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竜達の愛娘  作者: ao
第二章 ―冒険者ギルド編―
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訓練・・・差し入れ②

お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークをしていただきありがとうございます。もし、お時間があり書いてもいいなと思われる奇特な方がいらっしゃいましたら、感想をいただけると嬉しいです。

 その後直ぐにウィリアは動いてくれた。ウィリアを追い視線を向ければ、学長は魔力の感じようと腹の辺りに手を置き、目をきつく閉じていた。そんな彼の肩に、私と共に、手を置いたウィリアは、目を閉じ彼の魔力を自分の魔力で操作しはじめる。


 ウィリアの操作に引っ張れるように、学長の纏う停滞していた魔力が動き出す。その魔力は、腹に集まり丸く形を作ると学長にその感覚を伝えるようにそこでとどまっている。

 時間にして約1分ほど、学長の腹に丸い形の魔力を留めたウィリアは、私を仰ぎみる。


《これで、いいですか?》


 私が、先程頼んだ、手伝いに間違いが無いか確認してきたようだ。私が手を離し、頭を撫でてやると、嬉しそうにハニかんだ。


《完璧だよ! 私が伝えた通りだ。このまま他のものも頼む》 


 その言葉に頷き、学長の肩から手を離す。

 そのまま隣に居た、副学長の肩に手を置き、同じように魔力操作をはじめ、学長のようにある程度時間が経つと、次の者へ移動していく。それを繰り返しあっという間に、別の班の元へ向かった。

 

 ウィリアによって、停滞していた魔力を動かされ、その魔力を感じた学長は、額に汗を滲ませ、必死に自身の腹に先程感じた魔力を集める為、集中していた。再度、肩に手を置き確認すると小指ほどの大きさの魔力の玉ができている。


 ほう、始めて一時間でこの大きさならば、努力さえすれば結構な大きさにできるだろう! 私は、学長から手を離し、他の皆の様子を確認する。ウィリアの魔力操作を受けた皆は、額に汗を浮かべ呼吸が荒くなっていた。


「ニルク学長、そこでやめておけ! 皆も、今日はこれで終わりだ」


 私の声に反応した、学長や講師達は、目を開ける。かなりの疲労が見て取れた。


 魔力を扱うことは、酷く自身の肉体に負担をかける事になる。慣れてしまえば、負担を感じる事は少なくなるが、魔力操作をはじめて行った日から約ひと月は、毎日、筋肉痛と脱力感が本人を襲う。それが分っているからこそ、無理をさせるわけにはいかないと判断したのだ。


 それからと付け加え、他の注意事項も伝えておくことにした。


「今日は、これ以上やることは許さん。魔力操作に関しては、以後決して、私の目のあるところ以外では、訓練を行うことが無いようにしてくれ!! 理由については明日、お前達自身が理解できるはずだ!」


 私の言葉に、反論する気力も起きないのか、素直に頷いてくれている。理由は言わなくても明日にはわかるだろう。私が担当した講師達は、座っているのも辛いようで、仰向けに寝転がっている。

 

 そんな姿に、くすりと笑い。ウィリアを探す。彼女も全ての班を回り終えたようで、今は、演習場の隅の方でアルミスと楽しそうに一緒にお茶の用意をしていた。


「皆様、お茶の準備ができましたわ。こちらでお召し上がりになって?」


 アルミスはそう言うと、紅茶をカップに注ぎはじめた。

 

 お茶と聞いて、気力が少しだけ戻ったのか、学長が体勢を替え座る。

 はぁ~。と大きな溜息を吐くと


「こんなに、辛いのか……」


 そう、ポツリとこぼした。私は、学長に顔を向けニヤリと笑う。


「こんなもの、序の口だそ?」


 学長以下、講師陣は顔を引き攣らせ、動かすのも辛いからだを必死に動かし、数センチ下がると


「冗談ですよね?」


 半笑いのなんとも微妙な表情で返してきた。私は、そんな彼らに現実を教えてやる。


「今日から、約ひと月は、訓練後必ず! この状態になる。覚悟しておけよ?」


 そう言って、私はウィリアの方へ歩きはじめた。


 紅茶の用意がされてはいるが、そこに椅子や机は無い。ウィリアの側に腰を下ろすと、紅茶の入ったカップを手渡され、お菓子の乗った皿を近くに寄せてくれた。


 今日の紅茶は、ウィリアの好きなアールグレーだったが、いつもより少し爽やかな香りがした。お茶菓子は、私の好きなフィナンシェ、フロランタン、ダックワーズなどの焼き菓子が皿に載っていた。疲れた後は、紅茶と甘い菓子に限ると前に誰かが言っていたのを思い出す。


