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竜達の愛娘  作者: ao
第五章 ―終章―
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ガイアス

短めです。

/シュベル


 ベルンの発案は復讐し、国を潰したい私たち竜にとっては今後の生活を守ると言う点でも、活気的な案と言えた。だが、人族の王たちはそれに難色を示す。


 理由を問えば、民が巻き込まれるのでは? 国を潰せば自分達の国にも余波があるのではないか? と心配しているようだった。

 それを否定したのは、ベルンではなく宰相の方だ。


「陛下、国王様、お二方のお心故の懸念でしょうが、心配には及ばないと思います」


「何故だ?」


「既に戦えない民たちを逃がす算段はついておりますので……」


「どういうことだ?」


「諜報部隊よりの報告では、反旗を起そうとしている民たちの中に、元デスピア王国の王家の血を引く方がいるようです。その方と魔道具を使って名を明かさずやり取りをしたのですが、とても素晴らしい考えをお持ちの方でした」


 宰相の言葉に、皇王たちが絶句した。

 まさか、この短期間で元デスピアの王家の人間と繋がりを持つとは思ってもいなかったのだろう。

 そんな二人に宰相は互いに話した内容語って聞かせた。


 魔道具で、彼にノービスと名乗った宰相は、彼からデスピア王国元、第4王子ガニアルの嫡子であるガイアス・ピア・デュールと名乗ったそうだ。


 ガイアスは、戦争が起こる寸前の所で父ガニアルに、母と弟、妹の4人でこの国を離れるよう言われ、察した母は涙ながらに共に痛いと願っていたそうだが、父に無理矢理船に乗せられ、他国へと渡った。


 そして、数年後父の戦死と共に本国であるデスピアが、グリンヒルデ王国によって滅亡した事を知ると同時に、父が命をかけ母と自分達を逃がしてくれたのだと思ったそうだ。


昔世話になった、元領主達へ連絡を取るべく数年の時間をかけたガイアスは、必死に伝を使い漸く連絡を取ることに成功した。


 グリンヒルデの自国民と元他国民との間に格差を付けた酷い統治に、元デスピアの領主たち、その思いと惨状をガイアスに伝える。そこで彼はデスピアを取り戻すことを決意したそうだ。


 グリンヒルデを滅ぼし、より良い国を作るため自分が立ち上がろうと……その決意の後、名を偽り見てくれを騙し、元デスピア王国へと侵入を果たしたらしい。


「そのガイアスとやらは、デスピアを取り戻してどうするのだ?」


「それについては、ご本人とお話しされたほうが宜しいでしょう。明後日約束しておりますので皆様にもご参加いただきたいと思います」


 厳しい顔つきのデイハが、低い声音で問えば、既に宰相は答えを用意していたような口ぶりで、本人と話せと告げた。

 本人と話したところで、信頼に値するかどうかそこの見極め次第になるのではないかと思うも、これは私が人族では無いためだと思い直し、口にすることは避けた。


 このままここで、雁首揃えて唸っていてもどうにもならないと、その日はそれで解散することにした。実際、深夜だったため、召還した者たちが来るのは明日だろうと言う見解もあったためだ。


 屋敷へ戻り、ベルンの提案について詳細を聞く。

 どうやら、グリンヒルデを潰すというよりデスピアと言う国にすると言う話は、前々から宰相とベルン二人で相談して計画していた策のようだった。


「それで。具体的にはどうするのだ?」


「お話しをする前に、我ら竜族はガイアス殿に協力すると言う言葉が必要となります」


「何故だ?」


「シュベル様には、ガイアス殿をその背に乗せて、グリンヒルデの上空を飛んでいただきたいのです」


「ほう……」


「……怒りを静めていただけませんでしょうか?」


「怒るなと言う方がおかしい話ではないか? ただでさえ人族にこれだけのことをされているのだぞ? それを許せと?」


 ベルンへ計画の詳細を問いただせば、内容を話す前に竜族全てが協力する言葉というものが必要だと説かれた。意味がわからず、聞き返せば私が人族を乗せて飛ぶなどと、言うばかげたことを言い出した。


 横からジオールの地に轟くような唸りにもにた声音が聞こえ、焦るベルンへデイハがありえないと首を振りつつ、怒りを顕にする。


「二人とも落ちつけ、今この場でベルンに対し何かをしても言っても意味は無いだろう?」


「それは……そうですが……」


「申し訳ありません」


 ジオールとデイハを交互に見遣り、言葉にすれば素直に引き下がる。そのまま視線をベルンに向ける。


「それで? 何故私がその人間を背に乗せねばならんのだ?」


「それですが、デスピアの国に伝わる古い伝承の一説に【 民困窮せし時竜に乗りし新たな王が国を救う 】と言う言葉があるそうです。

 それが使えるのではないかと、宰相とガイアスが話したようで、シュベル様にどうにかお願いできないかと言う話なのです」


「そうか……だがな、信頼に値せぬ者を乗せるつもりはないぞ?」


 ベルンの話を聞いた上で、はっきりとそう告げれば彼も既に答えは判っていたのだろう……ふぅーと息を吐き、別の案を考えるよう進言しましょうと私へ向け答えを返した。


 何故竜族全てが、ガイアスに協力すると言葉にしなければならないのか? については不明だ。そのことをベルンに問うてみれば、私の背にガイアスが乗る行為を、竜族が受け入れなければならないこと。そして、グリンヒルデに住まう民たちの前で、ガイアスに竜からの言葉を伝える必要があったためだったらしい。


「ベルン。お前は、私がガイアスを背に乗せると思っていたのか?」


 少し意地悪な質問だが、私自身がそれを受け入れると何故思ったのかを知りたかった。


「正直に申せば、ありえないと思っていました。ブリゲルタ殿の死について、先に知っていた私としては、宰相たちの話を聞いている時点で、確実に拒否されるだろうなと……」


「そうか。辛い役目を負わせたようだ。すまん」


「いいえ。竜族が生き残る為に必要なことであれば、どんなに嫌われ憎まれようとも使命を果たしてみせます」


「死ぬ覚悟などいらぬ。必要な時は私がでるから心配するな」


 はい。とだけ答えたベルンから視線を逸らし、窓の外を見遣る。

 暗かったはずの外は直に、太陽が昇るのか、かなり白んできていた。


 ウィリアや他の竜たちが起きる前に、話を切るため解散を伝え自室に戻ると、ドサっとベットに仰向けに寝転がり、目を閉じ思考する――。

 ケガをしたものや、死んだ者はいなかっただろうか? 怒りに任せ、自身が行った行動の浅はかさに酷く反省した。

 

 「はぁ~。どうしたものか……」


 知らずに一人ごとを声に出し、ガイアスのことを考えるもその途中で事切れたように眠ってしまった。

足をお運びいただきありがとうございます。

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