余計なお世話だとわかっているけどね
こんばんは、こんにちは、おはようございます?!
エビ太だよ!!
久しぶりの更新で、前回までのあらすじを忘れてる人もいるエビよね。
連日、カラーギャングが街中でなぜか、医療関係者ばかりを狙った傷害事件を起こしていたが、ついに死者が出た。
それが宮島の温泉旅館【御柳亭】の仲居、原田節子と言う女性。
彼女はターゲットとなった医師を生き別れの自分の息子だと信じて、声をかけたところ、巻き込まれたという見方がいまのところ有力である。
そこで和泉と聡介は彼女が生前暮らしていた従業員寮を訪ね、遺品の中から何か手がかりになるものがないかを探している……。
それから、時間にしておよそ3時間。
どうにかゴミを片付け終えたら、既に午後1時を回っていた。
「さすがに休憩するか……」
聡介が声をかけると和泉も同意した。
相当、埃を吸ってしまったようで、喉がイガイガする。
とりあえず、旅館に戻って女将に借りていた鍵を返さなければ。
旅館に戻ると、出迎えてくれた女将は妙な表情をした。
「何か……?」
「節子さんのお部屋、相当ものすごい臭いがしていたのでしょうね。お二人とも、お風呂に入った方がいいと思います……」
言われてみて初めて、自分達が悪臭を放っていることに気付いた。
しかし着替えがない。
臭いはきっと、服にも染みついていることだろう。
どうしたもんかな、と和泉が思案していると、
「どうぞ、大浴場をお使いください」
と、女将は言ってくれた。
「あ、でも……着替えるものが……どうせ服にも臭いがついてますよ」
「替えなら用意がありますから、ご心配なく」
そう言って彼女はどこかへ引っ込んだ後、どこからか新品のスーツを2着持ってきた。
「少し、デザインが古いんですけど……良かったら、お使いください」
グレーの生地に白いラインが入ったストライプのスーツと紺色のスーツ。まだ一度も袖を通していない様子が伺える。
ワイシャツもネクタイも新品だった。
「女将さん、これは……?」
「詳しいことは後で。とにかく、お風呂へどうぞ」
結局、ほぼ無理矢理、風呂に入らされる形になった。
考えてみれば、父と一緒に風呂に入るのは初めてかもしれない。
日帰り入浴もやっているこの旅館だが、午後の現在、他の客はいなかった。
和泉は思わずちらり、と聡介を見た。
同年代の男性ならきっと頭は禿げあがって、腹は信楽焼のタヌキのように出っ張っていて、脂ぎった顔をしているだろう。
が、彼はそうではない。
加齢による様々な外見の変化はさておき、まだ充分に男性としての魅力は残っていると思われる。
そもそも男は顔じゃないし。
こんなにも優しくてお人好しで、面倒見のいい男が放っておかれる訳がないのだ。
「……なんだ? 人の顔をじっと見て……」
「ねぇ、聡さん。再婚なんて考えてないんですか?」
和泉は頭の中で相手候補を2人ほど思い浮かべながら訊いた。
すると。聡介はまさに『鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔』をした。
「なんだ、いきなり……そういうお前こそどうなんだ?! なぁ、彰彦?!」
墓穴を掘ったかもしれない。
「ぼ、僕には周君という、可愛いハニーがですね……」
その時。浴室のドアが開いて、老齢の男性2人組が入ってきた。
2人は何ごともなかったかのように口を閉じ、急いで他人のフリをした。
「のぅ……聞いたか? 節子さんのこと」
男性客の一人が言った。
「おお、聞いた聞いた。とんだ災難じゃったのぅ……」
「それがのぅ。息子を見つけたんじゃ言うて喜んどったそうじゃが、どうも違うらしいんよのぅ」
「ほんまか?」
「2人おったんじゃろ? 兄貴の方は医者になった、立派になったってのぅ……」
和泉は耳を澄ませ、老人たちの会話に注意を集中した。
「ワシの聞いた話じゃと、弟の方は確か愚連隊に入ったちゅうことじゃで」
愚連隊とはまた、あまりにも時代錯誤な単語だが、言いたいことはわかる。
「なんちゅうたかのぅ、色で仲間を識別するんじゃと。同じ色の服を着とったら仲間、違う色じゃと敵らしい」
カラーギャングか……。
そう言えばこの頃、流川の町でカラーギャングが暴れていると聞いた。
「でも……さすがに本人には言えんけぇ、黙っとったんじゃ。それにのぅ、兄貴の方はもう亡くなっとるちゅう話じゃ」
和泉は思わず振り返り、2人連れの老人に話しかけた。
「あの、申し訳ありませんが……今のお話は、原田節子さんのことですよね?」
2人とも驚いている。
「すみません。今はお風呂に入っているので裸ですが、実は我々、警察の者です。詳しいことを教えていただけませんか?」
イラストは古川アモロさんから頂いたものエビよ。
ちょうど場面にぴったりだと思って使わせていただきました。
……服着てるけどね(笑)




