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入学式

 春の暖かい陽気が広がっている。以前までの冷たい空気も今はもう感じない。

 今日の天気は快晴で良い入学式日和である。

 そう今日は高校の入学式である。


「お母さん、用意できた?」

「今行くわ」


 俺は新しい絢爛高校の制服を身に纏い、マリアと二人で母親を待つ。

 俺の服装は、絢爛の制服である白いブラウスに茶色のブレザー、チェックのスカート、そして襟元にはネクタイをしている。

 襟元のネクタイはリボンとの二択だったので、迷わずにネクタイを選んだ。


 ……スカートもズボンと選べたら!

 まぁ、しょうがないのだけど……。

 マリアも一緒に入学式に来るので、今日はメイド服を脱いで、黒のパンツセットのスーツを着ている。


「おまたせ」


 ようやく母親が着た。今日ばかりは普段自宅で見せる残念さは鳴りを潜め、ビシッと決まっている。


 いや、ホント高校生を生んだとは思えない位、若く見えるし凄く綺麗である。

 前世ならこの外見にコロリと騙されて、寄ってくる男は数多くいるだろう……。

 詐欺物件だがな……。いや、稼いでいるからそうとも言えないのか? でも稼ぎで負けていると、ちっぽけな男のプライド傷つくからな。顔でモテて、キャリアで引かれるって具合か? などと考えてしまう。


「どうしたの? 何か変?」


 母親を見て考え込んだせいで、変に思ったのか質問をしてきた。


「いや、別に」

「あっ、もしかして見とれてた? いや~参っちゃうな」

「全然違うから、朝から酔っぱらって無いよね?」

「……琥珀君、私の事をアル中みたく思ってない?」

「…………」

「何か言ってよ!」


 もう、と少し膨れる。

 そんなやり取りをしていると、マリアから声が掛かる。


「そろそろ行きましょう。まだ余裕が有りますが。早く言って良い席を取らなければ」

「そうね、琥珀君の晴れの姿を写真に一杯撮らないと!」

「はい、私も別に趣味でも無いのに、デジタル一眼レフのカメラを購入してしまいました。使い方もバッチリと覚えましたので写真はお任せ下さい」

「素晴らしいわ、マリア。写真はお願いね」

「かしこまりました」


 すこし過剰な話をしていると思われるが、この世界の男子を子供に持つ親は大抵こんなものである。

 これは女子の親もそうで、記念日には必ずと言って良いほど写真に残そうとする。

 学校側もそこの所はわかっているので、撮影スペース等を取っている場合もあるのだ。


「じゃあ、行こうか」

「ええ、戸締まりはきちんとしたし」


 そして、三人で駅へと向かう。


 駅へ向かう道には朝のランニングで寄るあのパン屋、小麦の里が途中にあり、偶然お店の前で掃き掃除している店員さんと会った。

 朝の挨拶をし、今日が入学式だと言うと、それはおめでたいとお祝いの言葉を貰った。それに加え学校のお昼と言えばパンですよね! と言われお昼休みに食べて下さいとパンの詰め合わせた物をくれた。断るのも悪いので有難く頂いたが……、


 入学式は午前中で終わるんだがな。


 まあ、後日頂くとしよう。頂いたパンはマリアへ渡しておく。


 電車に乗っていると入学式に出るのだろう、同じ制服を着た人達を見かける。

 学校に近づくと、段々と人が増えてくる。


 しかしその人達、制服を着ている少女、そしてその母親と思われる女性達も、俺達を見ると、みんな立ち止まり凝視してくる。

 マリアと母親はさも当然と言うていで歩いているが、かなり異様な光景だろう。見るのは良いが立ち止まっての凝視は止めて欲しい。

 凝視している人達もさっさと歩け! 遅れるぞ。

 ……なんで後ろからぞろぞろと付いて来るのか。


 大名行列みたくなってるじゃねえか!


 そして一緒に歩いている二人は、何故これでそのドヤ顔でいられるのか……

 俺が小心者なのか? いや俺は常識人だろう……。おかしいのはこの二人だ。


 まぁ、そんなハプニングがありつつ学校に到着した。

 新しく俺が通う高校、絢爛高校は門からして大きかった。開かれた門から続く道は、満開の桜の木で彩られており、幻想的な風景を描き出していた。まるで今日と言う日を祝福してくれているかの様に。


「じゃあ、私たちは先に式場へ行ってるから」

「うん、分かった」

「良い写真をお撮り致しますので期待していて下さい」

「ほどほどでお願いします」


 俺は教室へ向かわなければならないので、母親達とは一旦ここでお別れである。

 俺は郵送で送られてきた学校の地図と、自分の所属クラスが書いてある用紙を見て教室へ向かう。


 教室への行く途中の景色を見るだけでも広い高校だと言うことがわかる。綺麗に整備された芝生、美しく手入れされ咲き誇っている花に水が踊るように出ている噴水。


 ここの芝生でお昼食べるのも気持ち良さそうだな。

 そんなことを思いながら校舎に入り、地図を確かめながら教室へ向かう。


 俺のクラスは一組だから……、と此所か。


 自分のクラスを見つけ、ドアに手を掛ける瞬間、辺りから……


「やはり一組か……」

「おのれ、次回のクラス分けの時は絶対一組に行ってやる」

「うらやましい!」

「妬ましい!」


 と後ろを付いて来た女子生徒達から声が上がる。


 その声に苦笑しながらドアを開けると。

 その瞬間中にいた生徒達が一斉に顔をこちらに向ける。

 怖いよ!


 一瞬間が開き、次に大歓声が上がる。


「「「「「来たー! 来た来た来た! 来たー!」」」」」


 クラスの全員が綺麗にハモりながら喜びの声を上げる。

 まだ自己紹介もやっていないのにクラスの女子達が仲良くハイタッチや抱き合って喜んでいる。


 その光景を見た俺が言える事は、只一つだけだった……





 もう少し落ち着け……


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