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竜達の愛娘  作者: ao
第四章 ―グリンヒルデ王国編―
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動き出す者たち

 お読みいただきありがとうございます。

 面白いと思っていただけるのならば、ブクマ・評価・感想・レビュー をどうぞよろしくお願いします。

/シュベル


 頼んでいたお菓子と昼ご飯を持ってウィリアが、会議室へカシと一緒に姿を見せた。


「シュベル様。お待たせしました。皆様もこんにちわ」


 カテーシーを決め立ち上がると、魔法:個人箱から次々料理をテーブルへと置いていった。

 その場に、食欲をそそる良い香りが充満する。

 その匂いに釣られたように、みなの顔が緩み腹がなる。


「どうぞ、お召し上がり下さい」


 楽しそうに微笑み、食事を勧めてくれる。

 あぁ、癒される。ウィリアが居れば、大概のことは許せるかもしれないと思いつつ。

 手を合わせれば、なんと皇王や宰相だけではなく国王までも同じように合掌していた。


「いただきます」


 食事を作ってくれたウィリアと、食物になる為に死んだであろう獣魔に感謝し声を出せば皆も同じように「いただきます」と言って食事に手をつけはじめる。


 メニューは、鳥の肉と思われる肉を使ったからあげ、パスタと言う小麦を使い細くし茹でたものに、赤い肉がかかったもの。細長く切った野菜、茹でたジャイアントコンフィをまるめて揚げたもの。肉がたっぷり入ったスープ。色とりどりのパンだった。


 後で聞いたところによれば、赤いパスタはミートスパゲッティ。ジャイアントコンフィをまるめたものは、クリームコロッケ。肉タップリのスープはテールスープだと教えてくれた。

 パンの色が違った理由は、練り込んだ野菜の色味だそうだ。


 ウィリアの食事で腹が満たされ皆満足顔で、食後の紅茶を飲み。気がつけば、各々の悩みを打ち明ける場となっている。

 皇王の悩みは、やはりと言うか……。害虫のことだったようだ。

 何度も、縁談を進めるものの一貫して拒否するだけではなく、最近では相手にわざと嫌われるような暴言を吐くなどしているらしい。さぞ頭が痛いことだろう……。


「そこで、シュベル様にご相談なのですが……」


「なんだ?」


 申し訳無さそうに眉尻を下げ、縋るような視線を向ける彼に、非常に嫌な予感がした。


「ウィリア嬢と……その、うちのジークの――「却下だ!」」


 予想通りだった。言い終わる前に即座に却下する。

 だが皇王も簡単に引き下がったりはしなかった。

 

「そこをなんとか……」


「ダメだ」


「うちの息子ではダメでしょうか? 見てくれはそこまで悪くないと思うのですが……」


「見てくれの問題ではない。ウィリアは、その……」


 チラリとウィリアの姿を見れば、気恥ずかしそうに私の言葉を待っているようだった。

 紅茶をひと口飲めば、ゴクリと喉が鳴る。


「ウィリアは、私の番なのだ」


 そう、はっきりと口に出したものの急激に顔が熱くなる。

 誰かと視線を合わせるのも恥ずかしくなり、視線が泳いだ。


「やっと、公言したのぅ」


「本当に、長かったですね。これで、我らが王もやっと一端のオスですな」


 ジオールとデイハが、漸くと言った感じで、何度もうんうんと頷きながら祝福してくれる。


「えっと……。失礼ですが番というのは?」


 眼鏡を持ち上げ宰相が聞いてくる。


「人族で言う所の妻にあたります」


 的確に、ベルンが短く説明すれば、顎が外れたように口を開け皇王と国王が私を凝視した。

 そんなにおかしいことでは無い。私とウィリアは血のつがりはないのだ。それに、神であるアルバス様やルティア様も反対はされていなかった。

 2人の様子があまりにも唖然としているため、不安になり聞いてみる。


「番になることは、おかしいのだろうか?」


 ハッとしたように、復活した国王が頭を振る(かぶりをふる)


