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竜達の愛娘  作者: ao
第二章 ―冒険者ギルド編―
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入園式・・・ショウカイ②

②です。いつもお読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークしていただいた方々に心からの感謝を…

 /シュベル


 早速貰った部屋に3人入り、最後に入ったベルンが鍵をかけると、私達はウィリアとカシに付けた魔道具を起動した。机の上に置いた2枚の直径30センチ程の鏡に、ウィリアとカシが持つ魔道を介して教室内の映像が映し出された。


 それを見て頷いた私達は、もうひとつの魔道具を起動させる。そちらはウィリアの頭についた音を拾う魔道具で、私達の耳に直接周りの音や会話を届けてくれる。


 鏡に映る教室の扉から、男の講師が入ってくるのが見えた。見た目は20代後半、茶金の髪は長く、ごげ茶の目にメガネをかけ、ローブを羽織ったいかにも魔術師風の男だ。教卓に立つと、教室内を見回し、貼り付けたような笑顔で自己紹介をはじめた。


「皆さん、はじめまして。私が1学年Aクラスを担当します。ガルシア・アンドレ・ヌクリスです。よろしく」


 軽く会釈する程度に頭を下げた。

 彼の自己紹介を聞いて何かが引っかかった、鏡に映る男を真剣に見詰めるが思い出せない。


「彼の名前、どこかで聞いたことがあるような……ないような……? シュベル様お分かりになりますか?」


 アルミスも同じことを考えていたらしい


「この間の舞踏会であったのかもしれんな」


「そうですわね~ん~! 何かしら~」


 そうして、足を組み膝に肘を乗せ、手に顎を乗せ考えるアルミスの姿を一瞥するとにベルンがボソリと呟いた。


「レッサーヌヌキ」


「ぶほっ……」


 その言葉から連想された人物の怒り狂うさまを思い出し、思いっきり吹いてしまった。確か皇妃の父親だったか……名は、ガルゼル・アンドレ・ヌクリスだったな…!!!


「あぁ! あれの親族かなにかだろうか?」


「ですわね~そうですわ、レッサーヌヌキですわ!」


 アルミスも、理解できたらしい。ここは流石と言うべきところだろうか?チラリとベルンに視線をやり、鏡に戻した。

 ウィリアの担任となった男は、教卓の間にある椅子に腰掛けると右手前の男子を指示棒で指し


「君から、自己紹介をはじめてください」


 そう指示すると、男子生徒は立ち上がり自己紹介をはじめる、それが終わると、担任講師が次の者を指し「次の人」と言ったら、立ち上がり自己紹介をする決まりのようだ。それでも、次々自己紹介が行われていく、教室に居るうちの数名は、他の生徒達の反応からしてどうやらこの国でも上の方の階級を持つ貴族の子息だったようだ。

 私やウィリアには何の関係もないんだが……。


 ウィリアの隣の生徒の挨拶が終わり、担任講師が、ウィリア指し「次の人」と声をかける。立ち上がり人数が多い方を向き、自己紹介をはじめた。


「初めまして、ウィスユリア・ハーナスと申します。よろしくお願い致します」


 ニコっと笑い、お辞儀をすると椅子に座った。


 やはり、愛しのウィリアのはにかんだ様な笑顔も、お辞儀する姿も全てが可愛らしい。

 早く大人になって欲しいと思ってしまう。彼女の気持ちが変わらないうちに……早く、私だけのものにしたい!! ……なんて、独占欲溺れた発言は控えなければ、嫌われてしまうだろうな。

 私は、自嘲気味の笑みを浮かべ思考を止めべく、鏡に映る教室へと集中した。


 自己紹介も終わり、今後の授業内容について説明が会っている様子が見て取れた。ウィリアをはじめ生徒達は真剣に、担任講師の話しを聞いていた。その説明の中で、特別授業として魔力操作の訓練を受ける事ができる事を話していた。


 希望者は、配られた紙に名前を書き担任講師へ提出する事、全員が受けられるわけではなく、授業態度や成績によって決まる事など、生徒達にわかりやすく説明している。


 説明が終わると、さっそく名前を書き込む生徒達が、複数居たようだ。その中にはウィリアも含まれる。ウィリアは、さっそく新しく買った羽ペンとインク鞄から取り出し記入していた。その様子はどこか楽しそうに見え、くすりと笑ってしまった。


