第51話 大晦日からの
「……寝ちゃダメなのかい?」
「カウントダウンあるから!! ゲームの方でも今日しかないPVとかあるんだし!!」
「……全部マリアーノちゃんじゃないんでしょー?」
「一瞬でも推しを探すのが推し活じゃないか!!」
「……篤嗣。テンションたっか」
「ふふ。人一倍精力的に動かれていますわね?」
しょーがつの手前、今年最後の日ってときには向こうの部屋に返してもらえなかった……僕とマリアーノちゃん。僕としては、マリアーノちゃんとの『姫はじめ』とやらを実行したかったのに!!
アツシが、『スカベンジャー・クロニクル』のカウントダウンイベントとやらがあるからいっしょに参加してくれっていうから……実行できなかった。美味しいおそばとかは食べさせてもらって充分満足……だったのに、今はお互いのデバイスから離れるようにさせてもらえない!!
たしかに、ゲームは面白いし楽しいよ?
撮影も充実しているから楽しいよ?
だけど、そのときのための性に尽くしてもいい夜が……は、クリスマスでおなかいっぱいだろうとアツシにはなじられて終わったので無意味だった。
「よっしゃ、来た来た!!」
ひとり興奮しまくっているアツシの横で、その『ぴーぶい』とやらをいっしょに見たんだけど……アニメのような『動画』だろうか。語りが始まり、音楽とともにこれまでのキャラクターたちが技を駆使して、互いに対峙し合う。とか?
マリアーノちゃんとナルディアはほんの一瞬だったけど、ちょっと僕も興奮気味になってきたのでアツシとわいわいしながら映像が終わるのを待っていれば。
『新ルート、展開』
という文字のあとに、マリアーノちゃんとナルディアが並ぶように立っていた?
こっちのマリアーノちゃんたちは僕らを挟むようにデバイスにのぞき込んでいるからゲーム内のとは関係ない。
どうやら、ゲームの新情報でマリアーノちゃんとナルディア限定の新ストーリーや探索ルートが今日から解放されることが決まったのだという!!
これは是非とも攻略しなければ……とは思ったが、毎回一瞬飲み込むタイミングが来るので。ここは、マリアーノちゃんに向き直りました。
「……睡眠時間と、君との時間はきちんと作ります」
「ふふ。誠ですか?」
「本当に!! まずは二時間から許可お願い!!」
「あらあら、それでリミッターが外れたら……お仕置き決定ですわよ?」
「……頑張ります」
これはゲームに夢中になり過ぎた最近決めた取り組みなので、アツシの方はなんか緩いのか何時間もゲームしててもナルディアに怒られない!? うらやま……いいや、マリアーノちゃんとの有意義な時間が減るのは僕的にも非常によろしくないので、ご機嫌伺いをしてしまうのは僕の方が悪いんだ。
とりあえず、今日は本当に二時間とだけ制限をつけてゲームをスタートさせたんだけど……マリアーノちゃん以外のキャラクターたちのパロメータとかがいまいちだったこともあり、そこからやり直しだと思い知ることになった。
「レア度低いキャラもまんべんなく、が鉄則と思っときなよ。推しだけに傾くのもわかるけど……レアの高いキャラのストーリー解放ってそんなもんだぜ?」
「最初に言って!!」
「元賢者だから気づいているかと思ってた」
「元賢者関係ない!! 弟子の育成には携わっても、個人の入れ込みなんて御法度だから!!」
まあ、それで? 僕はないけどかつての先輩賢者たちは男娼紛いな交流しちゃったってあったしね? 女の子だと娼婦扱いとか……あれは、あれは禁忌行為なので絶対ダメ!!
とりあえず、ゆっくりスタートということで僕はゲームをやめて……部屋に戻って、マリアーノちゃんとの濃密な姫初めをすることで満足しました。
次回は金曜日〜




