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私の愛馬は凶暴なんです

 鑑識課の相原班長が冗談で言っていたことは、あながち冗談ではないように思える。


 モグラたたきのごとく、犯人グループは予測不可能な場所へあらわれては消えて行く。


 あれだけ多数の目撃情報がありながら、未だに尻尾すらつかめないでいる。

 捜査員達の苛立ちが日々募って行くのがわかった。


 幹部達、部長、課長クラスもそうだ。今日も一日、聞き込みに回った結果、情報だけは集まったが実がない。


「みんな、集まってくれ」


 その日の夕方のことだ。

 班長の号令がかかり、不在である友永を除いて全員が集まった。


「友永が襲撃された時の目撃情報を集めたところ、直前まで一緒にいたという人物の情報が入った。特徴を聞いて似顔絵も作成された。これがそうだ」


 ぱっと眼に入った似顔絵の顔を見た瞬間、駿河は思わず息を呑んだ。


「これは……!!」


「渋沢さん、と呼ばれていたらしい」


 整った顔立ち。幾らか皺は目立つものの、この人物は間違いない。


「もしかして、あの少年の……父親ではありませんか?」

 名前が違うので一瞬迷ったが、彼は確か母子家庭だった。


「ああ、間違いないだろう。この男性はおそらく、篠崎智哉君のお父さんだ」


「なぜ、友永さんがこの方と一緒に?」


「たぶん、だけど」と口を開いたのは和泉である。「この人、お医者さんでしょ? 智哉君に警官の知り合いができたってこと、誰かから聞いたんじゃないかな。例のカラーギャングが医療関係者ばっかり狙う事件のせいで、自分も身の危険を感じたんだよ。なんとかしてくれないかって、泣きついたのかもね」

 ありうるセンだ。


「しかし……なんで、医療関係者限定なんですかね?」

 日下部の問いかけに、

「決まってるじゃないですか、お医者さんに恨みがあるんでしょう?」

 と、すかさずうさこが突っ込む。


「だったら、なんで事務員や産婆さんまで狙われたんだよ? 裾野が広いっていうか、範囲が広すぎるだろうが。その内、薬剤師も狙われるんじゃないのか?」

 日下部の言うことももっともだ。


「確かにな……」


 その時、駿河はふと思い出したことがあった。

「3人いた……と言っていましたよね?」

 全員の視線が自分に集まる。


「友永さんが襲われた時、確か3人で一緒にいるところを目撃されていたんですよね?」

「友永と、この男性……それから被害者が3人で一緒にいたということか?」

「おそらく、です」

「じゃあ、被害者とこの男性の関係は……?」

 一時的に全員が黙りこみ、それから和泉が口を開いた。


「間違いなく、公にはできない関係でしょうね。だから黙って逃げたんです。友永さんがあんな目に遭ったっていうのに……自分の保身のために」


 そう語る和泉の声こそ平静を保っているようだが、目は相当、怒りに燃えているように思えた。


 彼の言う通りだとしたら。


 駿河は、自分の中にも沸々と抑えきれない怒りがこみ上げてくるのを感じた。


「本人に話を聞くのが、一番手っ取り早いでしょうね」


「で、でも和泉さん……そんなことして、大丈夫なんですか? だ、だってこの件は基本的に倉橋警部の班が……」

 心配そうに声を挙げたのはうさこである。


 すると和泉は、

「……何か言われたら、僕一人で責任取るからいいよ」


 しん、と部屋の中が静まり返る。


 気持ちはきっと皆、同じはずだ。でも。


 班長に迷惑をかける訳にはいかない。彼のように開き直るには、少し迷いがある。


 すると。


「……何、カッコつけてんのよ」

 部屋に入って来たのは、北条警視であった。


「そういうことだったら、アタシに任せておきなさい」


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


ちはや れいめい様よりいただきました♪

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