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6・わが子を案じる二人

 桃太郎を送り出した二人はやはり心配でした。


「お爺さん、あの子は鬼を退治して帰ってくるんでしょうか」


「なぁに、サンパチを持たせたのだから心配ないじゃろう」


「そうですね。缶詰を持たせたので食べ物に困ることもありませんし」


 二人はそう言って頷きあうのでした。



 一方の桃太郎はずんずんと街道を進んで行きます。


 どのくらい進んだでしょうか、道端で困っている人が居ました。


「もし、どうされましたか?」


 桃太郎は尋ねました。


「なに、少々家でけんかをして飛び出してきただけですよ」


 その人はそう言って笑いましたが、腹の虫は素直なようです、ぐーと鳴っています。


「もしよければ、これでも食べますか?」


 桃太郎はれーしょんをその人に渡すことにしました。


「これは?」


「れーしょんと言って、蓋を開けると食べられます。温めたら更においしく食べられますよ」


「それはありがたい」


 桃太郎は鍋を用意して、れーしょんを温める事にしました。


 温めている間、その人と話して、名前を知ることが出来ました。彼の名前は犬甘というそうです。


「これはうまい。温めるだけでこんなものが出来るとはすごい事だ。どうだろう。れーしょんをいただいたお礼に私を鬼退治に連れて行ってはもらえないだろうか」


 桃太郎に断る理由はありません。


「仲間を探していたところです。共に鬼退治に向かいましょう」


 桃太郎は犬甘を伴って更に街道を進んでいきました。



「あれ?そこのお兄さん、ずいぶん大きな袋を背負ってるね」


 猿のような顔をした少年に声を掛けられました。


「これはこれから鬼退治に行くための荷物だよ」


 桃太郎がそういうと、猿のような顔をした少年はさらに興味を持ったようでした。


「鬼退治?そこに見えている光っているものは鬼退治の道具なのかな?」


 猿のような顔の少年は顔を覗かせる缶詰を指してそう言いました。


「これはれーしょんと言って、蓋を開ければそのまま食べられるものだよ。温めると更においしく食べられるよ」


「一つもらえないだろうか?」


 猿のような顔の少年にもれーしょんを温めることにしました。その間、猿のような顔の少年と話していると名前を教えてくれました。彼の名前は日吉というそうです。


「これはおいしい。こんなおいしいものを貰ったお返しに鬼退治について行ってもいいかな?」


 桃太郎に断る理由はありません。


「構わないよ、仲間は多い方がいいからね」


 また一人仲間を増やして街道をドンドンすすんで行きました。




 しばらく進むと赤鳥を描いた陣羽織を着た人と出会いました。


「そこの人、その背の荷物は一体何が詰まっておるのかな」


 陣羽織を着た人は桃太郎の姿に疑問を覚えたようです。


「この荷物は鬼退治に必要なものが詰まっています」


「ほう、その銀色に光るものもそうなのかな?」


 陣羽織を着た人は缶詰に視線を向けながら訪ねてきました。


「これはれーしょんと言って、蓋を開ければそのまま食べられるものですよ。温めると更においしく食べることが出来ます」


 陣羽織の人も缶詰に興味を持ったようなので温めることにしました。温めている間に名前を聞いたのですが、海道一の弓取りだそうです。


「ワシもこれから鬼退治に向かおうとしておった。仲間となって共に退治に向かおうぞ」


 桃太郎に断る理由はありません。


「ぜひお願いします。共に鬼を退治しましょう」


 こうして犬甘さん、猿のような顔をした日吉、赤鳥の陣羽織を着た海道一の弓取りを従えた桃太郎は鬼退治へと向かうのでした。


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