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竜達の愛娘  作者: ao
第二章 ―冒険者ギルド編―
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警告・・・冒険者ギルド②

 お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークを頂きありがとうございます。お時間ある時にでも、感想をいただければ嬉しいです。

/シュベル


 最高の笑顔を浮かべ、暴走する竜たち。呆然と立ち竦む大柄の男。ガタガタと震えるギルド職員。遠巻きに恐れおののく冒険者と一般市民。その様子に頭を抱える私……。


 この状況をどう打開すればいいのだろうか……。こんなことなら、学園で大人しくウィリアの側に居た方が幸せだったかもしれない――。

 

 現実逃避するも、それは許されないと知っている私は、気丈に振舞うことにした。まずは、状況の確認からするべきなのだろうが、冒険者ギルドの建物だけが倒壊しており、両隣も後の建物もどこにも異常は無かった。本当に綺麗に、冒険者ギルド、デュセイ本部の建物だけが瓦礫の山となっていた……。


 こんな綺麗に倒せる魔法を使えるのは、カシとベルンとリュークだけだろうと当たりを着け、誰がやったのかを確認する。


「それで、あれを作ったのは誰だ?」


 そこで、以外にも手を上げたのはアルティだった。私は、驚き何度も本当か? と確認してしまった。


 そんなことをしている間に、騒動と聞きつけた兵士がやってきた。兵士は冒険者ギルドの者や周りの冒険者に話しを聞くと、厳しい顔をして私たちの元へやってくると金切り声を上げた。


「お前たちが、ギルドの建物を破壊したと証言があった。本当か?」


「あぁ、確かに我らの仲間がやった」


 素直に認めた私に対し、聞いてきた兵士はニヤリとした嫌な笑いを浮かべると、気を抜いていた私へ、殴りかかり身体を押さえつけるように片膝を立て、馬乗りになる。


「こいつらが犯人だ、多少殴っても構わん言うことを聞かせろ!」


 そう兵士が叫び指示を出すと、他の兵士も当然のように殴りかかる。それをひょいっとかわしジオールが私に向って


「シュベル様、鍛錬をサボっておられましたからのぅ」


「うるさい!! 確かに、鍛錬を最近はやっていない……油断していただけで、この程度いつもの私ならさけられたのだ!」


 押さえつけられてもなお平然と話す私に、その兵士は焦ったように殴りつけてくる。何度殴られようと、所詮は竜、鱗で覆われた皮膚は人族の素手ごときでは傷つけられないのだ。


 アルティの相手をしていた兵士が、武器を使おうとした。その兵士へ私は魔法を使う。ピリピリと雷が彼の体の自由を奪った。あまりの理不尽さに私が怒りを覚えた。


 私を抑える兵士を、身体ごと持ち上げ投げ捨てる。身体を起こし、立ち上がると皇王へと思念を飛ばす。


《皇王、今すぐ冒険者ギルドにいる兵士を引かせろ。でなかれば兵士は殺す》


《はっはい!!》


《至急だ》


《わかりました》


 その思念を一時中断する、暫くすると兵士達の動きが止まり、徐々に顔色が青くなると、その場にへたり込んでしまった。皇王からの連絡が届いたのだろう。


 漸く、兵士全てがとまったのを確認し、皇王へ礼を伝えるべく思念を再開する。


《すまんな。世話をかけた》


《いえ、何があったのですか?》


《簡単に説明すると、昨晩冒険者が私の領地に侵入した。警告を発したがその場で戦闘となり捕らえた。それを護送し冒険者ギルドに来たのだが、ギルドの上の者とは話が通じず、苛立ったこともあり、城へ護送しようとしたのだが、大通りでギルドの上の者が、私に対する暴言を吐き、それに怒りを感じた同行者の竜が冒険者ギルドの建物を破壊した。その騒ぎを聞きつけた兵士が、有無を言わさず私たちに暴行を加えた。と言う状態だ》


《なんと……。既に騎士をそちらに派遣しております。内容はこちらから伝えておきましょう。捕らえた冒険者と冒険者ギルドの上の者も共に連れて此方へお越しいただけますか?それと、元本部を取り仕切っていたギルド長も呼び出しをしてきます》


《あぁ、よろしく頼む》


《はい。》


 突然大人しくなった兵士たちに、先程話していたギルド職員たちが声をかけている。だが、兵士は何も言わず、沈黙したままだった。


 10分もしない内に、騎士たちが到着する。先頭で馬に乗っていた人物が私の方へ歩いてくると、膝を突き謝罪の言葉を陳べた。


「竜大公様に、この国の兵士が非礼どころか暴力を振るいましたこと、皇王様より謝罪の言葉をお預かりしております。また、このような場にいつまでも留まらせることがないよう丁重に城へ起した願いたいとのお言葉もありますので、よろしければこのまま城へご一緒していただけますでしょうか?」


