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飄然草  作者: 千賀藤兵衛
第一部 自動的な男
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小指の肉のえぐりかた

 まず、雑巾などの手ごろな大きさの布を水に浸す。

 つぎに、それを細長くたたんで、野球のバットを持つときのように両手で握る。私は左手が右手の上にくる、野球で言うところの左打ちの持ちかたにするのが癖だが、人によっては反対のほうがやりやすいかもしれない。どちらでも好きなほうでやればよい。

 そうやって両手で布を持ったら、両方の手首を力一杯そらす。すると布がよじれ、布に含まれていた水が下に落ちる。

 以上が、布の絞りかたの説明である。表題の「小指の肉のえぐりかた」は、これの応用になる。

 布を握るとき、左手と右手を離さないようにするのがコツである。私の場合でいえば、左手の小指と右手の人差し指がぴったりくっつくようにする。この状態から勢いよく布を絞ると、右手の親指の爪が左手の小指の側面、第二関節のあたりに食い込む。しかも勢いがついているので、しまったと思っても止めることができず、そのまま爪で肉をえぐってしまうのである。

 注意深い性質の人には信じられないかもしれないが、私は実際にこれを何度かやらかした。いちばんひどいときには、五ミリ四方ぐらいの肉をえぐりとってしまった。痛いし、なかなか気持ちの悪いものでもあるが、何よりも自分のドジさに嫌けがさす。また、取れてしまった肉の始末にも少し困った。結局普通に家庭ゴミに出したが、もし近所で何か重大な事件が起こって警察が付近一帯のゴミを調べるようなことがあれば、「この肉片は何だ」とちょっと面倒なことになったかもしれない。


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