 私自身、教えたからと言って疲れたりはしていないが、中央の方で、水を浴びたワームのようにへばっている講師達には、気分的に最高なのかもしれない。と言っても、ウィリアが作ってくれたものなら、私にとってはそれだけで最高なのだ!! そう考え、フィナンシェに手を伸ばし頬張る。


「本当に、美味い!!」


 そう褒めると、ウィリアは私の腕をギュっと抱きしめ、見上げて来る。その仕草が、私のツボだと彼女は分っているのだろうか? 分っていてやっているんだろう? そうだろう? などと私が葛藤している事も知らずに……。


「シュベルお父様、これもきっと美味しいですよ」


 指先に摘んだ、食べかけのダックワースを私の口元へ寄せる。


「あっあぁ、いただくよ」


 私は口を開け、それを食べた。勢いがありすぎたせいで、ウィリアの指まで食べてしまった。否、正確には、ウィリアの指を舐めたと言った方がいいかもしれない!! 

 慌てて、少し距離を取る私とウィリア。互いに顔を背け


「っっ……っす、すまん」


 これだけ言うのが精一杯だった。


「いえ……」


 ウィリアも、同じ状態なのかもしれない。


「あら、お2人共どうなさったのですか?ふふふっ。そんなに顔を赤らめて?」


 柔和な女性の声が私の耳に入った。アルミスだった。


「なぁっ……」


 私は、なんでもない。と返事をしようとして、甲高い鳥の鳴き声のような声を出してしまった。必死に咳払いをする。


「なんでもない」


 再度、言い直すと、アルミスは、首を傾げ私の目を見詰めると、ふっと微笑む。その眼差しは少し細められ、好奇心をありありと語っていた。


「そうですかぁ? ふふふ」


 尋問されているような気分を味わう私の横から声がした。


「アルミス御姉様! シュベルお父様をいじめないでください!!」


 まだ、赤い顔をしたままウィリアがアルミスを諌めた。その言葉を聞いたアルミスは、ペロっと舌を出すと、ウィリアの後へ回り込む


「いじめてませんよ? 嫌いにならないで~。ウィリアさまぁ」


 そう言って、ウィリアを抱きしめた。


「アルミス御姉様は、ウィリアのお母さんだもの。大好きですよ?」


 照れた声で、ウィリアが言うとアルミスも嬉しそうに笑い


「もぅ! こんなに可愛いんですもの! シュベル様をやめて、ウィリア様は私の子になるべきよ!」


 本気でそう言っていた。私は、アルミスの頭頂部へ向け、鉄拳を落とす。


「痛いですわ。シュベル様!!」


「痛くないだろ?この程度なら!! それとな、私の愛しいウィリアを誘惑するな!」


 目を眇め、アルミスに捕まった、ウィリアを引き離し膝の上に座らせ両手を前に回し抱く。


「あら、奪われてしまいましたわ。ふふふっ」


 アルミスは、楽しそうに笑い。私へ片目を瞑ると、元の席へ戻って行った。彼女なりに、私達の雰囲気を察し、気を使ってくれたらしい。


 そんなやり取りを見守っていた、竜達と講師達が続々とお茶の席へ座っていく。皆に紅茶を配るため、ウィリアも私の膝から立ち上がると、忙しそうに皿にお菓子を盛りはじめた。出された、紅茶やお菓子を摘み、口々に褒める講師達


「いつもこんな美味しい物を食べているのですか?」


 講師の中でも、若い男性がそう聞くと、近くに座ったジオールが


「わしの孫は、最高じゃろ!!」


 ドヤ顔を決め鼻を高くしていた。その様子が可笑しくて、私達は声を出して笑った。

 魔力操作について、質疑応答をしているうちに結構な時間が過ぎていた。講師達の顔色もお茶を飲む前とは比べられないほど良くなっている。

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