「我、友の誘いであれば行かぬわけにはいかんな。謝罪の件に関しては受け取ったと伝言を頼めるか?」


「ご配慮感謝いたします」


 私が頷くと、騎士は立ち上がり、早速、指示を飛ばしはじめる。ギルド職員全員と兵士を捕縛し、私が出した荷馬車数台に分けて乗せると城へと護送を開始した。

 

 道中は特に何事も無く進み、城へと無事入ることができた。いつもの場所にいくのかと思っていたが、今回人数が多いと言うことで、騎士たちの訓練場となっている広大な広場へと移動する。

 

 訓練場では沢山の騎士が訓練していた。馬車の到着で一時、訓練の手を止めると隊列を組むように並び敬礼する。先頭で馬を駆っていた、先程私に謝罪の言葉を陳べた騎士が馬を降り片手をあげると、隊列を組んでいた騎士達が、同時に左胸の前に拳を当てた。


 馬車に乗せていた者たちを降ろすと、その周りを騎士が囲んだ。そして漸く、皇王たちが10名ほどの人族を連れて現れると、騎士たちは片膝を突き左胸の前に拳を置いた。


 それを視界に入れた皇王が、片手をあげると騎士たちは立ち上がり、両足を揃え腕を後に組むと動かなくなった。


 皇王が私たちに椅子を勧め、座ったのを確認すると、宰相が厳しい口調で取り調べをはじめた。


「この度、竜大公シュベル・クリム・ハーナス様より、自領に進入し、警告を無視したあげく攻撃した冒険者を捕らえ、冒険者ギルドへ護送したところ、冒険者ギルド、デュセイ本部 ギルド長バスカ・バッケンと対話ができないと思われ、王城へ護送しようとしたところ、ギルド長バスカ・バッケンからの暴言に耐えかねた、竜大公シュベル・クリム・ハーナス様の同行者によりギルド本部の建物が崩壊したと報告があった。相違ないか?」

 

 私は、何も間違っていないので頷く。ギルド長だったらしい大柄な男は声を張り上げる。


「違う!この男は、ギルド内で偉そうにギルドの受付嬢を叱りつけた! だから、俺……いや、私はこの男に、悪態をついたのです!」


「ふむ」そう呟いた宰相が、私の方へ顔を向ける。私は、肩を竦めてみせた。私の横から宰相に手招きする者がいた。ベルンである。彼は、自身の首元につけていたチョーカーを外すと、それを宰相に渡す。


「これは?」


 訝しむ顔で、手の物とベルンをみる宰相


「記録用魔道具です」


 そう告げると、これまでみた事が無い程の笑顔で微笑みかけた。その言葉を聞いた宰相はニヤリと黒い笑みを浮かべ感謝を陳べると、取調べを再開する。


「先程、竜大公様より記録用魔道具が提出された。それを見て判断したいと思う」


 そう告げた宰相が、1人の魔導師に魔道具を手渡すと魔道具が再生された。それは昨夜の戦闘の様子からはじまり、ギルド崩壊後に起こった、兵士の暴挙まで全てを写しだしていた。


 言葉を失う、犯罪者たちに憤怒の表情でその瞳に怒りを乗せた皇王が立ち上がる。


「ギルド長だったか? お前が言うような受付嬢への悪態などどこにあるのだ! 我の前で嘘偽りを言うなど……!! 許されると思うたか!? 」


 そう言い放った皇王は、改めて私へ向き直ると謝罪の言葉を口にする。


「既に謝罪は受け取っている。皇王が悪いわけではない気にするな」


 私の言葉を受け、皇王は軽く頭を下げるとギルド長並びに、受付嬢、現場へ向った兵士全てを牢に繋ぐように指示を出した。


 次に、冒険者たちへの尋問がはじまる。そこで私は、宰相へある紙を渡す。その紙を受け取り読み終わった宰相は、直ぐに文官数名を呼び寄せると指示を出し、皇王へ紙をわたす。


 紙を受け取った、皇王はその紙の内容に目を通すと。グシャっと握りつぶした。直ぐ側に居た元ギルド長らしき老齢の偉丈夫へ、握り潰された紙を胸元に突きつけ、怒りで更に顔を赤くさせた。


「これは、どう言う事だ! お前たち冒険者ギルドは、我が国が竜を狩るなと禁止した法案に嫌がらせをしたいのか? 冒険者ギルド総本部へ抗議を出す! この件に関して我が国は決して引かん! 急ぎ届けよ!」


 皇王の言葉に、側にいた宰相補佐の男が走り去って行った……。

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