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竜達の愛娘  作者: ao
第四章 ―グリンヒルデ王国編―
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新たな魔道具

お読みいただきありがとうございます。

/シュベル


 宰相の紹介で訪れた店を出て、人通りの少ない道へと進み物影で鳥ほどの大きさの竜体へと戻り、空を飛び屋敷へと向う。

 空魔法で帰宅しても良かったのだが、空を飛びたい気分だった。

 澄み渡る青が広がる空を飛べば、現在抱える全ての煩わしいことから開放されたような気分になれた。


 気流に乗ったのか、翼を動かす回数も減らすことができ、周りを伺う余裕が出たことから城下の街並を楽しんでいると、私の高度からは低い位置にセシルと他数名の仲間たちを発見した。

 確か、セシルたちは今日、コーラルの監視についていたはずだな。動いていると言うことは、どこかへ向っているのだろう。と考え、上空から邪魔しないよう気をつけ彼らの後を追った。


 貴族街から、市中の市場の方へと向っている。

 暫く飛び続け、着いたのは市場ではなくその先にあるスラム街だった。

 他国の王子がスラム街に用があるとは……企んでますと伝えるようなものだろうに……。


 セシルたちが、ひときは古びた屋敷の屋根に降りる姿をみて大きく旋回し滞空する。

 思念を飛ばし状況を聞こうかと思うも、たまたま通りかかっただけの自分が口を出すのもどうかと考え、静かに見守る。


 皆が止まった屋根の入り口に、複数の男達の姿が現れたかと思えば、一様に頭を下げ出迎えの姿勢を見せた。黒塗りの馬車の扉が開き、降り立った豆粒程の人物の姿にコーラルであることが、目視で確認することができた。

 入り口で、何事か話したあと彼らは室内へと入って行った。


 これ以上見ていても、私には判らないと思い屋敷へ帰ろうと向きを変えた直後、セシルから思念で報告が入った。


《皆様聞こえますか?》


《あぁ》


《えぇ》


《おう》


《聞こえておるぞ》


《そうじゃな》


 セシルの問いに、私、ベルン、アルティ、デイハ、ジオールの順で返事を返す。


《グリンヒルデ第2王子が、スラム街にある屋敷で貴族と思われる男達と会合を持った模様です。割れた窓から、魔道具を差し込みました。これで会話を聞き取ることができるかと思います》