「いえ。まさかお2人が思いあう関係だと、知らなかったもので驚いただけです」


「そうか、ならばいいのだが……。

 私は人族の知識に弱いのでな、何かおかしい事でもあるのかと心配になったのだ」


 安心し笑顔を作る。

 ウィリアの手を堂々と握れば、彼女は少しだけ俯き視線を投げて寄越しほんのりとだが笑ってくれた。


 頭を抱えた皇王に、すまないと謝ろうと口を開きかけた直後。

 監視についたリュークから思念が入り、竜たちが皆真剣な表情へと変化した。


《第2王子ですが。現在、街を中央へ馬車で向っているようです》


《人数は?》


《4人ですね。ゴードヴィズ商店から来た馬車に乗っています》


《会話を聞くことは可能か?》


《屋根に、張り付いている者がいますが、思念をまだ使える者では無いので、判り次第追って連絡いたします》


《頼む》


 そうして思念は切れた。直ぐに皇王たちへ報告する。


「どうやら、第2王子とゴードヴィズ商店の者が動いたらしい。

 詳細は現在不明だが、街の中心部に4人で移動していると報告が来た」


 その言葉に、王たちと宰相の顔が引き締まる。

 あの王子が何を企み、どこへいくのか……。リュークの報告まで待つしかないのが腹立たしい。


「なるほど、4人ですか……」


 宰相が考え込むように、復唱すると黙り込んでしまった。


「報告が来るまでは、なんともなりませんね」


「そうですね。動いたことが分っただけで、他は一切不明ですからね」


 考え込んでしまった宰相を気遣うような言葉をかける学長に、宰相も考えても仕方ないと思ったのか頷いている。


「おふたりの馴れ初めなんか聞いてもいいですか?」


 話題を変えようとしたらしい学長が選んだのが、私たちふたりの事だった。

 馴れ初めと言われても、気づけば好いていたし……、いつみても可愛いウィリアを欲しいと思ったぐらいで、人に語れるロマンス的なものは無いのだが、どうしたものか……。

 私が考え込んでいると、横に座っていたジオールが、意気揚々と語りはじめた。


「2人が出会ったのは、神の啓示じゃ。神から託された我孫に惚れぬはずはないじゃろう?」


 うんうん。と頷くベルンとカシに、視線を投げつつ黙って先を聞いた。

「ウィリア様がおったからこそ、今我らはこうして人族と語らっておるのじゃ」と、まるで全てを見てきたかのような、語りべの口調で話すジオールにおかしくなり頬が緩んでしまった。


 切々と語り続ける彼を誰も止めることはしない。

 紅茶のお代わりとお菓子を配るウィリアでさえ、自分のことであるにも関わらず面白そうにその話しを聞いていた。

 結局、リュークからの思念が届くまでジオールは語り続けていた。


「今、報告があった。どうやら、奴らはウッドビルと言う者の屋敷へ入ったようだ。

 馬車に張り付き会話を聞いていた者の報告では、そのウッドビルと言う人物が、第2王子の願いを聞き、直接本人に会うように頼んでくれると言っていたらしいが……。知り合いか?」

 

 私の報告に、宰相と皇王が顔色を変えた。

 2人の様子が只ならぬものであると直ぐに分った。


「ウッドビル公爵家のことでしょう……。

 彼の家は、皇王様の妹君で在らされる、フィスティア様が嫁がれた家です。

 フィスティア様は、10年も前に亡くなられていますが……。

 公爵自身は、実直であり特に我らに対し反旗を持っているとは思えません」


「あれは実直な男です。人を謀ったりできるような義弟ではないと信じています」


 宰相の説明を聞き、頷くように皇王も公爵本人の人柄に問題は無いと告げている。

 ならば、公爵以外の誰かが……? そう考えあることを思い出した。

 魔法:個人箱から、羊皮紙を取り出し名前を確認すれば、やはりそこに名が記されていた。


「お友達……か。息子に用があり向ったのだろうな」


 私の発言に、ハッと気づいたような表情を浮かべ、宰相の前に置かれていた羊皮紙を皇王が掻っ攫うようにして掴み確認している。


「おろかものが……」


 確認が終わった彼は、酷く疲れた顔を見せ心の底から悔しそうに呟いていた――。

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