野田政権の思い出
九十五代総理大臣野田佳彦。在任期間は二〇一一年九月から二〇一二年十二月まで。前の総理大臣は菅直人、次は安倍晋三の二度目。
以上は、ウィキペディアに載っているのをいまサッと抜き書きしたものである。実は私は野田氏が総理大臣であったという記憶がまったくない。
一時期私はきつい仕事に就いていて精神的にだいぶ参っており、ニュースなどまったく見なかった。野田氏が総理大臣をやっていたのは、ちょうどその時期にスッポリ入っているのである。
菅直人氏が総理大臣になったのは覚えている。そしてあるときインターネットか何かでふとニュースの見出しを見たところ、総理大臣は安倍氏であった。そのとき私は、菅さんはいつのまに辞めちゃったんだろう、と思った。菅と安倍の間に野田という人がはさまっていたのを知ったのは、もっとずっと後である。そのときのキツネにつままれたような気持ちは何とも言いがたい。それもかつての宇野宗佑や羽田孜のような短命政権ではなく、一年以上もやっていたというではないか。
総理大臣が野田氏から安倍氏に代わる際には、総選挙が行われて政権交代が起こったという話である。私は模範的な有権者で、地方選挙も国政選挙もほとんど棄権したことがない。唯一の棄権がこの一回である。投票所が開いているのは朝七時から夜八時までであるが、その日は私は朝七時から仕事で、帰りに投票に行こうと思っていたら当然のごとく残業になって夜十時ぐらいまで帰れなかったのであった。
しかし今になって考えてみると、現在の首相が誰なのかも知らずに投票に行こうとしていたのはどうなんだという気もする。誰の言葉か忘れたが、「民主制というのは、市民が自らの自由な意思によって自らの政体の長所を損なうことができる制度である」という警句が思い出される。
第三部「ダーガー2.0」は、全十話投稿します。




