表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/303

別に悪いことしてなくても、パトカーを見るとドキっとするあれ。

「これはこれは、人事一課のエースと誉れ高い影山巡査長じゃありませんか」

 和泉は笑顔を浮かべ、先制して話し出す。


「覚えておられますか? 捜査1課の和泉と申します。今日は彼と2人きり、有給休暇を利用して日頃の憂さ晴らしに宮島までやってきました。何しろ我々、地方公務員じゃないですか。緊急事態が起きた時にすぐ臨場できるようにって、遠出はできないんですよ。ですからこうして近場で、ちょっと贅沢しようかって話になりましてね……」


 駿河の肩を抱き寄せ、気付かれないように『黙ってろ』と耳元に囁く。


「良い旅館ですよね、ここ。高級感が漂っていて、影山さんのようにお洒落でスタイリッシュな男性にはぴったりな宿ですよ。もしかして今日は、どなたか素敵な女性のお連れ様がご一緒で?」


 影山はふん、と鼻を鳴らした。

「残念だが、こっちは仕事でね。おたくらみたいにヒマじゃないんだよ」


「これはこれは、大変失礼いたしました。それで、人事一課の警官様が何のお仕事でいらしたのでしょう? 何か事件が起きたのなら、地域課か刑事課だと思うのですが」

 和泉は笑顔を崩さずに話を続ける。


「何言ってんだ、あんた。原因はお前らだろうが」

 そう言っている傍から、例の斉木晃が姿をあらわした。

 彼はこちらを睨むようにして見つめている。


「忘れたのか? 俺は監察官だ。この旅館からあんたらの迷惑行為のせいで、営業妨害になってるっていうクレームが入ったから、調査に来たんだよ。まったく冗談じゃない。あんたらこそ県警(うち)のいい面汚しだ。税金泥棒って罵られたくなきゃ、とっとと失せな」


 基本的に普通の警察官は監察官を恐れる。

 そのことを熟知しているであろう影山は、勝ち誇ったように言う。


 駿河がぴくり、と反応する。和泉は彼の肩を抱く手に力を込めた。


「それは理不尽な言いがかりというものですよ」

「……なに?」

「我々は今回、休みを取って、自費で宿泊しているんです。いわばプライベートです。捜査と言う名目でかかる経費をすべて経理に回しているというのなら、文句を言われる筋合いもあるでしょうが」


 ぐっ、と影山は返答に詰まる。


「仕事は仕事、遊びは遊びです。それともこの旅館は、ちゃんと料金を支払って宿泊しているお客を、公務員だからという理由で排斥するわけですか?」


挿絵(By みてみん)


 影山と斉木は顔を見合わせ、何も言うべきことを見つけられなかったのか、それぞれに異なった反応を見せた。


 影山は舌打ちして旅館を出て行く。


 そして斉木は……。


「失礼いたしました、お客様。どうぞごゆっくり」


 和泉は彼に声をかけた。

「ああ、そうだ。女将さんはいらっしゃいますか?」


 ぎくり、と斉木は全身を震わせた。


「……女将は体調不良により、伏せっております」

 予想通りの返答に和泉は思わず、ニヤリと笑ってしまった。


「え? そんなはずないでしょう。先日、ビデオレターっていうんですか? ご存命の状態で写っていた動画を見ました。元気に何やら叫んでおられましたが……」

「……?」


「何やら、誰かと言い争っている様子でしたね。あなたの姿と声も入っていましたよ。彼はこの旅館のために、どうこうと……」


 みるみるうちに斉木の顔から血の気が引く。


 和泉は追い打ちをかけた。


「それとも何か、女将さんが表に出られない理由でも?」


 斉木晃は完全に黙りこんでしまった。


 傍を通りかかる仲居や、他の従業員が不思議そうな顔で去っていく。


 しばらくして。


「いかがなさいましたか?」と、あらわれたのは支倉であった。

挿絵(By みてみん)


活動報告の方に載せるチャンスを失ったイラスト(笑)


フラグって、伏線のことだと思ってたエビ……。

詳しくは活動報告をご覧ください(表題:エビえもん~エビ太のフラグクラッシャー!!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