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竜達の愛娘  作者: ao
第一章 ―王都編―
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答え……叙爵!④

④です。お付き合いいただきありがとうございます…。

/シュベル


 目が覚めた時には、既に窓の外には夕闇が降りてきていた。両手を伸ばし背伸びをすると、硬くなっていた身体がほぐれるように感じた。


 他の者は雑談していたのか、起きた私を見て笑っていた。何を笑っているのかと思えば、私の髪が上を向き立っていたせいだったようだ。浴室に向かい水浴びを済ませ、服を着替えソファーへ座るとウィリアがコーヒーの入ったカップを出してくれた。


「ありがとう」


 と伝え、ウィリアの笑顔を見守りつつ、コーヒーをひと飲みする。

 

 ウィリア達も着替えの為、別室へ移動する時間のようだ…と言っても髪を直す程度だろうが……


 そう時間がかかる事も無く、ウィリア達は戻ってきた。それに追従するように、他に4人の女竜が共に入ってくる。なんでも、人の舞踏会と言うものは、1人で参加する事は、とても軽んじられる事らしい…と言うことで、シシル・リンカ・ルリア・リリハ・キャシュが参加となった。リリハはデイハの妻、キャシュはハイネイの妻だ。


 皆それぞれに美しい装いで、それぞれのパートナーとなる男竜の元へ歩いて向かう。リューク・セシルにはパートナーが居ない為、ルリア・アルミス・がそれぞれの代役を務めることになっている。


 他のメンバーを差し置き、2人の世界へ入っていくカップル達を、私達は静かに見守っていた。満更でもない表情のジオールを見ると、激しく笑いたくなるのは、何故だろうか? 心が荒んでいるのだろうか? 不思議だ……


 気分を変える為、私はウィリアに思念を飛ばし話しかける事にした。


《ウィリア、とても綺麗だね良く似合っているよ》


 ドレス姿を褒めれば、少しだけ頬を赤くし


《ふふ、シュベルお父様はお口がお上手です》


 照れた声で、返ってくる。


《私は、無駄なことはしない主義だ!! 本当に美しいと思っているから言っているのに……。それと2人のときは、お父様は付けない約束ではないのか?》


 少し拗ねた口調で返してみる……。


《ありがとうございます。シュ、シュベル様? 恥ずかしいのでもうお許し下さい》


 本当に、恥ずかしかったようで、うつむいてしまった。やり過ぎたらしい……。


《すまない。本当に愛しくて、可愛いから、つい言ってしまうんだ。そのうちでいいから慣れて欲しい! 嫌かな?》


《いいえ、頑張ります。ウィリアもシュベル様をいっ、愛しく思っております事お忘れにならないでくださいね》


あぁ!! 本当に、ドレスでなければ今すぐ抱きしめて耳元でウィリアへの愛を囁くのだが!などと考え悶々としていると、扉がノックされメイドが入ってきた。会場までの使者が来たようだった。


 会場までの使者は、宰相だった。


「ご準備よろしければ、ご案内いたします」


 そう声をかけ、「頼む」と答えれば私達を引き連れ舞踏会の会場である、大ホールへ案内する。大ホールの入り口ではなく、その脇から更に進み皇族だけが入る、控えの間に案内され入った。


 そこには、既に、皇王はじめ皇族が全て揃っていた。軽く皇王に会釈をする。ウィリアを見つけた、害虫が我先にとウィリアの元へ来ようとするも、リーシャに邪魔されあえなく撃沈していった。


 リーシャはとても心配してくれていたらしく、ウィリアの手を取ると「もう大丈夫か?」などと聞いていた。そんな彼女にウィリアは、「大丈夫だよ」と笑顔で返し、2人で椅子に座ると女子会?(ウィリアがそう呼んでいた)というものがはじまった。


 皇王と共に紅茶を飲み、先程の案件について聞いてみたり、領地になるゴーチ連邦の詳しい地図を頼んでみたりと、中々有意義な時間となった。


 大きな、鐘の音がなると同時に宰相が大ホールへと続く扉を開け、皇族が先にでた。それに続いて私達も、大ホールへと出た。大ホールには、何百と言う人が溢れかえっている。その会場より数段高い位置に私達は立っていた。


 そこには、少し豪奢な椅子が用意されていた。中央に肘置きの付いた椅子が2脚ありそこから左右に椅子が均等に並べられている、その間にテーブルが置いてあった。その、中央の椅子の右に皇王が立つと皇妃・第1皇子が同じ列の椅子の前に立ち、リーシャ・害虫は後ろの椅子の前に立った。私達もそれに習い、皇王の隣に私が、その左にウィリア、デイハ、ジオールの順で立った。


