これからもよろしく
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──これからもよろしく
次の日、俺は見事に風邪をひいた。
「もう、濡れたまま過ごしていたからよ。安静にしておきなさい」
母上にそう叱られ、俺はベッドで安静にしておくことに。
熱があって体がだるい。鼻水も出っぱなしだ。辛い。
そこで俺のスマホがバイブした。
『東雲君、風邪ひいたの?』
羽黒さんからそのようにチャットが来ていた。
『風邪ひいた。今日は休む』
俺はそう返してからじっと横になっておく。暇だ……。
それから昼頃になったときである。
「よう、東雲君! お見舞いに来たよ!」
「羽黒さん!?」
コンビニの袋を持って現れたのは、羽黒さんだ。
「ほら、スポーツドリンクとゼリーとプリンと……」
「そんな食わんぞ……」
「食べないとよくないらないよ!」
コンビニの袋からいろいろと取り出す羽黒さん。
「……それに東雲君が風邪ひいたのって昨日の件のせいでしょ? 私にも責任はあるし、これで許して!」
そう言って羽黒さんはプリンの蓋を開けるとプラスティックの匙で拾い上げて、俺の口に向けて運んだ。
「よし。許す!」
プリンは美味かったのでオーケーです。
「……言いたくなければ言わなくていいんだけどさ。あれから伊織とどうだった?」
「普通だった。昨日のことなんてなかったみたいに普通に接してくれたよ。ただ、ちょっと距離感は感じたけどね」
「そっか」
伊織のことだからいきなり羽黒さんとよそよそしくなるとかは思っていなかったが、これからも友人としては羽黒さんと付き合ってくれるみたいで安心した。
「東雲君、心配してくれてたんだ」
「それは、まあ、当然。心配するだろ、普通?」
「やっぱりいいやつだね、東雲君はさ」
羽黒さんはそう言って笑う。
「そういう優しいところは女の子に本当にモテると思うだけどなぁ」
「優しいだけでモテてたら世の中モテモテボーイだらけだぜ?」
「東雲君ほど優しい人は早々いないよ? 自覚ないの?」
「俺は平均ほどのやさしさだと思うけどな」
俺は何事も平均を目指してきた男だ。より以上の優しさなど持ち合わせていない。
「そんこと言っちゃって。私だって惚れちゃうぐらいには優しいぞ!」
「また冗談なんだろ?」
「どう思う?」
羽黒さんはそう言って俺の方をじっと見てくる。
え? これってまさか……?
「蒼空ちゃん。お友達がもうふたり来たわよ」
と、ここで母上が扉をノックしてそう言い、扉が開くと──。
「しののめっち。風邪、大丈夫?」
「東雲君。お、お邪魔します……」
現れたのは古鷹と高雄さんで、ふたりともコンビニの袋を下げている。
「あれ? 羽黒さん、もう来てたんだ?」
「イエーイ。東雲君の看病してたよー」
「ああ! 持ってきたものが完全に被った……」
古鷹と高雄さんが持ってきたのもスポーツドリンクとゼリーにプリンである。
「わざわざ見舞いに来てくれたのか」
「ああ。心配していたからな」
俺がしみじみと言うのに高雄さんがそう言う。
「そうだぞー。昨日雨降ってたけど、そのせい?」
「かもしれない」
「早く元気になりなよー?」
そう言って古鷹は枕元にスポーツドリンクなどをお供え物のように置いていった。
「東雲君」
「何だい、羽黒さん」
俺は羽黒さんがこっちをじっと見ていることに気づく。
「これからもよろしくね」
羽黒さんは満面の笑みでそう言ったのだった。
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「クラスの女子に彼氏の代用品としてデートに付き合ったら人生が大変なことになった。」はこれにて文庫本1冊程度となり一時完結です。
続きはあるのか? ということですが、初めての現代ラブコメへの挑戦で自分の力量を越えた設定や展開となってしまい恐らく続きは絶望的です。誠に申し訳ありません。
至らなかった点などの反省点を生かした別の現代ラブコメ作品を準備中であり、未定ですがそちらが次に投稿する作品になるかと思います。
皆さんの反応などを得られて学んだ点もありますので、今後に生かしたいと思います。ありがとうございました。




