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TSお姉様、TS女の子で遊ぶはずが反撃されて赤面プルプルする話  作者: きつね雨
第二章〜王都アーレ=ツェイベルン〜
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TSお姉様、初日を終える

 




 ふっふっふ。


 どうよ! この超格好良くて、最高に美しい俺は!


 くくく、入った時から全員の目は釘付けだ。


 俺は孤高の女冒険者。清楚でありながらも隠す事の出来ない美貌と色気。しかし上品さは忘れず、高嶺の花である事は変わらない。


 今日の服はターニャちゃんに教えた時と違い、露出も抑えた真面目系の女教師。チラリもないから期待すんなよ?


 まあ、このジルから目を離せなくなるのは仕方がない。俺も鏡の前で散々確認したからな。なので、見詰めるのは許可しようではないか!


 魔素の知識は間違いなく役に立つから、しっかりと聞く様に。魔狂いなんて相手にしちゃ駄目だよ?あのジジイなんて……いや考えるのはよそう、うん。


「では、皆様にとっては当たり前の基本だとおもいますが……再度確認したいと思います。魔法とは?どなたかお願い出来ますか? はい、そちらの方」


 おっ、今の先生っぽくない?


 適当にやったけど、才能あるかも。もしかして俺の才能(タレント)は教師では?


 なんか楽しくなってきたぞ!!


 よし、お前ら! 先生について来い!


 ……なんてね!














「では、今日の講義はこれで終わります。明日は講義を踏まえて、従来の魔法を改変させる方法を実践しますので、良ければ皆様で考えて来て下さい。もう一度言いますが、可能性に限界はありません」


 お疲れ様でした……そう言って高座から降りる。


 いや、まじでお疲れ様だよ……俺が!


 質問は途切れないし、誰一人席を立たないしさぁ。もう自由にしていいって言ったよね? 予定時間を大幅に過ぎました。うぅ、これじゃあターニャちゃんに会いに行けないよー。


 そもそも冒険者が自分の戦い方を全部明かすわけないじゃん! 質問をお気軽にどうぞってのは社交辞令ですからね? 遠慮って知らないの? はぁ……


「ジル、ありがとう。俺も参考になった」


「私も皆様の意見を聞けて勉強になりました。殿下……予定時間を超えてしまって……申し訳ありません」


「ジル……詫びるのは此方だ。質問時間は明日以降制限するよう考えておく」


「はい」


「晩餐は少しだけ遅らせるから安心してくれ。着替えもあるだろうし……鐘が三回鳴ったら迎えを寄越すから、それまではゆっくりしたらいい」


「お気遣いありがとうございます」


「……では、また後で」


 おお……時間が少し出来たぞ! 流石に身綺麗にしないとアレだから風呂は入る。しかし、魔力強化を行えば、ターニャちゃんの顔くらい見に行けるだろう。禁断症状が出る前にせめてナデナデさせてね?


「ん?」


 魔素感知に引っかかってるな? 後ろか?


「あの……何かありましたか?」


 見れば此方から視線を外さずに見ている男がいた。竜鱗の一人なのは間違いない。何となく見覚えがあるし。かなり神経質そうで、背もヒョロリと高くて痩せてる。ぱっと見は学者にも見えたり。魔素は……眼か。何かの視覚系の才能(タレント)かもね。


「一言礼を言いたくてね。先程の講義は大変参考になった。限界を感じていた力が解き放たれた気がするんだ」


「視覚、ですか?」


「やはり分かるのか。素晴らしいな」


「あっ……すいません、不躾に」


 初対面の人の才能を明け透けに話したりするもんじゃないよな。気にしてたり、内緒だったりするかもだから。


「いや、構わない。私はミケルと言う。竜鱗には二年前に入団したから貴女とは初めてだな」


「ミケル様。ジルと申します」


「ツェイス殿下の寵を受けた貴女だし、隠す事でもない。私の父はペラン=ツェン=チルダ。私はその息子だ。ツェイス殿下とは遠い親戚になる」


 だから瞳が紫がかってるのか……ツェツエの系譜なんだな。しかし、かなりの大物じゃん!


