表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飄然草  作者: 千賀藤兵衛
第七部 棒つきアイスの巻き返し
49/77

モンハン頌

 私はモンスターハンターシリーズをひとつだけ遊んだことがある。「モンスターハンターポータブル2G」。プレイステーションポータブル用のソフトである。

 このシリーズは、自分の分身となるキャラクターを操って山野を駆けまわり、巨大な怪獣と戦って倒すというゲームである。怪獣にはいろいろ種類があるが、いずれもハッタリのきいた外見と独特の能力をもっており、倒すのにはそれぞれに適した工夫がいる。じつに面白い。

 そんなわけで私は数百時間はこのゲームを遊んだのだが、そのうちにある不思議な気持ちが芽生えた。この主人公が単なるゲームのキャラクターではなく、どこかにちゃんと存在しているもうひとりの自分自身のような気がしてきたのである。主人公の容姿は最初にゲームを始めるときに自分で決めるのだが、私の選んだのは真っ黒な肌にギョロ目にアフロヘアーの筋骨隆々とした大男であり、標準的な日本人的容貌の私とは似もつかない。それでもこれは私なのだ。

 私は毎日電車に乗って仕事に行き、特に変わったところもない平凡な作業をしてささやかな賃金を得ている。それと同時に私はどこかの雪深い山村に住み、来る日も来る日も巨大な鉄砲をかついで山に分け入り、ばかでかい怪獣と死闘をくりひろげているのだ。

 最近ではこのゲームもほとんど遊んでいないが、それでもあの私はいなくなってはいない。ときどきあの私のことを思い出して、なんとなく愉快な気持ちになっている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