第38話 ここは天国、か!?
まずは即売会の方を軽く見ようということになったんだけど……屋台じゃなくて、『ブース』というのがそこかしこあったんだよね? 狭いスペースに何組どころですまない人たちが自分たちの『商品』を売るのに、挨拶し合ったり待機したりしている。
「漫画、小説もあるけど。最近は写真集を頑張っている人もいるんだ」
そんなアツシの熱意のこもった力説もあり、いくつかブースをいっしょに回ったけど。本当に『レイヤー写真集』とやらがいくつかあって驚いた。玄人に仕上げの仕事は頼むけど、基本材料は自分たちで揃える……。これはたしかに、凄い熱量のこもった作品かもしれない。
僕はマリアーノちゃんのみというわけじゃないけど……まだ起こしてない『魂宿り』の別のねんどろいどやぬいとしてもいいかもしれないが。マリアーノちゃんがあとあと拗ねる可能性も出てくるから、ぬいは『起こす』のをやめている。可愛い拗ね方だけど、マリアーノちゃんもそれなりに独占欲強いからね? 僕も他人事ではないけど。
「つぐつぐっちさん! 後ろのイケメンさんたちはお友だちですか!!?」
「ん?」
アツシの偽名というか、垢ネームを呼んだお兄さんが僕やマリアーノちゃんのことを聞いてきた。僕らはお兄さんの写真集の見本を読んでいたから、気になっていたのかな?
「あ、まあ。海外に普段はいる親戚の兄さん。……と、そのパートナー」
「へぇ! 似てないですけど、遠いとか?」
「……そんなとこだよ。アツシと仲がいいのかい?」
「あ、いえ! こういうとこでしかお話出来ないので……友だちなんて畏れ多い」
「俺は気にしてねぇけど? あ、そろそろ撮影スペースの枠空く時間だ。行こうぜ」
「え!? 後ろのお兄さんたちを……まさか、生で??」
「ん、そゆこと」
ナルディアがバイバイすると、お兄さんはぽっかーんとしてたけど……自分の店を留守出来ないから来れないのかな?
それはそれで残念だけど、スペースという場所に到着したら!! 僕は歓声をあげるのを我慢したと自分でほめたい光景が広がっていた!!
「すっご……皆さん、綺麗!!」
出来るだけ声の大きさは抑えたけど、マリアーノちゃんに腰肉を軽くつねられてしまったので……怒られました、はい。でもそれくらい、ほかのコスプレイヤーさんとかはメイクも衣装も美しかったんだ。ほかにマリアーノちゃんのコスプレをしている人はいたけど……やっぱり、ホムンクルス化させた方が精度が上かもしれない。
皆、マリアーノちゃんがスペースに入ってから注目度凄かったから。
『え? あれ、どんな仕様? メイク??』
『ナルディアの人も超かっこいい!! 手前のイケメンふたりもやばくね?』
『撮影したいけど、レイヤーふたりに集中したいよね? 混ざりたいけど、規約あるから出来ないぃ』
こそこそいろいろ聞こえるけど……僕とアツシにも注目あるように聞こえた?? 僕はまあともかくとして、アツシは普通以上にかっこいいからね? けど、お嬢さん方非常に申し訳ないが……僕らは、レイヤーそれぞれのパートナーなので邪魔が入ったら容赦しませんから!!
「では、いつもどーりに」
「おk」
「いいですわよ?」
「おてやわらかに」
ということで、背景とかはないけど広い場所での撮影会スタートだ!!
次回はまた明日〜