「チルダ公爵様の……失礼しました」


 あまり詳しくないけど司法を司る名家だよな? 黒い噂もある大公爵家だ。て言うか寵を受けたりしてませんよ!? 部下じゃないし、アッチの意味でしょ……やめてくれぇ。


「畏まらないでくれ。君は恩人だ。先程も言ったが、私は生まれ変わったよ。色々な意味で」


「は、はい。あの……」


「ん?」


「寵を受けたとは、誤解を生みますので……私は一人の冒険者に過ぎません」


「そうなのか? 殿下の想い人だと」


「ち、違います!」


 昔も否定したし! チルダ公爵なら知ってるはずだよ?


「ふむ……ならば、私が君に愛を囁いても許されるんだな? 正直なところ心を奪われてしまった。二人で話をしてみないか? 明日にでもどうだ?」


 むぅ……また一人ジルの魅力にやられてしまったか。ごめんね、超絶美人で。


「光栄ですが、明日はリュドミラ様に御招待頂いておりまして……申し訳ありません」


 しかし残念でした。明日は王女様とデートだし。ありがとう、リュドミラちゃん! よっ!乳なし聖女様!


 ところで"王女様とデート"、凄いパワーワードだな。やはり間違いなくモテ期が来たのだ、ムフ。


 俺の断りに何かを察してくれたのか、ミケル様はあっさりと退いてくれた。


「残念だ。またの機会を楽しみにしてる。それと明日も宜しく頼む」


「はい!」


 助かった……ミケル様って見た目はアレだけど優しいんだな。 神経質そうって考えてごめんなさい!


 時間が押してるし、急ごう。


 待っててね、ターニャちゃん。




「……本当に残念だよ……ジル」




 ん? なんか聞こえたような……気のせいかな? うわぁ……ミケル様ってばまだ見てるよ。まぁ、ジルの後姿は最高だから仕方がないよな。でも才能を使ってまでして見るなよ……魔素感知で何となく分かるんだからな?


 視覚系か……まさか透視とかじゃないよな?


 ……怖っ!!


 ターニャちゃんに慰めて貰おう!








「ありがとうございます」


 あっちか……迷っちゃったよ。偶然ジーミュタス家の人がいてくれて良かった。時間がないけど、顔だけでも見ないとね。


「うーん、此処かな?」


 いきなり入って驚くターニャちゃんも見たいけど、万が一間違ってたら恥ずかしいし。ノックしよう。


「……はい。どちら様ですか?」


 ターニャちゃんの声だ! でも元気ない……いや警戒してるのかな? やっぱり初めての土地だしストレスなのかも。うぅ、ごめんね……なんなら俺の胸に飛び込んで来ていいよ? まあ、ターニャちゃんってデレてくれないから無理だろうけど。


「ターニャちゃん? 私、ジルだよ」


 すると凄く慌てた様子でバタバタと音がして、ガチャガチャと鍵を開けてくれた。一体いくつ鍵があるんだろ? ジーミュタス家が目を光らせてるし、そんなに危険は無いと思うけどなぁ。


「……お姉様」


 凄くホッとしたターニャちゃん。おやおやぁ? もしかしてお姉様に会えなくて寂しかったのかなぁ? なんてね!


 部屋は……へぇ、中々広いな。ちょっとした旅館並みだよ。寝室は別れてるし、寛げるようにソファらしき物もある。よく見えないけどベランダと大きな窓。流石に俺が泊まってる部屋には敵わないけど、一人なら十分だろう。


「いきなり一人にさせてごめんね? 不便はない?」


「よくして頂いてます。アリスお嬢様も先程……少しだけお話もしました。色々と教えて貰ったので、勉強になりましたから」


「そうなの?」


 アリスちゃんてば真面目だなぁ。縦ロールに惑わされてたけど滅茶苦茶に良い子だよ。クロの奴、いったい何が不満なんだか。


「お姉様、お仕事は?」


「さっき終わったよ? 今日は座学だから話してばかりで長くなっちゃった」


「そうですか……お疲れ様です。何か飲みますか?」


「ふふ、ありがとう。でも、この後すぐに行かないとだから……」


「この後、すぐ?」


「え? あ、うん」


 あれぇ? ターニャちゃんが不満顔……ま、まさか俺と一緒にいたいとか!?  まあ、そんな訳ないけどさぁ。どうしたんだろう?


