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竜達の愛娘  作者: ao
第四章 ―グリンヒルデ王国編―
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ダンスパーティー

 お読みいただきありがとうございます。

 評価・ブックマークを頂きありがとうございます。少しでも気に入って頂けるようであればよろしくお願いします。

 また、既に頂いている方もそうでない方もお時間ある時で構いませんので感想をいただければ嬉しいです。

/シュベル


 入り口には沢山の馬車が並び、会場内では正装した男性に伴われ、贅を競うかなような装いのドレスを見せる女性たちが、見せつけるかのごとくその姿を晒している。

 そうはいいつつも、私たちもまた同じような服を着ているわけだが……。


 真っ赤なドレスを着た、アルミスが嬉しそうに微笑み1回転して見せるとポーズを決め


「どうですか? 似合いますか?」


 そう男竜たちの方を見て問いかける彼女に引き攣った笑顔で「良くお似合いですよ」とカシが代表で答えていた。

 今回のドレスは、生地や刺繍などを自分で選んだことで相当気に入っているらしい。そのため着替え終わってからというものこれで、8回目となる質問だった……。


 非常にめんどくさいことではあるが、返答を怠ればボッコボコにされるのは男のほうなのだ。

 実際に、しつこいと言いかけたベルンが、アルミスによりその前髪をパッツンにされていた……。自業自得である。


 ダンスパーティーとは言え、踊れない私たちは隅の方に固まり食事や飲み物を楽しむ程度で、特にこれといってすることが無い。

 そのため私は、ウィリアのドレス姿を楽しんでいたのだが……。仲良くしている同級生の男子からダンスに誘われ踊っている姿をみるのはまったくもって楽しくない。


 そんな私に気付いた、カシが宥めるため違う話しを振ってくる。


「シュベル様、冒険者ギルドの件ですが、無事に刑の行使が終わったようですよ」


「そうか」


 一安心だと頷けば、カシも同じように頷きウィリアへと視線を向けている。微笑ましい顔をしているカシとは違い、憎憎しい顔でその様子を見つめるジオールを落ち着かせるため、魔法:個人箱から取り出した、羊羹と呼ばれる菓子を渡してやった。


 いざという時のため、ウィリアに頼み作ってもらった和菓子とよばれる菓子をジオールは酷く好むのだ。これで少しでも落ち着いてくれればいいが……などと考えていると、ダンスを終えたウィリアが戻ろうと、こちらへ歩いてくるのが見えた。


 後、少しで到着というところで見覚えのある男が彼女に話しかけてくる。驚いた様子を見せたウィリアだが、男性に向かい何かを伝え終えると男性の横をすり抜けるようこちらへと歩いてくると、そのまま私の身体に抱きついてくる。


《どうしたのだ?》


 突然の行動に疑問を持ち問いかければ、巻きついた腕の力を強める。


《ウィリア?》


 2度目の問いかけに漸く顔を上げた彼女は、その美しい顔を顰めていた。


《さっきの人、グリンヒルデの人だった。王子と踊れって……》


《それで?》


《断ったけど、また来るって……》


 不安なことを伝えるには十分な思念での会話だった。そこへ、王子の従者だと思われる男が私たちへと微笑みを浮かべ声をかけてくる。


「失礼。先ほどのお返事いただけますか? レディー」


 にべも無く手を差し出す彼の手を、ペシっと叩いて払いのければ、笑みは消え真顔になると奥に見える傲慢な色は隠すつもりもないようで、自身の方が地位が上だと言う態度で威圧的な言葉を繰り出しはじめる。


