので部内でランキング戦などを行っているらしい。そのランキング戦で上位に入ることが出来ると、専用の機械を使用を認められるらしい。なんだか格闘マンガっぽい仕組みである。

 しかし、その機械を使って試合を見ると、ホールから歓声があがり、人気の高さがうかがい知れる。うちのクラスからも、入る人が出てくるだろう。


 ようやく、全ての部活紹介が終わり教室に戻ってきた、後は帰るだけだ。


「授業してないのに、結構疲れたな……」


 そう独り言を聞かれたのか、後ろから話しかけられる。


「本当だねー、私も疲れたよ」

「詩乃さんに柚香さん……」

「琥珀君は何か興味が湧いた部活ありましたか?」

「まだ、わからないかな? なんせ数が多かったから……、二人はどう?」

「私たちもまだだね、でも楽しそうな部活が一杯あったから良かったよ」


 そこに別の声が入ってくる。


「私はもう決めましたよ」

「三枝さん、でしたよね?」

「はい、よろしくお願いします。東華院さんに西華宮さん」

「よろしくね! 詩乃って呼んでくれていいよ」

「宜しくお願いします。私も名前で呼んで下さい」


 二人は笑顔で答える。その笑顔に答えるように、三枝さんも清楚な顔に微笑みを浮かべて答える。


「ありがとうございます。では私の事も、みのりとお呼び下さい」


 もちろん……、と一呼吸おいて三枝さんは俺の方へ向き、


「秦野君もですよ」


 と笑顔で言った。


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