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11話 その聖女、名前

 



「「……」」


 残された私と陛下はお互いに顔を見合わせて沈黙した。

 なんとなくそのままソファ揃って腰をかける。


 いきなり話せと言われても、何を話せばよいのか分からない。



「……すごかったな」

「え?」

「改めて君がきてくれた幸運に感謝しているところだよ」


 陛下を見れば優しく微笑んでいた。


「私こそ……」

「ん?」

「私こそ陛下やこの国の皆さんには感謝してもしきれません……!」


 それは私の本心だった。


 優しくされて、大事にされて。

 今まで味わったことのない感情が、嬉しさを知った。楽しさを知った。


 そしてそれは私を見つけてくれた陛下のおかげ。


 だから私はこの人の為なら何でもしてあげたい。

 私にできることは少ないと思うが、それでも自分にできることはやりたいと思うのだ。


「だから……陛下のことをもっと知りたい。些細な事でもお手伝いをしたいのです」

「待ってくれ」


 そこまで言うと陛下から待ったがかけられた。


 見れば陛下の顔は真っ赤に染まっていた。

 手で口元をかくして目線を反らしている。


 ……これは、もしや。

 血の気が一気にひいた。


「も、申し訳ありません! 出すぎたことを申しました!!」

「え?」


 顔が赤くなるほど怒らせてしまった様だ。

 ソファから立ち上がり床に伏せようとする。


「ま、待ってくれ! 絶対に誤解をしている!」


 慌てたように陛下も腰を上げた。


「オレは断じて怒っているわけではない!!」

「え? ですが……」

「顔が赤くなっているのは、その。……照れているだけだ」

「て、照れ?」


 陛下は再び顔を赤くしてそっぽを向く。


「そりゃあ、好いた相手にあそこまで言われると照れるというものだ」


 陛下の顔を見て、先ほどの自分の発言を思い出す。

 ボンっという音と共に私の頭は沸騰ふっとうした。


(私ったら、な、なんてことを!!)


 自分の発言の意味を考えたらものすごく恥ずかしいではないか。

 もはや熱烈なプロポーズと言ってもいい発言だ。


「もももももうしわけありません」


 ぷしゅーっと音を立てる顔をおおう。


「いや、謝ってくれるな。オレは嬉しい」


 陛下はもう吹っ切れたように赤い顔のまま笑いかけてくる。


「で、ですが陛下はルイとのご関係が……」

「待て。ルイとオレがなんだって?」


 不審げな表情の陛下。

 だが二人の間に何かあるのは明白。


 それは恐らく、特別な関係が。


「いえ、お二人の間にどのような関係があったとしても私、私は……!」

「いや、待ってくれ。オレは別にあいつとは何もないぞ!?」


 陛下は顔を青くして詰め寄ってくる。


「ですが、今朝のお二人は熱い視線を交わしていらっしゃいました」

「あ、あれは違う! その、ただルイが羨ましかっただけで、そう思われていたとは」

「羨ましい?」


 羨ましいとは一体どういうことだろうか。


 私はまじまじと陛下の顔を見つめる。

 陛下は観念したように息を吐いた。



「……イレーネに名前で呼ばれていただろう」

「え?」


 飛び出した言葉は予想していないことだった。


「城の者逹も名前で呼ばれていて、オレだけが陛下と呼ばれる。そりゃあ立場というものがあるというのは理解しているのだが、ルイは朝の聖女という身分があるのにすぐに名前呼びになっていたではないか」


 今朝がた名前がどうのと言いかけたことはこれだったのか。

 つまり陛下は自分の名前を呼んで欲しいのだろう。


 その理由は……。


「やきもち……?」


 陛下の顔がみるみる朱に染まっていく。

 図星ずぼしのようだ。


 意識してしまえばつられて私まで赤くなっていく。

 けれど同時にとても嬉しかった。



「……ルドニーク様」


 意を決して口にする。

 今までは大公であるこの方の名前など恐れ多くて呼んではいけないと思っていた。


 だが、許されるのならば私だって名前を呼びたい。


 ちらりとルドニーク様を見れば、赤くなりつつも幸せそうな笑みを浮かべていた。


「ああ。……ああ!! イレーネ!」

「きゃあ!!」


 ルドニーク様は私を持ち上げくるくると回った。


「ようやく呼んで貰えた。ずっと、ずっと呼んでもらいたかったのだ。もう一度、あの時のように」

「? あの時?」

「君は覚えていないだろうが、オレ達は昔会っているのだ。そうだな、少し昔話をしよう。聞いてくれるか?」


 陛下は私をソファに降ろすと目線を合わせた。


「はい。聞かせてください」


 私は頷いて見せる。

 彼の過去、この国の過去。

 それは私が知らなければならないことだ。


 陛下は頷き口を開いた。




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