《でかした!》


《現在、会合を開いている事だけは聞こえるのですが、内容を把握してから再度ご報告いたします。》


《わかった》


 セシルの報告に、デイハが賞賛の声をあげた。

 内容についてはあとで知らせるとの言葉を聞き、了承したことを伝えると思念は切れたようだ。

 屋敷の方角へ向かい翼を羽ばたかせる。

 ほどなくして屋敷へ到着した。魔道具を早く作らねばと思いつつも、ウィリアの顔見たさにリビングへと向かう。


 タイミングよく入り口で、ベルンと出くわした。

 土産があったことを思い出し、彼の腕を掴み「ちょっとついてきてくれ」と伝え、私の寝室へと連れて行った。

 扉を開き中へと入る。ソファーの前で腕を放してやり、魔法:個人箱から取り出した指輪を掌に包んだ状態で差し出した。


 突然何事かと訝しむ目を向けるベルン。


「いいから、手を出せ」


 そう伝えれば、おそるおそると手を差し出す。

 手の甲を差し出され、指輪を握っていない方の手でひっくり返し、その上に指輪を乗せてやる。


「お前の番の証なのだとそれを渡してやるといい」


 ベルンは、自身の手に置かれた指輪を、目を見開き凝視するとギュッと握り締め、感謝するかのように頭を下げた。


「ウィリアが、昔言っていたそうだ。番の証として指輪を送りあうのだと。

 お前とカシリアは番になったのだから、指輪ぐらいは送ってやれ。

 カシリアに無事に戻ると誓って来い」


 昨夜ウィリアが見せた、不安と悲しみが入り混じったような顔を思い出し、カシリアもそうなのではないかと思った。

 唯でさえ、ベルンは口数が少なく事務的だ。信じていたとしても、カシリアの不安は拭えない。

 今朝の謝罪の意味もあるが、二人の仲がこれで深まれば良いと言う想いも込めて。土産で指輪を選んでみたのだが……。


「ご配慮いただき、ありがとうございます」


 そう言って、笑うとベルンは退室して行った。

 前髪をかきあげ、窓辺に座ると昨夜のことを思い返し、独りごちる。


「私も、早くウィリアを安心させてやりたいものだ――」


 指輪が出来る日が待ち遠しく感じられた。





 干渉に浸る時間は、終わりだと自身の思考で区切りをつける。

 まずは、魔道具を作ることが優先だと、魔法:個人箱から80個の魔石を取り出した。


 ベルンや監視についている皆が身につけるものだ、しっかりとしたものにしてやりたい。

 防御……だけでは足りないな、魔力が使えないような不足の自体に陥った際にも使えるものが良いだろう。そうなると、魔力を貯めておく事が出来きて、防御にも優れたもの――。

 

 「ふむ。魔力操作を活用したものと、防御を入れたもののふたつをはめ込む形にするか……」


 結論が出れば早いものだ。

 魔法:万物知識創造を使う。魔法:魔力蓄積(マミション)が出来る。

 通常時、魔力操作を行うにより、魔力を蓄積させ貯めておくことができる魔法だ。


 次のに防御の魔法を産み出す。

 魔法:完全防御(フルプロテクト)名前は仰々しいが、致命傷になるような攻撃に対して、防いでくれる魔法だ。ただ、どちらも酷く魔力を消費する。一度使えば、どちらも魔石が砕け散るだろう。無いよりはいいだろうと考え、魔石に魔法を籠めた。


 次に作るのは、魔法:防柵(バリケード)を込めた魔石だ。魔石を30個ほど取り出すと魔法を籠める。

 これは、屋敷の敷地内を柵に応じて封鎖するための魔法だ。

 ただし、これには人族の侵入を拒む魔法が込められているため、尋ねてきた者たちに気付くことができなくなる。


 そのため、呼び出しのできる魔道具を新たな魔法を籠めて作ることにした。

 魔法:万物知識創造で、作り出した魔法:呼び鈴(ホ・ベル)これには、ふたつ1組で動作するものだ。1つを屋敷の扉に設置して置き、魔力を流すことで室内にあるもうひとつの魔道具が、鈴の鳴るような音を流す仕組みだ。

 

 それと同時につけるのは、ウィリアの学生服のタイに使用している。

 魔法:視覚共有(ビーシェイル)と、同じく彼女の髪飾りについている魔法:聞き耳(ヒアード)を取り付ける予定にしている。


 これで、屋敷への侵入者を防ぐつもりなのだが、ここでひとつ問題があるとすれば、わざわざ毎回、扉を開けに行かなければならないことだ……。

 どうにか上手くできないものかと、模索してみたのだが、できなかった。

 緊急を要するため、今回はこれで我慢して貰う。

 

 魔道具とは名ばかりのものばかりだが、無いよりは良いだろうと考え早速魔法を籠めた。

 半分ほど籠め終わったところで、扉がノックされる。

 入室の許可を出せば、ウィリアが首から上だけを扉から見せた。


「おかえりなさい。シュベル様。お昼ご飯どうしますか?」


「あぁ。もうそんな時間だったか、これが終ったら下へ降りるから頼めるか?」


「はい」


 ニコっと笑顔を見せて、顔を引っ込め扉を閉めるウィリアを見送りった。

 早速、今手に持っている魔石へ魔法:防柵を籠める。淡く光った魔石の内部を見れば、キラキラと光る魔力が籠められている。


「残り25個と言ったとこか……」


 残りは、昼食にしようと立ち上がり思いダイニングへと向った。

 ダイニングには、座るウィリアの隣に既に私用の食事が並んでいた。

 視線を合わせ、同じタイミングで手を合わせ「いただきます」をする。食器に取り分けられた今日の昼食は、山盛りの肉を挟んだライスバーガー ――ウィリアが言っていた――だ。


 甘辛いしょうゆと蜜の味の後に、ピリリと絡みが来るのが溜まらない。

 つい、我を忘れてガツガツと食べてしまいたくなる味だ。

 ウィリアを褒めつつ、片手にはバーガーを持ちモグモグと頬張れば、皿は空になり直におかわりをしてしまった。

https://twitter.com/ao38257182/status/1182866854785630208?s=20


ハローウィンイベントについて、読者様にお伺いしたいと思いリンクを貼っております。

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