突然の訪問④
ダラダラした文章ですが、読んで頂き感謝いたします!! 一気に4話アップ(吐血)
ウィリアの怒り爆発から、4日目、今回はいつまでこの怒りが続くのかと辟易しながらも仕事をこなしていた。塒入り口に大気の歪みを感じベルシュとジオールはその場へ急行する。
大きな存在が移動する際に発する大気の歪みは、魔法を使えるものなら直ぐに捉える事ができる。戦闘が起こる可能性も危惧しながら、塒の正面へと到着した。
そこに居たのは、4日前に使いに出したカシと南の長デイハであった。
デイハは、シュベル達に気付くと恭しく頭を垂れ挨拶を述べる。
「これは、王竜シュベル様、久方振りの邂逅、このデイハ嬉しく思います」
「あぁ。久方振りだなデイハ殿」
「ジオール殿もお元気そうでなによりです」
「ふふっ、まぁわしは健康な身体だけが取り柄じゃて……」
ジオールが返事をしていると、リューク達が崖上から降りてきた。着地と同時に恭しく頭を垂れた。
「王竜シュベル様並びに長、申し訳ございません!」
シュベルとデイハに南の竜達が頭をさげる。
「何故、謝るのだ?」
状況が判らないデイハは、顎に手をあて、リュークを見た。
「え……? シンクアにお聞きになったのではないのですか?」
「シンクアなら、こちらに居るだろう? 私は、カシ殿によってこちらに参ったのだ」
「シンクア殿の飛行速度では、南に着くまでに、あと3日はかかるでしょう」
「なっ!! では、どうやって……」
カシは空魔法が使えるため、中の島と呼ばれる島まで空魔法を使いデイハをつれて来たのだ。4日前のカシにデイハを連れて来るよう頼んでいたのだ。堂々巡りが続く輿入れ話をキチンとするためにデイハが必要だったのだ。
リュークの疑問をぶった切り、自分の話を持ち込む。
「さて、デイハ殿まずは、此度ここへおいで願った理由を話そう」
「お伺いいたします」
「うむ、事は300年前の宴の話だ、あの時の事をどこまで鮮明に覚えている?」
「あの時は、宴に珍しい珍味が並び誠に美味しゅうございました。我が娘リィハの話をした際、王竜シュベル様は一度会い、気に入れば妻に迎えてくれるとおっしゃいましたなぁ~して我が娘を気に入っていただけたので?」
「そうだな、私は確かに、気に入れば妻に迎えるとそう告げていたのだな!」
「左様でございます」
「だが、お前の娘はお前から、私の妻になると言われたと言っているのだが?」
「まっ、まさか! そのような事はございません。私は出発前にも娘の塒に赴き気に入られるよう努力せよと伝えております!そうだな、リィハ!」
話を聞いていたリィハは、徐々に顔色をなくし、デイハの問いかけに答える事なくカタカタと震えている。笑っていない笑みを顔にのせた私はリィハを問いただす。
「答えぬのか? アレだけ我に対し塒やら、付き人やら、寝具やらを求めておいて? 可笑しい話だ…」
言葉尻に、笑顔を深めれば、巨体を震わせ後退りするリィハ
「ひっ!」
リィハの震えは更に酷くなり、シュベルを見る事さえできなくなっている。そんなリィハを庇うよう深く頭を下げるデイハ
「王竜シュベル様、誠に申し訳ありません。幼き頃より甘やかして育ててしまった為にこのような大事を招くなど!! 今後決してこのような馬鹿なマネはせぬよう厳しく躾けますゆえどうぞ、今回ばかりはご容赦を……」
「お父様――どうして!!」
潤んだ瞳で父を見つめる。だが、そんな余興など不要だとばかりに、私は言葉を吐き捨てる。
「あぁ、そうだこの際だからハッキリと告げておこう。我は、デイハ殿の娘リィハを嫁に迎えるつもりは毛頭無い!! 理由は、今回の事だけではないとだけ付け加えておこう」
「そんな、嫌です。お父様お願いです!! シュベル様にもう一度お再考をお願いして下さい……」
そう声を張り上げデイハに頼むリィハに、娘を哀れむ父親の顔を向けデイハは、その顔を長の顔に戻すと厳しい口調で決定を口にする。
「この様な不始末を仕出かした娘には、王竜シュベル様のお側に在る資格はございません。もし願われたとしても決してお側に寄せる事はできません」
「どうして!!!」
まるで、泣き崩れるリィハが存在しないかのように彼女の言葉を無視した私は簡潔に「感謝する」と伝えこの話を終わらせた。
「それとは別件だが……確かにカシを向かわせた時点ではリィハの事だけだったな……」
「……っ、他にも何か?」
下げていた頭を少しだけあげたデイハは、シュベルの表情を見て恐怖した。この方のこの様なお顔は見た事がない……
