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竜達の愛娘  作者: ao
第二章 ―冒険者ギルド編―
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歴史・・・バレマシタ②

 お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークをしていただきありがとうございます。もし、お時間があり書いてもいいなと思われる奇特な方がいらっしゃいましたら、感想をいただけると嬉しいです。

/シュベル


 学長の執務室で、私とジオールは2人で、今後起こりうる事を相談する事にした。我らが一番危惧する事は、元南の竜達の事、ウィリアの事、そして、グリンヒルデ王国の動向だ。


《やはり、デイハ様にもこの事は伝えておくべきではないかのぅ?》


《確かに、間違いではないが、デイハ殿だけならまだしも、アルティとセシルがどう反応するか、私が危惧するのはそこなのだ》


《じゃが、彼らのため前もって話しておく方が、良いのではないかのぅ?恨みに囚われる者も多いのは知っておるのじゃ。未だにウィリア様の事ですら、影で陰口をたたく者もいるようですしのぅ……》


《そうだな、後で知るより今、知らせておいた方がいいな》


《そうじゃな》


《どうせなら、今から呼ぶか!!》


 フッと、ジオールが鼻を鳴らして笑った。


《そう言う、思い切りのいいとこは先代そっくりですのぅ。ふぉふぉふぉ》


《あの、爺に私が似てるのか? やめてくれ‥…》


 私は、力が抜けたように、ソファーにもたれかかる。


 ジオールの言う先代とは、前竜王である、私の父親の事を指す。私の父は、ある意味竜王らしい王だった。やる事成す事、滅茶苦茶で私が幼い頃だった。


 父は、突然近くの人族の集落に落ちたち『私は、新しい妻を欲する! お前達人族の中で見目麗しい女を妻とする』と言い放ち、本当に塒につれて帰って来たことがあった。その後、その女の事は、3日で飽きたと言いはじめ、結局4日目には、元の集落へ送り届けるはめになった。

 そんな、父と似ていると言われても、まったく喜べないのだ。


《良く、似ておりますぞ》


《本気でやめてくれ!!》


 そんな会話をしている内に、ベルンが戻り。少し遅れて、扉を開け学長達が、部屋へ戻ってきた。学長達は、ソファーに移動すると、さっそくと言わんばかりに話しはじめようとしていた。


「それで、先程の件ですがっ」


 私は、片手をあげる


「すまん。まだ全員揃ってないんだ。来るまで待ってくれ」


「わかりました」


 学長達も、少し気が緩んだのか、身体の力を抜きソファーへ深く座っている。今日はじめて魔力操作の訓練をしたのだ、身体が疲れていないわけがない。


 馬車を片付けて戻った、ベルンが思念を飛ばして来た。


《先程の件、この者に伝えますか?》


《いや、伝えるなら皇王・宰相がいる時のほうがいいだろう》


《わかりました。では連絡を入れておいたほうがいいですね?》


《あぁ、頼む》


《はっ》


 事務的な会話をベルンと交わし、私もソファーに身を預けるようにして座った。

 

 今日は、ウィリアの入園の式典だった。制服はやはり似合っていたな! あのスカート丈だけが気に入らないが――そうか、学長に言えばできるのではない? いっその事今のうちに言って、変更させようか? いや、それをすると私が不埒物みたいではないか!! はぁ~。


 それにしても、あの王子の登場のせいでウィリアの晩御飯は、帰るまでお預けだ。しかも、南との話し合いもある、デイハがどう思うのか、否、南がどう判断するのか、そこも気にかかる。それだけじゃなく、あの王子がもしウィリアを欲したら――。


 私は、思考を止めた、グダグダ考える位なら今日の夕飯のメニューの方がまだましだと考えたからだ。


《お待たせいたしました》


 そう、思念が届くと同時に、カシ・デイハが、学長の執務室へと現れた。デイハ・ジオールが私の横に座ると、事務官が用意した椅子にカシ・ベルン・アルミスが座った。


「さっそくで、申し訳ないのですが、先程の件について竜大公様にご相談があります」

 

 そう切り出したのは、学長だった。


「あぁ、相談とは?」


「先程、グリンヒルデの王子であるコーラル殿下と、話した内容についてなのです。実はその……」


 非常に、言い難い表情を見せ頭を掻く、学長に私は先を促す。


「それで?」


「……その、魔道具を作っていただけないでしょうか?」


「は?」


 呆けた顔の私が居たことだろう。何を言い出したのか理解できなかった。


「その、実は先程、コーラル殿下に言ってしまった。誓約の書を作る魔道具を作っていただけませんでしょうか?」


 そこまで言うと、学長達は、ソファーを降り土下座した。


「……ひとつ聞きたいのだが、先程の話の中でそう言う魔道具があると、お前は行っていたが、それは、はったりだったということか?」


「はい!」


 3人共に、床に頭を縫いつけたように動かず、私の返事を待っている。


「できるわけないだろ? 」


 私は、そう言う事しかできなかった。顔を上げた3人は、項垂れている。

 

