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【完結】トリップしてきた元賢者は推し活に忙しい〜魔法提供は我が最推しへの貢物也〜  作者: 櫛田こころ


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第43話 データが溜まってきたので

 スマホやデジカメのデータとやらがたくさんになってきた。


 探し方とかはアツシに習ったけど……量が多いし、お気に入りとかの整理をしてもしてもすごく多くなってきた気がする。このひと月、アツシがいるときも出かけているときもマリアーノちゃんの写真をたくさん撮ってきたからかな? 動画っていうのもだけど。



「整理……パソコンがあってもだし、タブレット買うか?」

「タブレット?」

「薬じゃねぇから。俺が持ってるこっちの機械」



 スマホよりも、随分大きい板上の機械。たしかに、アツシはカメラ以外にもいろんな機械を持っているから、それを借りることもあったけど。別の機械に慣れるためにもそれは必須かもしれない。



「まあ。たくさんありますわ」



 アツシの都合のつく日に、皆でタブレットを買いに行くことになったけど。マリアーノちゃんが言うように、展示しているタブレットとやらはたくさんあった。大きさも様々で、スマホよりも少し大きいのとか色々。機械本体の色違いもあるとか、目移りしてしまいそうだ。



「スペックは動画も込みだから、容量も多め。でないと、ストレージえぐいしからネットで整理できるようにも」

「……アツシ。それ何語?」

「用語だけど、ユディさんならすぐ覚えるって。色は赤でいいならほかも考えないと」

「……お任せします」

「慣れたら普通だっての」



 試しに触らせてもらえるところとかあったりしたけど、大きなスマホを触る感覚が何とも言えない。さっと動かせば、魔法を行使するように展開されていくのが楽しい。……向こうの魔法もこんなだったらよかったのにと思っても、僕はもう『元賢者』だ。魔法への口出しはしない方がいいし、現任のギルディスに申し訳がない。


 それはそれで、資金は『一括払い』とやらが出来たから買えたんだけど。僕みたいなおじさんでも分割とやらが普通らしく、店員さんには驚かれてしまったよ。


 ともあれ、セッティングとカバー取り付けはアツシに習いながら部屋で頑張ってみた。



「えーと。お手入れはこれでいいから?」

「スマホとペアリング……IDとかの入力同じにすれば同期されるから」

「えーと、IDとかって」

「適当にしてメモに入れてないよな?」

「してないしてない!」

「メモ帳に入っているはずですわ、主さま」

「あった……」

「旦那、見た目を裏切らずのおっちょこちょいだね」

「紙だとどっか行くもんね……」

「……ズボンに入れて洗濯しちまったときはやばいから、財布入れとけ」

「「「……実体験??」」」

「マジで絶望したからな。俺以外でもしてるやつは多いだろ……」

「自慢することじゃないけど。うん、僕も気にしておくよ」



 魔法を紙にしたものでも、あの洗濯機とやらは強力な動きで衣類を洗ってくれるから……せっかくのメモが溶けてしまったら意味がないからね。魔法がなくても色々出来る文明と文化。かかる費用はたくさんあるけど、うまいこと循環している。この原理が僕のいたところで役に立つかと言われると……わかんないな?


 魔法が普通でなんでもできる、って師匠にも教わったからね。


 とりあえず、設定をきちんと手順通りにしたらすぐに使いこなせる僕はもう、アツシたちが言うには『現代人』らしかった。

次回はまた明日〜

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