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竜達の愛娘  作者: ao
第四章 ―グリンヒルデ王国編―
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繋がり

 お読みいただきありがとうございます。

 面白いと思っていただけるのならば、ブクマ・評価・感想・レビュー をどうぞお願いします。



/シュベル


 何度も身体を揺すられ、慌てた声が耳に届き、瞼を開いた。

 視界にがぼやけ、目頭が熱いのを感じて、指の腹で擦れば濡れたその感覚に驚いた。


「シュベル様。大丈夫ですか? 怖い夢でもみました?」


 心配そうに覗き込むウィリアの顔が今度ははっきりと見える。


「……? いいや」


 思い出そうと試みるも、どんな夢を見たのか覚えていない。

 首を振り、目を細め微笑んでやれば、安心したのだろう。ふぅ~。と吐息を吐いた。


「そうですか……良かった」


 わけもわからず急に不安を感じ、彼女を抱きしい衝動にかられた。


「ウィリア。少しだけ抱きしめていいか?」


 突然の申し出に、戸惑った様子をみせるも頷いてくれた。ソファーから起き上がり直ぐに、ウィリアの温もりを確かめる。

 ふわふわとした、優しい感情ではなく愛しさと切なさが胸を強く締め付けた。それが判ったのだろうか? 彼女は私の背を優しくあやすように何度も撫でてくれる。


「小さい頃、ウィリアが寂しいって思ってるといつもシュベル様はこうしてくれました」


「ありがとう」


 彼女の首に顔を埋め、何度もすりつけ礼を言うと同時に腹が減ったと腹が鳴る。

 

「食事にしましょうか」


「そうだな」


 その言葉を合図に、抱きしめた腕を名残惜しくも放し、視線が交わり互いに照れて笑い合う。


「それじゃぁ、作ってきますね」


 照れ隠しなのか、早口に伝える彼女は、そのままキッチンへと向った。

 ダイニングの方を見れば、偵察に行っていたはずの竜たちが帰ってきている。そのことを踏まえ考えれば結構な時間眠っていたのかもしれない。


 少し眠っただけでも、頭がすっきりとした気分になるのだなと考えていると宰相からの思念がとどいた。


《おはようございます》


《あぁ。おはよう》


 相変らずの声に、フとこの男はいつ眠っているのだろうか? と考えてしまった。


《昨日の件ですが、こちらは何も掴めませんでした。そちらはいかがでしょうか?》


《第2王子と会っていたやつの商店の名前が、ゴードヴィズ商店と言うらしい。知っているか?》


 少しの間、沈黙が流れた。

 お盆に朝食を乗せたウィリアが、次々と食事を置いていく。


 今日のメニューは、洋食のようだ。

 食欲を誘う香りのドレイク肉のステーキ、ポテト――とウィリアが呼んでいた――のサラダ、米を使った、パエリアなるもの。野菜をたっぷり入れたスープ。


 腹が鳴いてしまった私のために、ガッツリ食べれるものを用意してくれている。

 手を合わせて「いただきます」をしようとしたところで、宰相が戻ってきたようだ。


《申し訳ありません。来客があった物で、えぇ。存じております》


 その香りに我慢できず、合掌する。


「いただきます」


 ドレイク肉をフォークとナイフを使い、大きく切りつつ宰相と思念を交わす。


《ふむ。どんな繋がりだと思う?》


 ひと口大に切った、ドレイクの肉は噛めばその旨味を惜しみなく垂れ流す。


《そうですね。確か……ゴードヴィズの次女にあたる、ヒルディナと言う娘が殿下と学園での同級生だったはずです》


《なるほどな。今その娘はどうしている?》


 パエリアをスプーンで掬い、口いっぱいに頬張る。

 海産物の味がしっかりと、米につきとても旨い。


《確か、学園卒業後どこかの商家に嫁いだと聞いております》


《そうか……。同級生というだけでは繋がっているのかわからんな》


《えぇ。そうですね。もし、学園でのことをお知りになりたいのでしたら、学長や講師に聞かれた方がよろしいでしょう》


《わかった。また判り次第連絡をいれよう。それから商店の方は、このまま我らの仲間に見張らせる》


《わかりました。グリンヒルデに派遣した者たちからも、数日内に定期連絡があるはずです。その際はこちらから、ご連絡差し上げます》


《頼む》


 思念が終わると、食事に集中した。

 本当に美味かった。満足し、満たされた腹を撫でれば、ウィリアは歯を見せて笑っている。


「そんなに、美味しかったですか?」


「あぁ。満足だ」


 ふふっ。と笑い声をあげた彼女は、食器を持ちキッチンへと向ってしまう。

 少しだけ寂しく思い、後姿を見送った。

 

 学長に会うと言っても、今は長期休暇中だ。学園には居ないだろう……。

 どうしたものかと考えあぐねる私の元へ、ベルンが今届いたであろう大量の手紙を持って現れた。


 紙の無駄では無いのか? と言いたくなるほどの量にうんざりした顔をみせれば、ベルンも同意するようにうんざりしたと言う顔をする。

 目の前にドサと置かれた手紙を、避けようと手をかざした。

 目に付いた1通の手紙を、持ち上げてみれば上質な手触りの白い紙を使った、見た事の無い紋章の封蝋が押されていた。


 封蝋に押された紋章を良く見れば、槍と剣そして、竜の翼と見て取れた。


「この封蝋に見覚えはあるか?」


 持ってきた彼に問いかければ、知らないと首を横に振る。

 こう言うことに詳しいであろう、宰相に再度思念を送り問いかければ、グリンヒルデの紋章だと教えられた。


 手紙が届いたと知り、不安そうな顔を見せていたデイハの目の前で、封蝋を切り手紙を取り出し読めば、抜け替わった鱗の交渉がしたいから、グリンヒルデまで来て欲しいと書かれている。


 今更どの面下げて、そんなことを言い出すのだろうか? そう言った意味では、顔を見てみたいと思ったものの、デイハに確認させ不要な物だと言う判断をくだしたため、他の手紙と一緒に灰になった。

 

 学長にどうやって、連絡を取ろうか悩んだ末、リビングのソファーでまどろむ、アルティとセシルに使いを頼むことにした。

 魔法:応答を籠めた魔石を作り、2人を呼ぶ。


「アルティ、セシル」


 ウトウトしていたのか、トロンした表情を見せるセシルに比べ、飛び上がるように起きたアルティが、返事をする。


「なんですか?」


「すまんが、学長を探してこれを渡してきてくれ」


 手渡した魔石を受け取り、頷いたアルティは、セシルの背中をバンと音が鳴るほど叩く。

 叩かれたセシルは、ビクっと肩を揺らした後、いつも通りの表情になり頷いた。


「頼む」


「はい」


「任せて下さい」


 そう言葉を残し、玄関へ向うと鳥と同じ大きさの竜体になり飛び立って行った。

 

 その日の夜、変わらず眠れぬ夜を過ごす私の部屋を、ウィリアが訪ねてくる。どうしたのかと聞けば、怖い夢を見たから一緒に寝て欲しいと頼まれた。

 快く了承し、どんな夢を見たのか聞けば、覚えてはいない。ただ、とても不安になったのだと言う。


 今朝の私のようだと思い、ベットに眠るウィリアの頭を優しく撫でてやる。そう時間もかからず、すぅーすぅーと規則正しい寝息が聞こえ、ベットの柱に寄りかかるように私も眠りについた。

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