表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/313

お隣様2

 塩を振った海老を網の上に置き焼いていく、ジューと音が鳴り、香ばしい匂いが立ちこめてくる。


「フワー、美味しそうな匂いだねー」


 既に一杯やっている母親が嬉しそうに感想を言う。

 実際に良い匂いが香ってきて食欲をそそる。

 ホタテ貝も焼けてきた所で、少量のバターを乗せ、そして醤油を数滴垂らしていく。

 これまた、香ばしい匂いがこちらも食欲を刺激する。


「そろそろ、良い具合ですね」


 焼き具合を見ていたマリアが宣言する。

 確かに海老の色も良い具合になっており、とても美味しそうである。


「いただきま~す」


 母親が焼けた海老を取り、うれしそうに殻を取り頭からかぶりつく


「おはー、味噌が濃厚! 身もプリプリでうま~い」


 そして、ビールをぐびりと飲む、そしてまた食べる。


「では、鯛飯とお刺身も持って参ります」

「あっ、あとビールも持ってきて」


 母親がついでとばかりに頼む。

 お客さんが居ることを忘れてるんじゃないかと思う態度である。

 お隣だから仲が良いのか?


「菊水さん、こんなに美味しそうな物、本当にありがとうございます」

「ホントホント、ありがとうね」


 改めてお礼を言っておく。

 頂いた海産物はどれも大きくて新鮮な物だった。


「い、いえ、本当気にしないで下さい」

「菊水さんもどんどん食べて下さいね! って菊水さんから頂いた物ですけどね」


 と、少しはにかみ、苦笑したように言ってみる……。


「いや! 本当お望みとあらば毎日でも持ってきます!」

「フフ、それは悪いですよ」


 できれば、肉も持ってきて下さい。高級な奴でお願いします。

 まぁ口には出しませんが……。


「お待たせしました」


 マリアがお盆に鯛飯を炊いていた土鍋と、刺身の盛り合わせを持ってきた」


「さあ、鯛飯も来ましたし、食べましょうか」

「は、はい頂きます」

「マリアももうする事無いなら、一緒に食べよう」

「ありがとうございます、それではご一緒させていただきます」


 マリアは基本的に食事は一緒に取っているが、お客様が居るときは別で取るようにしている、が菊水さんはお隣様だし大丈夫だろう。


「早くしないと、全部お母さんに食べられるからね」

「む、私はそんなに大食いじゃないよ!」

「……網の上に、焼けた海老やホタテが無いが?」

「うん、無くなったから、新しいの置いておいたよ」


 どうだ、と言わんばかりの顔をしているが、お前が食べたんだよな?


 しょうがないので、鯛飯を頂く。

 土鍋に入っている物を見ると、既に身がほぐされていたので、後は盛るだけであったので、菊水さんの分もお茶碗に盛り渡す。


「どうぞ、これぐらいで大丈夫ですか?」

「ひゃあ! 恐縮です」


 そう言って震えながら受け取る。

 何だか、危険物を渡しているみたいである。

 ついでにマリアと母親にも渡す。


「ありがとうございます」

「ありがとー」


 さて、と自分の分も盛り食べ始める。

 お味の方はどうか?


 ……すごく旨い、薄味で炊きあげられた味で、その中に鯛の旨味が凝縮されており、それに加え身の美味しさも加わり、絶品に仕上がっている。


「おいしいな」

「はい、そうですね」

「ほんとにね~」


 マリアも母親も同意の声を出す。

 菊水さんを見ると、こちらも美味しそうに食べている。

 こんなに美味しい物を持ってきてくれた人だ、色々お世話をしてあげよう。ちょうど海老が良い具合に焼けていたので、それを取り菊水さんのお皿においてあげる。

 取るときに母親の箸が伸びてきたが、それを阻止して取った。母親が若干ショックを受けた顔をしていた。


 アンタさっき一杯食べたろうに……


「ありがとうございます」


 お礼を言い海老を食べ始める菊水さんを見て、母親が質問をする。


「菊水さん、今も仕事大変なの?」

「え、ええまぁ……」


 興味深い話題である。謎な人菊水さんの職業が何か凄い行きになる。

 と言うか、母親知ってたのか……


「菊水様はどういったお仕事をされているのでしょうか?」


 マリアも気になったのかそう質問する。


「俺も気になる、何の仕事をしているんですか?」


 俺とマリアの視線に気圧されたのか、少しのけぞりながら言う。


「あの、その、少し小説などを書いていまして……」


 そこに母親が口を挟む。


「すごいのよ~、人気作家なんだから」

「へ~、知ってる奴かな、何て名前ですか?」


 そう言うと、がさごそとポケットをあさりだし、そこから一冊の本を取り出し、こちらに差し出す。

 俺はその本を受け取ると、表紙を確認する、タイトルは『明日を貴方と』俺は知らないな、表紙を見ているとマリアが、あっ……と声をだす。


「マリア知ってるの?」

「知っていると言いますか、私も愛読しております」

「へ~、有名なの?」

「女子なら、誰でも呼んだことがある。それぐらい有名です。既に十年ほど続いております人気作です」

「うわ! 凄い」


 思わず、菊水さんを尊敬の目で見てしまう。

 その目を向けられた菊水さんは、顔を赤くして照れている。


「どんな内容なの?」


 マリアに内容を聞いてみる。


「はい、頑張りやの女の子に、様々な男性が惹かれていき、色々なハプニングが起きていくと言った内容です」


 あれかな? ラブコメの女の子が主人公バージョンか?

 パラパラッと捲ってみて、ちょうど中ぐらいの所を読んでみる。



「お前のことが隙なんだよ!」


 いきなり誤植を見つけてしまったんだが……。

 いや、気にせずに行こう。




「でも、私は……」

「知ってる! 誰のことが好きか決まってないんだろ」

「…………」

「だったら俺のことを忘れられない様にしてやる!」


 武蔵境は三鷹をベッドに押し倒し、その瑞々しい唇を奪う。

 そして、手を服の中に潜り込ませ、三鷹の慎ましい胸を激しく揉んでいく。

 三鷹は武蔵境の手から与えられる刺激に、思わず声を上げてしまう。

 その反応に気を良くしたのか、武蔵境の手は三鷹の秘部へと伸びていく……。





 …………俺はそこまで読むとゆっくり本を閉じる。


 エロ小説じゃねえか!


 そこにマリアの補足が入る。


「毎回、主人公がドキドキの展開に会うのですが、そこが大人気です」


 小学生からおばさんまで幅広い年齢層に人気があります。私も次巻が待ち遠しいです、と本の説明を終える。


 その言葉が嬉しいのか菊水さんは、少しだけ誇らしい顔をしていた。



 えっ! コレ全年齢なの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