 それに、気付いたベルンが、私に視線を据えると思念を送ってきた。


《シュベル様……お顔が雪崩を起しております》


《ベルン……分っている……だがなウィリアの姿が愛らし過ぎて我慢できないのだ》


 私は、平然と開き直りベルンの言葉を肯定した。


《まったく…シュベル様、最近見境がない事が多すぎます!先日もウィリア様に、番にしたいなどとおっしゃっていましたよね?》

 ジト目をした視線をこちらに寄越す。


 ベルンの言葉に焦った私は、視線を彷徨わせ立ち上がると指を突きつけ問いただす。


《おおおおお、お前…なっ、なんでその事……》


《ウィリア様とシュベル様が仲直りされた日、私とカシリアの逢引をご覧になっていた事は承知しておりました。その後、ウィリア様の元へ向われた事も…その後お2人が話された内容も全て承知しております》


「はぁ??? お前知っててだまってのか!」


 焦りのあまり、私はつい思念を忘れその場で叫んだ。驚いた様子のアルミスと、ジト目を向けたままのベルンの、相反する反応に対して突っ込む事も忘れ睨みつた。


《お声が出ております。シュベル様》


 相変わらずの冷静振りに、イラっと来るが我慢してキッと睨みつける。


「どうなさったのですか?シュベル様」


 アルミスの心配する声が聞こえた。


「すまん、なんでもないんだ少し、ベルンと思念で話しをしていただけだ」


 ベルンから視線を外す事無く、アルミスに告げた。


「そうですか、ですが……お2人共よろしいのですか?」


 アルミスが指差した先に、視線を向けたらしいベルンが眉根を寄せ、唇をヒクツかせている。何事かと私も、視線を向けるとそこには、鏡に映ったウィリアの身体を、担任講師である男が抱きしめている姿が写っていた。

 その後直ぐに離れたものの、担任講師の顔が耳まで赤くなっているのが見て取れた。私のベルンに対する苛立ちは、瞬時にその担任講師へとすり替わった。


 直ぐさまジオールへ思念を送った。


《これはどう言う事だ…ジオール》


《シュベル様、いかがされたのですか?声音がいつもより低いようじゃが…》


 落ち着いたジオールの声が返ってくる。


《どういう状況で、あの担任講師とウィリアが抱き合ったのかを説明してくれ》


 鏡を覗き込む私の顔は、酷かった…眉は釣りあがり、目は据わっている。更に口は醜く歪み八重歯の様な牙が見えていた。


《はい、先ほどウィリア様が担任講師の所へ紙を持っていこうとしたところ、近くにいた女子生徒とぶつかり、その反動で倒れそうになった所を担任講師が手を引き抱きとめたのです》


《そうか》


 ジオール説明に嘘はない、だが助けてくれたのだと分っても……受け止め抱きしめたのが自分じゃないと思うと酷く嫌だと感じた。これは嫉妬と言うものなのかもしれないな…


「シュベル様?」


 ベルンの冷静な声に、つい視線で威嚇してしまった。


「ん?」


「大丈夫ですか?」


 心配する顔を見せたベルンに、あたるなど、自身が情けない。いくらウィリアを好いていても、こんな状態ではダメだと自分に言い聞かせる…。


「あぁ、大丈夫だ。どうやら、ぶつかられ倒れそうになったのを助けてもらったらしい」


「そうですか、ところでシュベル様、どうやら今日は授業と言うものはないようですよ。これで終わりのようですし、ウィリア様を迎えにいきませんか?」


 気を使ってくれたらしい言葉に頷くと私達は臨時講師室を後にした。

 生徒用入り口に辿り付き、暫く待つとウィリアとジオール達が入り口に姿を見せた。私の姿を見つけたウィリアが、満面の笑顔で駆け寄って来ると、そのまま両手を広げ抱きついてきた。それを受け止め抱き上げる。


「どうだった? 学園の始めての授業は?」


「今日は、授業はありませんでした。クラスの皆の自己紹介を聞いて、明日からの授業についての説明があって、シュベルお父様達の魔力操作の特別授業の申し込みをしました。ウィリアは受かるでしょうか?」


 笑顔が曇り、不安そうな顔をするウィリアの背中を擦り、大きく頷いてみせた。


「あぁ、大丈夫だ。ウィリアは間違いなく受かるよ」


 笑いかけた私に、ウィリアも笑顔で返してくれる。つい先程まで感じていた気持ちが霧散して消えてしまった。


「講師たちが待っているだろう、第1演習室に移動するか」


「れっつごー!」


 そう言って元気に拳を作った片手を突き出した。その仕草が可愛く、私以外の竜達も皆、穏やかな笑顔を浮かべ、第1演習室へ向うのだった。

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