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飄然草  作者: 千賀藤兵衛
第五部 私はピアノを飲む
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何の門の外科

 近所の病院に「こう門外科」と書いた看板が出ている。「こう」をかなで書いたところが独特である。

 もしも尻の穴を診療する病院であるなら、普通に漢字で「肛門」と書くであろう。あえてかなで書いたということは、この「こう門」はほかの門だと示しているに違いない。

 まず思いつくのは学校の門の「校門」だが、これも漢字で書くほうが普通である。もっと別の門があるのだろうかと思って辞書を引いたところ、「閘門」というあまり見たことのない字を使った言葉を見つけた。運河の出入り口に設けて水位を調節するための門だそうだ。この字は読めない人が多いだろうから、かなで書いても不思議ではない。

 おそらくこの病院には、閘門の具合の悪くなった運河が治療を求めて訪れるのである。閘門のまわりに炎症が起きたりして、塗り薬を処方されて、穴のあいた座布団を使うようにと助言をされた運河。だがなかなか症状が良くならない。閘門のまわりが切れたりすると運河が決壊して大変なことになるので、症状の改善は待ったなしであり、ついに外科手術をすることになる……などと想像される。運河は健康保険に入ることができないので、治療費の支払いはさぞ大変であろう。

 あらぬ空想を楽しんだのであるが、結局のところ正解は尻の穴の「肛門」であった。この「肛」が常用漢字に含まれていないため、使うのを避けてかな書きしたものらしい。面白みのない真相である。


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