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竜達の愛娘  作者: ao
第三章 ―冒険者ギルド・決着編―
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根源……回復魔法②

 お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークを頂きありがとうございます。まだの方もお時間ある時にでも、感想・評価・ブクマークをいただければ嬉しいです。


少し短めです。

/シュベル


 その後直ぐにウィリアは目覚めた。皆が喜び安心しようにベットの側へと来ると心配をかけたことへの謝罪を口にした。


「心配かけて、ごめんなさい……」


 目が覚めたウィリアを次々と抱きしめ声をかけている、皆が一頻り(ひとしきり)構い倒すのを見守り、彼女をゆっくり休ませるため離宮へと移動させた。


 その夜、私はウィリアと2人で話すため、ジオールとデイハに後で話があるとだけ伝え、皆には遠慮してもらった。その際、アルミス・カシがかなりごねていたが、私の纏う雰囲気に何かを察したらしく、その後は大人しく下がってくれた。


 クッションに寄りかかるように座るウィリア。

 私はベットの縁に座り、緊張した面持ちで見つめているウィリアへ言葉を紡いだ。


「ウィリア。さっきの魔法だが……」


「……。あっ……あれは……」


 彼女は魔法と言う言葉に視線を逸らし、言葉を濁した。


「怒っている訳では無いんだ。ただ……、ウィリアが使った魔法は、根源と魔力を混ぜたものなんだろう?」


 その言葉に、彼女は俯き僅かに身体を揺らした。落ち着かせるため、彼女の白く細い手を握りゆっくりと撫でた。


「どっ、どうして……」


「私が、ウィリアに魔法を教えのだから、それぐらい見抜けなくてどうするのだ?」


 本当はカルミティアル様に聞いたことだが……、彼の神がこちらに干渉したことは伏せるべきと考え、当然と言わんばかりの口調で彼女に伝えた。


 ウィリアと名を呼び、視線を合わせると少しだけ悲しそうに笑った。本人も分っていたのかもしれない。根源を使った魔法を使う恐ろしさを……。


「アレは、とても危険な魔法だと分っているだろう? だから、私へ2度としないと誓ってくれ……」


 できるだけ、平静を装い言葉にするも、心では懇願する思いで、言葉を搾り出していた。彼女はその言葉に悲しそうに笑うだけだった……。


「ウィリアを失いたくないのだ! お前を好いていると何度も伝えただろう? いずれ……番になるのだろう? ……ゆび……きりした……だろう?」


 色々な感情が湧き上がり……目頭が熱くなる、言葉をひとつ伝える度に雫が流れた。ウィリアの手に添えた手に、私のものでは無い大粒の雫が落ちていた。


「ごっ、ごめんなさい。もっ、もう、しないってやっ、やくそく、します」


「うん」


 短い言葉だったけれど、ウィリアの本心が詰まっていた。添えた手を強く握り、きっと見るに耐えない顔をしていただろう私の泣き笑いの顔を見た彼女は、ぎゅーっと抱きしめてくれた。


 それに答えるように抱きしめ返すと、ウィリアは私の胸元に顔を埋め気を抜けば聞き逃してしまいそうなほど小さな声で「約束します」そう言っていた。


 暫く、抱き合っていたと思う。窓辺から室内の中程まで入っていた月光がその光を弱めるはじめるころ、抱きついたまま眠ってしまったウィリアをベットに寝かせるとベットの側にある椅子へと腰掛け寝顔を見つめていた。


 小さなノックの音と共に、代表としてジオールとデイハが部屋を訪れた。


「おやすみになられたようですな」


 デイハが、ベットを見ながら言う。


「シュベル様、我らに話とは?」


 眠るウィリアを起さないため思念を2人に送った。


《こちらで話した方がいいだろう?》


 2人はニヤっと笑みを浮かべると頷いた。


《今日、ウィリアが使った魔法についてだ……!》


その話題を言葉にすれば、2人の顔つきが真剣なものへと変わる。あの状況を思い出していたらしいデイハの思念がポツリと零したように響いた。


《あれは異常でしたな》


《わしでもあそこまでの魔法は見たことがないからのぅ》


 やはり、デイハもジオールもあの魔法についてい訝しんでいたのだろう。これを伝えれば2人はきっと悲しい思いをするだろう……。だが、伝えなければウィリアの未来がない……と考え、意を決して2人に伝える。


