四角関係
とある恋愛漫画を読んだ時の話。
登場人物は、男A、女B、男C、女Dの四人で、男Cが女Bに片思いしており、女Bは女Dに片思いしており、女Dは男Aに片思いしており、 男Aは男Cに片思いしているという、三角関係ならぬ四角関係である。読んでいて混乱してきたので、頭の中で関係図を書いて整理した。
まず左上のほうに「男C」と書いて、その右に「女B」と書き、男Cから女Bへ矢印を引く。次に男Cの下に「女D」と書き、右上の女Bから矢印を引く。さらに女Dの右に「男A」と書き、女Dから矢印を引く。その男Aから左上の男Cへも矢印を引く。できあがり。
斜めの矢印二本が交叉する、砂時計というか算用数字の「8」をとがらせたというか、そんな形になった。そこでふと思った。こんなひねった形にしなくても、普通の四角形で事足りるはずではないか。
つまり、女Dと男Aの場所を入れ替えて、左上に男C、右上に女B、右下に女D、左下に男Aだ。これで時計回りに四本の矢印をひけばよい。矢印が交わることなく、すっきりした図になった。
最初に変な図ができたのはなぜか。やはり同性愛に対する偏見のためであろう。ことさら悪意があったわけではない。ただごく素直な気持ちでこの四人の関係を表現しようとしたら、自然にあんな形になったのである。この素直とか自然とかいうのが曲者。同性愛というのはゆがんだものだと心の底で思っていて、それが素直に、自然に、図の形に表れたのだ。
普段は進歩派ぶって、同性愛に理解のあるポーズなどとっている私であるが、ちょっと油断するとこのとおり化けの皮がはがれるのであった。
くだんの漫画は、HERO作「クロッカスの咲く中庭にて」です。下記サイトの「短編漫画」>「2011年」のところで閲覧できます。
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