「何を? 関係ない方は手出ししないでいただきたいですな」


「お前の主人がどれだけ偉いかは知らんが、私の娘に手を出すのは許さん」


 私が娘と発言したことに男は驚きを見せた。その後あからさまに媚を売り始める。


「これは失礼をいたしました。私の主が是非お嬢様とダンスをと申しておりまして。よろしければお嬢様をご説得いただけませんでしょうか?」


「さっきも伝えただろ?」


 素気無くあしらえば、男は顔を歪め睨みつけてくる。

 そこへ、痺れを切らしたのかグリンヒルデ第2王子が爽やかな笑顔で、こちらへ歩み寄ると私を上から下までじっくりと眺めニヤっと、ゾクリとする顔を向けた。


「殿下、申し訳ありません」


 深く頭を下げて謝る従者に、彼は優しげな声音で「いいんだよ」と返事を返すと私へと向き直った。


「以前、演習場でお会いしましたね。はじめまして、コーラル・ハイド・フォン・グリンヒルデと申します」


「あぁ。シュベル・クリム・ハーナスだ」


 ニッコリと微笑む王子の眼の奥には、獲物を狙う獰猛な獣のそれと同じものを感じて、警戒を更に深くする。


「ところで、ハーナス卿のパートナーはどちらに? 是非ご挨拶したいのですが」


「私に、そう言ったものはいない」


 不思議に思いながらも、そう答えれば彼の笑みは更に深くった。


「そうなのですが!? もし……今晩お時間があるようでしたら、是非共に飲みませんか?」


 何故、私を酒の席へ誘うのだ? はっ! もしやウィリアを狙っての事か? この男の考えが見えるようで見ない……。こういう輩には近付かない方が身のためだ。


「すまないが、酒はあまり得意ではないのだ」


 敢えて弱いと伝えておけば、この男も諦めるだろうと考えたのだが……。


「そうなのですか? もし、酔われも問題ありませんよ。私が優しく介抱いたしますから……」


 その言葉に、背中がゾクゾクとなり次第に全身を覆っていく。なんなのだ、これは……!! 恐怖ではない、身の危険を感じる! 意味がわからず皆の方を見れば、皆へ平然としている……。


「すまんんが、それも遠慮する」


「あら、残念ですね……。優しく介抱して差し上げたかったのですが……。それに、馬鹿の件でもお話ししたいことがあったのですけど、仕方ないですね」


 コーラルはそう言うと、肩をすくめて見せた。


「そうでした。我父が竜族(あなたがた)とお会いしたいと申しておりましたよ。気が向かれた際にでも是非グリンヒルデへお越し下さい」


 片目を瞑り、口へ指を持っていくと唇へ押し当てふっと息を指へ吹きかける仕草を見せると彼は別の会場内へと消えていった。彼の仕草の意味はわからないが、やはり身体にゾクっと稲妻が走る感覚を覚えた。


 彼の目的は、ウィリアを出汁に私たちの居場所を探り、あの馬鹿王子の件を引き合いに国王からの言葉を伝えることなのだろう。

 

 背心的に疲労を感じるが、折角のダンスパーティーなのだと思いなおし、ウィリアをダンスへ誘う。


「ウィリア、踊ろうか?」


「はい!」


 嬉しそうに答える彼女の手を握り会場の中ほどへ移動する。

 ダンスを踊る者たちの邪魔にならない位置まで移動すると、両手を握りくるくると回った。何曲かダンスを楽しみ、皆がいる場所へ戻る。

 テーブルに積みあがった皿とグラスの量から皆も十分に(飲み食いを)楽しんだようだ。


 ダンスパーティーも終わりへと近付いているのだろう、あれだけいた人族たちが少しずつ帰りはじめているようだ。

 その波にのるように私たちも帰ろうと話になり馬車乗り場へと向う。

 会場を出て右へ行けば庭がある、そこを真っ直ぐ通り抜けた方が早いと思いそちらへ皆を誘導するように歩いていると木々の影から聞き覚える男の声が聞こえた。


「よろしかったのですか?」


「あらぁ~。平気よぉ~」


「ですが……」


「うふふっ。彼凄く()()()()だったのよ。仕方ないわ」


「ご報告いかがいたしますか?」


「まぁ、そこは考えるわ。()()()()()()もあるしね……。必ず来ていただきましょう」


 会話が途絶えるとふたつの足音が遠ざかっていくのが聞こえた……。

 謎めいた会話をしていた2人の声は間違いなく奴らだ、いずれ何かしてくる可能性を考えベルンたちへ注意を促すため思念を送る。


《よからぬ考えの者がいるようだ。皆に伝えておけ》


 頷く皆を確認し、馬車乗り場へと急いだ。

本日、もう1話手動であげる予定です。寝落ちしてたら、起きて直ぐにあげます。

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