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竜達の愛娘  作者: ao
第二章 ―冒険者ギルド編―
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入学式・・・ショウカイ①

お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークをしていただきありがとうございます。もし、お時間があり書いてもいいなと思われる奇特な方がいらっしゃいましたら、感想をいただけると嬉しいです。

 /シュベル


 春の風が屋敷の窓を抜けて室内に入り、目覚めから爽やかな気分を味わった。今日は、ウィリアの入園の式典だ。

 保護者として、ジオールとカシとベルンが、私とアルミスは臨時講師としてウィリアと共に学園へ向っていた。真新しい制服に身を包み、首元のリボンに魔道具を着け、頭の飾りにも魔道具をつけている。


 ウィリアは楽しみで仕方が無いと言う表情をして、今か今かと学園に着くのを馬車の中で待っている。


「ふふふ、ウィリア様少しは落ち着きなさいませ」


 アルミスがウィリアを撫で、そう言うと、ウィリアは少し恥ずかしそうにしながらも


「私、とても楽しみなのです」


 本当に楽しそうに、歯を見せハニカんで見せた。その笑顔に、車内に居た私達は苦笑いをする。相変わらず、私の娘は…いや、私の愛しいウィリアは凄く可愛い。


 窓に目をやると、学園の門が見えてきていた。ウィリアは御者台に付けた窓から顔をだし、器用に椅子に正座し、車内の私達に背中を見せている。そんな姿も可愛いのだから、私は相当にウィリアに惚れこんでいるのかもしれない。


 今日は無事、学園の門を通過する事ができた。馬車止めにつくと、私達乗ってきた馬車をその場にいた者に頼むと、学長室へ向う。その道中でも、ウィリアに対する男子生徒の好意の視線が多く感じられた。私がウィリアの右、カシが後、ジオールが左、ベルンが前に付くとウィリアを隠し歩いた。


 学長室に着き、ドアをノックする。ドアが開き、見知らぬ女性が出迎えてくれた。ニルク学長は首になってしまったのだろうか? などと、考えたのだがそれは杞憂に終わった。通された部屋の奥に、彼は座っていたのだ。後で聞いたのだが、先ほどドアを開けてくれたのは、彼専属の事務を担当する女性だそうだ。


 学長ニルクは、私達の姿を確認すると読んでいたらしい書類を机の上に置き、ソファーへと移動した。自身が座った、ソファーの対面を指し示すと「どうぞ、おかけください」と言い、女性に何事か小声で伝えると、ウィリアを見ていた。


「これは、確かに竜大公が心配する気持ちがわかりますな」


 ウィリアの可愛さをはじめてみた、ニルク学長は私があそこまでした理由を漸く理解したようだ。


「だから、言ったのだ」


 私は短くそう言うと、ウィリアを膝の間に座らせ撫でた。その私の行動をみていたジオール達がくすりと笑っていた。


「確かに……これほどとは……」


「先ほど、ここに来るまでも男子生徒の視線をあつめていましたからね」


 カシが笑いつつ、新しい情報を流す。ニルク学長は、私達に視線を向けた。


「まぁ、いざとなれば我等が出るからのぅ、心配はいらん」


 ジオールが、しっかりと先手を打っている、流石である。

 ニルク学長は、苦笑いしながら頷いていた。


「早速で申し訳ないのですが、臨時講師についてのお話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


「あぁ」


 私達が頷くのを確認すると、説明を始める。


「今回、竜大公様、アルミス様、ベルン様に当学園での魔法実技における、魔力操作を教えていただくわけですが、その他の講師が出来ないわけにはまいりません。そこで、本日より講師を優先で教えて頂きたいのです。急なお願いとはわかっておりますが、講師陣にも講師としての立場がありますので……、お願いできないでしょうか?」


 ニルク学長は、そう言うとガバっと90度に腰を折って頭を下げた。


「と言う事らしいんだけど、ウィリアも一緒にやる?」


 ウィリアに聞けば、笑顔で「はい」と答えてくれた。


「問題無いそうだ。人族に魔力操作を教えるなら、ウィリアが居た方が早いだろう、同じ人族だからな」


 私の言葉を聞き、ニルク学長は何度も頷いてくれた。そして、ドアがノックされ先ほど、遣いに出された女性が戻ってきた。女性の後ろには6名の男女が居た。ニルク学長によれば、この6名が魔法実技担当の講師だそうだ。3名はウィリアの入試の時に見た顔だ。他の3名は知らない顔だった。