《あれは、魔力と根源を混ぜた大魔法だ……。お前たちなら覚えているだろう? 神殿の巫女がこの魔法を使い消滅したのを……》


 2人とも無言で頷くのが背一杯だったのだろう。顔色が蒼白を越え白くなっている。


《ほっ……本当に、ウィリア様は大魔法を使ったのですか?》


 瞬きを忘れジオールが確認するように見つめてきた。それに同意するよう瞼を閉じる。


《ウィリア様は、消滅することをご存知なのですか?》


 焦燥感を漂わせデイハが聞いてきた。頷くことで同意を示した。


「……そんな……」


 思念を忘れた、デイハの声が無音の室内に響いたのだった。2人の肩に励ますように手を置き何度かトントンと叩いた。


《お前たちの気持ちは痛いほどわかる。それにな……ウィリアは、もうしないと約束してくれた! だから私は信じたいと思う。お前たちもそのつもりで見守って欲しい》


《シュベル様は、それでよいのですか?》


 気遣うデイハの言葉に、カルミティアル様との会話が思い出された……。悟られるわけにはいかないのだ。と自身を奮起させ笑って頷いて見せた。


《守るのは当然じゃ! 我らの王であるシュベル様の番だしのぅ》


 そんなこと気付かないはずのないジオールが、フンと鼻を鳴らすと片目を瞑りそう言ってくれた。ジオールのこう言うところ……ら何度も幼い頃から救われてきた。


《ははは! そうですな! 我らは王の番のために、全力を尽くしましょう!》


 高笑いを決めた、デイハも力こぶを作るような仕草を見せそう言ってくれた。2人の想いに今日何度目かわからない感謝を表した。


《ありがとう。ジオール、デイハ》


 その後、2人を含み話しをした。ウィリアの魔法については私たち3人だけの話とすること、他の者にはあの魔法のことを決して漏らさないよう徹底することなど幾つか決めた。

 話し合いも終わり、2人が部屋を後にする。窓辺に座り外を見れば、月はその光と姿を薄くし、海の向こう側から太陽がいまかいまかと空を白ませていた。


 空を見つめ、ヒルデスの言葉を思い出す『今は病床にいるのです……。ですから、動けるようになるまで……』カレラの父親は、口をきけなくするために暴行される可能性が高い。直ぐにでも治療できる者が必要になるだろう。そう考えカシリアに思念を飛ばす。


《カシリア、聞こえるか?》


《はい。聞こえてます》


 返事は直ぐに帰って来た。


《頼みがある。日が昇り、朝食を終えた後で構わない。神殿に向かい巫女とこちらへ来る準備を整えておいて欲しい》

 

《神殿の巫女ですか?》


 カシリアは、訝しむ声で聞き直す。


《そうだ。巫女に治療してもらいたい者がいるのだ。準備ができればカシへ連絡を入れてくれ》


 それ以上聞くつもりは無いのだろう。彼女は、《分りました》と返事を返すと思念での会話を終わらせる。

 そのまま、カシへと連絡をいれ了承を貰うと、私はひと息つき、眠るウィリアへと視線を向け規則正しく動く、掛け布団を確認すると窓の外をみやった。


 日が昇ればヒルデスとは決着がつく、カレラとその父親のために私が準備できることは他にないか考える。根源魔法を使ったウィリアのことがチラつき、思考がそのことに引っ張られそうになる。


 今は……、奴らにその罪を償わせることが優先だ! そう意思を強く持つと、魔法:個人箱から魔石を幾つか取り出した。必ず奴に罪を認めさせることのできる魔道具を作るため思案する……。

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