「ご飯を一緒にするんだと思ってました」


 残念そうだぞ……な、何が起きているんだ……


 本当にモテ期が来たのか!?


 ターニャちゃん、デレたの!? うぅ……しかし王家の招待を無視なんて出来ないし、此れが板挟みか。モテるってツラいなぁ。


「ごめんね。この国の王様から招待されてるから……」


「王様……では()()()()殿()()()()()なんですか?」


「そうだけど……ターニャちゃん?」


「明日は、明日なら」


「明日の夜もリュドミラ王女殿下と約束があって」


「リュドミラ王女殿下……ツェイス殿下の?」


「妹で……」


「じゃあ明後日は?」


「えっと……その日はクロエ様……覚えてるかな、紅炎騎士団の団長さんで」


「覚えています。夜は一緒に過ごせないと?」


 おかしいぞ……ターニャちゃんは最高の美少女だけど、どちらかと言えばツンなのだ。デレは殆ど見た事ないし、甘え上手な子じゃない。


「もしかして何かあったの? 何か心配事あるならお姉さんに言ってみて?」


「それは……お姉様が」


 ターニャちゃん言いづらそう。なんだ? 本当に何かあったのか!?


「もしかして……誰か悪い奴がいたの!? クロに任せてたのに……大丈夫よ、私がやっつけてあげるから! クロもお仕置きよ!」


 可愛いターニャちゃんを不安顔にさせるとは、絶対に許さん!!


「ち、違うんです! クロさんは悪くなくて……悪い人がいたりでもありませんから」


「本当に? 私に心配させたりしたくないとか、無しだからね?」


「そうではなくて、心配なのはお姉様というか……」


「私?」


 ん? なんだなんだ?


「あの……私に何か話さないといけない、そんな事はありませんか?」


 ターニャちゃんの上目遣い可愛い。いやいや、何か探る様な視線は一体……


「な、なにかな?」


「お姉様の本心、心の中です」


 ま、まさか……


 リュドミラ様やクロエさんに誘われて喜んでる俺に気付いた!? そ、それとも夢の中でセクハラしたりした事がバレたとか!? ターニャちゃんは俺の嫁(予定)ってニヤニヤしてたのが……お、落ち着け……いくらターニャちゃんでも超能力者じゃないんだから……


「本当は大好きなのに、我慢してる……自分の強い願望や気持ちを隠してしまう、違いますか?」


 ひ、ひぃーーー!?


 バ、バレテルーーー!?


 どどどどうする!?


「そ、そんな事は……」


「私に気を使っているのなら……遠慮しないで下さい。私なら大丈夫ですから」


「えっ……? 大丈夫って」


「お姉様の幸せを諦めないで欲しいんです」


 何かを決意したようにターニャちゃんは俺を見上げた。其処には強い意志がある。


「幸せ……」


 じゃ、じゃあ……ハーレムOKなのか!?


 アリスちゃん、クロエさん、リュドミラ様、そして本妻をターニャちゃん、其れを許してくれるの!?


 な、なんて心の広い……ターニャちゃんは天使だったのか……


「私はお姉様の意思に従います。だから……ツェイ」


「ターニャちゃん! もう言わなくていいよ……分かったから、私は幸せ者だね」


 ん? しかしツェイってなんだろ?


 まっいっか!! 本妻からハーレムの許可が出るなんて……夢じゃないよな?


「お姉様……お幸せに」


 ゴーン……ゴーン……ゴーン……


「あっ……鐘の音。ごめん、ターニャちゃん、何か言った?」


「……いえ」


「そう? じゃ、また話そうね? 私、行かないと」


「はい。お姉様、()()()()()()()()


「ターニャちゃん、ありがとう!」


 やったーーー!! やっぱりモテ期が来たんだ!


 ふと見れば何処か悲しげなターニャちゃん。そうか……例えハーレムOKでも複雑な心境なのかも。大丈夫だよ? ターニャちゃんが一番だからね!


 よし、急いで準備して行かないと。


 ご飯だ!









次話はターニャ視点の予定となっております。

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