「さて、ふたつめだ……。デイハ殿そなたの娘が行った言動のせいで、増長した愚か者が宴が始まって直ぐに暴走しジオールと決闘を行った。まぁ、決闘自体は特に問題はないのだが? ジオールの魔法で身動きが取れなくなったアルティはどこに落ちたと思う?」
慌てて、アルティの方を向くデイハに対し、アルティ含め南の者達は皆顔色が悪く誰一人デイハと視線を合わせようとしなかった。
「答えよ! アルティ、貴様どこに落ちたのだ!」
「……うっ、宴の会場」
いつもの、アルティに似合わず、徐々に声が小さくなっていく
「そう! 宴の会場だ!! 北では、まず客人を向かえる際こう、伝える! 1. 北の竜達が可愛がり愛しく思っているウィスユリアを人族だからと見下した発言をしてはならない! 2. どんな状況であっても、決して食べ物を粗末にしてはならない!」
「人ぞく……? ですと?」
目を見開き驚愕した顔で見つめてくるデイハにはっきりと伝える。
「あぁ、ウィスユリアは、竜神アルバス様より直々に託された神の子だ。その子を見下す事は決して許されない!」
「ま、まさか竜神様が直々にお越しになったのですか?」
「そうだ、ここに住むものは皆その場に居た」
「なんと!!」
「まぁ、今回の論点はそこではない! 2個目だどんな状況にあっても、決して食べ物は粗末にしてはならない!」
思い至ったようだな……。
「誠に申し訳ございません。どのような罰もお受けいたします。この度の事この私めが全て被りますのでどうか、若い者達の事はお許し願えませんでしょうか?」
「ほう!! そなたが全て被るか……。それはまた……」
「はい!」
覚悟を決めた目を私に向ける、デイハ。
そんな私たちの会話を無視するように、私の後ろから、小さな手が太ももに巻きついてきた。ん? と手を巻きつけた者をみるとそこには、可愛い娘であるウィリアが抱きついている。
小さな身体で目一杯抱きついてくるウィリアにシュベルは怒りの溜飲を急激に下げ優しく諭す。
「ウィリア、ここはダメだよ。今は大事なお話をしているから直ぐに中に入りなさい?」
首を横に振り、否を示すウィリアに視線を合わせるように屈み、もう一度中へ入るように諭す。
「シュベルお父様! ウィリアは、皆に怒っています! それは、お父様もジオじぃも一緒です!」
そう言うと、頬を膨らませ、両手を腰にあて怒ってますポーズを取る。
「うっ!!」
「ウィリアどうしたら、許してくれる?」
「シュベルお父様とえっと……」
言葉に詰まるジオールを他所にその視線は、デイハに向いていた。視線に気付いたデイハは緊張する顔を見せる。
「南の竜の長でデイハと申します。はじめまして、可愛いお嬢さん」
名乗りを聞いたウィリアはニッコリ微笑み、頭をペコッと下げると
「はっ、初めまして、シュベルお父様やここで暮らす皆と一緒に暮らしている、ウィスユリアでしゅ!! ――です」
怒っていたはずだが、頬を赤く染め恥らうように、私にギュウっと抱きつく。そんなウィリアの頭を優しく撫でた。内緒話でもするように自身の口元に手を添え、私の耳元に口を近づけると小さな声で、希望を伝えてきた。
「ウィリア、本当にいいんだね?」
「うん!」
何かの確認をとると、一度頷き「わかった」と返事をしシュベルはデイハ達に向き直る。
「さて、今回の罰を言い渡す! 今回罰を与える権限を持つのはウィリアだ。よってウィリアが望む事をしてもらう」
「はい。謹んでお受けいたします」
「では、ウィリアが望んだ事をそのまま伝える……。もう1度、デイハ殿を含めた南の者達と北の者達で仲直りの宴を開いて欲しいと言っている。今回の事はそれで許すそうだ」
「ま、誠にそれでよろしいのですか?」
デイハの問いにウィリアは大きく頷いた。それをみたシュベルもまた
「ウィリアがそう決めたのだ仲直りの宴に参加するしかあるまい?」
「仰せのままに……」
「お前達も参加するように、今回はウィリアの作った餌を無駄にするなよ!」
「はっ!」
指を突きつけ、参加の了承を得た私は、満足そうに頷きウィリアを抱き上げその頬にキスを落とした。突然のキスに私を見たまま固まったウィリアは、次の瞬間には茹でた蛸のように赤く頬を染め両手でポカポカ私を叩いている。その姿がとても愛らしくシュベルは更に笑みを深めたのだった。
その日の夜、急遽開かれた仲直りの宴そこには、沢山の色彩豊かな料理が並ぶ前回の宴以上に作られた料理は、追加が無くなるまで竜達の腹を満たしたのだった。