 それぞれ、挨拶をしてくれた。まず4・5学年の学生を教えている、ジェット・クオ・リュシカ。そして、2・3学年の生徒を教えている、カオン、ヒエール、モッシュの6人だ。


 1学年の生徒は、基礎を学ぶだけの為、魔法実技の講師は居ない。だが、今年から私、アルミス、ベルンの3人が臨時で講師をする為、魔力操作のみ希望者に教える事になっている。他にも、卒業生などで希望者がいる場合、厳正な審査を学園側がして許可が下りた者に対しての講義などもあるそうだ。


 説明を受けている所で、事務の女性が、ニルク学長に声をかけた。


「ニルク学園長、そろそろお時間になりますので、皆様移動された方が宜しいかと」


 私達も、その声に同意するように立ち上がる。大講堂と呼ばれる施設へ移動することになった。大講堂の入り口で、ウィリア・ジオール・カシと別れる。ウィリアは入園者の代表として、挨拶をする必要があり、保護者席にすわる。ジオール・カシが今日来れなかった、塒の皆のために、ウィリアの姿を記録用魔道具に収めると言う仕事がある為だ。


 私・ベルン・アルミスは、講師席の末席に座る。今日は、皇王も入園者への挨拶の為、学園に来ていたようだ。私達の姿を視線にいれると、同時に目礼する。私も同じように返した。新入園者達が、続々と集まり、用意された席が埋まって行く……そんな中で、ウィリアもまた、緊張の色をのせた顔で席に座っていた。


 位置は、講師側の前から2番目である。私の視線に気付いたウィリアが、膝に乗せていた左を少しだけ上げると、フリフリと手を振ってきた。その姿に、私はニヤリと笑った。


 副学長が、声を大きく響かせる魔道具を使い式典が始まった。

 学長の挨拶があり、皇王が、新入園生に対し説法をといていた。次に、現学園生徒の代表による入園生の挨拶が始まった。その生徒は粛々と入園生への心構え的な者を読み上げていった。


 副学長によって、入園生代表として名を呼ばれたウィリアが立ち上がり、壇上へと昇る。ウィリアの姿を見た、入園生達がざわめく、それを気にした素振りも無く、机の前に立つと同時にお辞儀をする。


 1拍間を空け、羊皮紙を机の上に置くと、ウィリアの凛とした声が大講堂の中に響いた。先ほどまでざわめいていた大講堂が静かになっている。読み上げるその姿はまさしく艶麗(えんれい)で、講堂にいる多くの生徒達が見惚れていた事だろう。


 間違う事無く読み上げた、ウィリアは羊皮紙を丸め手に持つと再度お辞儀をして席に戻って行った。

 記録用魔道具で、姿を記録させる仕事を与えていた、ジオールとカシに思念を飛ばす。


 《ジオール・カシ しっかり記録できたか?》


 《しっかりと記録しましたぞ》


 《私の方も、問題なく記録できております》


 《そうか、ご苦労だったな》


 《なんの、この程度容易いことじゃ。しかしウィリア様、お美しくなられたのぅ》


 《うむ。どこを探してもウィリア程美しい娘は居ないな》


 《そうですのぅ……虫が大量に湧きそうで、わしは心配ですじゃ……こんな事なら、学園に講師にくるべきだったかもしれませんのぅ》


 《そこは、心配するな。私もアルミスもベルンも居るんだ。そうそう近付けはしない》


 《可愛い孫のため、頼みますぞ》


 《あぁ》


 どうやら、思念で話しをしている間に、式典は終わって居たらしい。新入園生達と保護者が連れ立って教室へ向っているのが見えた。ジオールとカシもウィリアと共に教室へ向かって行った。


 私達は、講師と共に、魔法技術講師専用の部屋へと向った。そこは、演習場の側にある建物で、ひと部屋10畳程の広さを1人ひと部屋ずつ使用するようにと説明を受けた。


 この部屋(準備室みたいなもの)は、講義が無い時間などに講師が休憩場所としたり、講義内容を再度検討する為に使用する目的があるそうだ。私達は、臨時講師と言う事で、3人でひと部屋にして貰った。その方が何かと都合が良いからだが、体面は必要である。

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