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飄然草  作者: 千賀藤兵衛
第九部 さらば単純作業
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アレはどこに行った?

 スマホを操作しながら「お父さんどこ行った?」とつぶやいている人がいたとする。一体どのような事情だろうか。痴呆をきたして徘徊している父親の行方をGPS端末を頼りに探しているところなのではないか、などと想像される。が、実際は案外そうでもなかったりする。

 私の場合は……というのも冒頭の人物は私なのだが、これが単にQRコードを読み取ろうとしているだけだったりするんだな。私はQRコードの読み取りなど年に一度するかどうかなので、読み取りアプリがスマホの中のどこにあるか思い出せなくて探しているところなのである。じゃあお父さんって何さ? それはですね、私のスマホがソフトバンクのやつで、ソフトバンクのスマホのQRコード読み取りアプリはアイコンが白い犬なのだ。ソフトバンクのテレビCMに出てくるのを見たことがありませんか。普通の人間の家族なのになぜか父親だけが白い犬という謎の一家を。くだんのアプリのアイコンは、あの犬を図案化したものにほかならない。それで、QRコードを読み取ろうとすると「お父さんどこ行った?」となるのであった。


 駅のトイレで小用を足そうとしたとき、口をついて出たのは「チンコどこ行った?」というひとことであった。人類のもう半分の人々はあまりよく知らないかもしれないが、男性の例の器官は手や足のように自分の意思で動かすことがほとんどできない。小用の際も、パンツとズボンの窓口をみずからくぐりぬけて外の世界においであそばすというわけにはまいらない。手を窓口につっこんでひっぱりだしてやる必要がある。が、パンツの布のひだに巻き込まれていたりして、どこにあるかすぐにわからない場合もある。それで「チンコどこ行った?」となる。

 もしこれをはたで聞いていた人があったら、ちょっとびっくりさせてしまったかもしれない。漫画でときどき見かける、男が突然女に変化する不思議現象が現実に起こったかと期待させてしまったかもしれない。


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