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飄然草  作者: 千賀藤兵衛
第七部 棒つきアイスの巻き返し
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砂糖と塩と粗忽者

 私は食べものを捨てることがほとんどない。食品ロス削減優等生である。食い意地が張っているだけともいう。

 ここ十年ほどのあいだに食べものを捨てたのは三回だけ。捨てたものは三回とも同じで、ヨーグルトに砂糖を入れたつもりでまちがって塩を入れたやつである。それは捨てるほどのことなのかとお疑いの向きは、ためしに茶碗一杯のヨーグルトに小さじ一杯の塩を入れて食べてみていただきたい。食えたもんじゃないぜ。

 一回めにまちがったときは、率直に言ってとてもびっくりした。砂糖と塩をまちがえるなどという事故は漫画の中でしか起こらないものだと思っていたからである。そして、以後まちがえないよう気をつけることを心に誓った。

 半年もたたないうちに二回めが起こって、私は根本的な解決策を考えはじめた。そもそもそれまで十何年か一人暮らししていて一度もまちがえなかったものを立てつづけに二度まちがえたのはなぜかというと、塩の入れものを買い替えたのがきっかけであった。これがずっと使っている砂糖の入れものとよく似た形で色もそっくりなのだ。考えてみればまちがえて当然だった。そこで、それぞれの入れもののフタにマジックででかでかと「砂糖」「塩」と書いた。字の読める人なら、これで砂糖と塩をまちがえることはあるまい。

 だが三回めは起こった。毎日ヨーグルトに砂糖を入れて食っているものだから、すっかり慣れにまかせて作業をするようになっており、フタに書いてある字など見ないのである。調味料の仲間ということで、調味料置場にしている食器棚の天板の上のスペースに並べて置いてあるのがまたよくない。片方は置く場所を変えることにして、塩を食器棚の中にしまった。

 もしこれでもまだまちがえるようなら、どちらかの入れものを工事現場の結界みたいな黒と黄色のダンダラ模様にでも塗ってみるつもりである。


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