 室内に沈黙が落ちた。だが、こればかりはどう考えても無理なのだ。記憶を全て失うのが1度なら、なんとかできるかもしれない。けれど、学長が彼に伝えたのは、学園を1度出れば忘れる。と言う事は、学園にさえ戻れば思い出せると言う事になる。そんな魔法を私は知らない!! たとえ万物知識創造があったとしても作れない。


 静かな室内で、ポツリと声が響いた。


「ウィリア様なら、できる可能性があるのでは?」


 その声の主に、皆の視線が集中する。デイハは焦ったように視線を彷徨わせていた。


「ウィリアなら……か」


 私は、デイハの言葉を繰り返す。もし可能性があるとするなら、私達の知らないものを知っているウィリアしかいない。


「聞いてみるか‥…ダメなら。魔力操作の授業を辞めればいいのだ」


 私は独り言のように、呟くとウィリアへ思念を送った。


《ウィリア。聞こえるか?》


《はい、シュベル様。もうお帰りになるのですか?》


《いや、まだ暫くかかりそうだ》


《そうですか……。あの、早く帰ってきてくださいね! シュベル様が居ないと、ウィリア寂しいですから……》


 ウィリアに甘ったるい声で、寂しいといわれたら急いで帰りたくなるというものだ。


《あっうっ……ぁ、あぁ!!》


 皆にも思念が聞こえている事を忘れていた私は、ジオールから腹へ一発貰い。ベルンから、肩をにめり込むほどの力で握られている。


《どうしたのですか? 声が変です! 本当に何もないのですか?》


《あぁ。大丈夫だ。とりあえず一度思念を切るから、後で話そう》


《はい。楽しみにしてますね》


 弾むようなウィリアの声に一度別れをつげる。そして、竜達による、無言の責めを受けている。


「後で、大事なお話がありますわ。シュベル様」


 笑ってない笑顔のアルミスが、ドスの効いた声で私にそう言った。

 私は、それに返事を返すこと無く、ウィリアと2人の思念に切り替える。


《ウィリア。聞こえるか?》


《はい、シュベル様》


《今から、皆と思念を繋ぐから呼び方はいつも通りでな》


《はい》


 仕切りなおしとばかりに、私はウィリアと他の竜を繋いだ。


《皆、聞こえるか?》


《……》


《はい。シュベルお父様》


 横に居るジオールが、はぁ~。と盛大に溜息を吐いた。


《他の者達も聞こえているようだし、本題に入ろう》


《本題?》


《そうだ。まずウィリアに聞きたい。今日演習場でニルク学長とコーラルが、話していた内容を覚え

ているか?》


《はい》


《その時、出ていた魔道具についてどう思った?》


《……そうですね。作ろうと思えばできるなぁって思いました》


「作ろうと思えばできるなってことは!!」


 驚き声を出したのは、ベルンだった。いつもの無表情の顔が、瞼が広がり目を剥き、開けた口に手を当てている。


《そうか、もしウィリアに、同じ魔道具を作って欲しいって言ったらできるか?》


《誓約書を1個で全部作るのは無理ですけど、作る事ならできると思いますよ》


 ウィリアの言葉は、できると言っている。ならば、後は試す必要がある。


《そうか。では1台私が言う通りに作ってくれるか?》


《はい。シュベルお父様》


《では、その魔道具をつけた状態で、学長室に入り、お菓子を食べる食べる。その後、魔道具をはずし、学長室を1歩でも出れば、そこで食べたお菓子を忘れる。

 魔道具をつけない限り学長質に入っても忘れてしまう。ただし、魔道具をつけて戻れば御菓子を食べた事を思い出すと言う魔道具を作って欲しい》


《分りました。魔石を幾つか貰っていいですか?》


《あぁ、構わない好きなだけ使っていい。できたら、思念を飛ばして欲しい》


《はい、シュベルお父様》


 そうして思念を切ると、学長に向き合う。


「もしかしたら、だが魔道具が手に入るかも知れんぞ」


 驚いた表情で、立ち上がり私の顔から5センチ程のところまで顔をよせると彼は、満面の笑みを見せ


「本当ですか!!!」


 そう、大きな声で叫んでいた。いい迷惑である。


「まぁ、まだ確実とは言えないが、もしかしたら手に入る程度に思っておいて貰いたい」

学長は、副学長と事務官に両脇で抑えられ、ソファーへと連れ戻された。ウィリアが魔道具を作り終わるまで、暫く時間があるな。さて何をしようか……。

魔道具の部分わかりにくいかもしれないので、ここで補足します。

魔道具を使うと、限定された空間のみ、記憶がよみがえる。と言う感じで考えていただければいいかと。

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