 するとメイド達が私達にグラスを渡してきた。中身はワインのようだ、太陽を受け育ったであろう果汁が仄かに香る。


 ざわつく城内の様子を回し見た皇王が右手を挙げ、場が静まると


「今宵は、新たに竜大公となった、シュベル・クリム・ハーナス殿への祝いの舞踏会である。皆存分に楽しんで行って欲しい」


 そう言うと、手に持ったグラスをかかげる。この会場にいる全ての者が同じようにグラスを掲げた。ワインとひと口飲むと椅子へと座った。それを見て、私達も座る。


 すると、メイド達が私達の元へ、飲み物や食べ物を持ってきた。その様子を眺めていると、次々に貴族たちが列を作り、皇族への挨拶をはじめた、挨拶を終えると、私達の前へ来て挨拶をする。次々来る貴族達の名前を覚えられる気がしないと言うのが本音である。


 それでも、「あぁ」や「よろしく頼む」など返事をしていたのだが、人が多すぎてげんなりしてしまった。毎回舞踏会はこんな事をしているのだろうか?そんな事を考え皇王に同情した!


 挨拶がひと段落するまで、かなりの時間を要したのは言うまでも無いだろう。漸く挨拶の嵐が終わり、音楽が流れはじめると、皇王が皇妃の手を取りホール中央へ向かっていく。私も、ウィリアの手を取り、追従するようにホール中央へ向かった。


 中央へ到着すると、皇王達は型に嵌った美しい姿勢で待っていた。私とウィリアと笑い合い彼女の両手を持つと、音楽が始まった。はじめは、2人で左右に揺れて踊る。それに飽きたら、ウィリアを抱えくるくる回った。ウィリアが楽しそうに笑い、私も釣られて笑う。いつの間にか音楽が終わっており、皇王と皇妃が美しい礼をしているので、慌てて私達も礼をした。割れんばかりの拍手が起こり、それを背に、椅子へと戻った。


 その後、楽しそうに各竜達が踊り戻ってくる。そんな楽しい時間を過ごしていると、害虫が、ウィリアの前に立ち、片手を後ろに回し背を曲げると


「ウィスユリア様、どうか私と一曲踊って頂けませんか?」


 と、ウィリアへ片手を差し出した。私達は未だ、ウィリアを諦めない害虫にジト目になり見詰めていた。皇王達も、呆れた顔をしていた。

 するとウィリアは立ち上がり居住まいを正し、両手を太ももに添え


「ごめんなさい。シュベルお父様以外で踊るならジオールお爺様とデイハ叔父さまと踊りたいの! ジーク様の事はあまり良く知らないし? 踊るのはちょっと……」


 と尻すぼみに言葉を発し、スッパリ断っていた。


「ぶほっ……」


「ぐっふ」


「ぶっ……」


 など噴出した音が聞こえた、音のしたほうを見れば、ジオール・リューク・カシが目に涙を溜め笑いを堪えていたのだが…余程我慢できなかったのか、終いには身体を捻り口を押さえ、声は出していないが肩が震えているので笑っていた。他の皆も、扇子で顔を隠したり、後ろを向いていたりと必死に笑わないようにしている姿がみてとれた。


 諦めの悪い男ジークに、私は自身が警告を行う


「ジークだったか? これで3度目だ。いい加減、ウィリアに恋情を抱く事をやめろ…お前ではこの子の中に入る事はできないのだ…これ以上しつこくするのであれば、それなりに覚悟してもらう事になるぞ!」


 目を眇めジークを見れば、彼は何も言えずウィリアの方を数回チラチラみやり、諦めたように項垂れ自分の席へと戻っていった。その後別に貴族の娘と思しき女に囲まれ踊っていたので、彼の皇子としての立場は問題ないだろうと勝手に思うことにした。


 その後、ウィリアの宣言通り、ジオール・デイハとクルクル回り踊っていた。途中私や他の竜にもダンスの誘いらしきものがあったのだが、全て無視する事で事なきを得た。


 皇王が数人の貴族っぽい男を連れて私の元へやってきた。良く見れば、西門警備隊の隊長ガラドと副隊長のセルだ。2人は、私の前にひざを着くと挨拶を述べた。


「お久しぶりでございます。竜大公シュベル様」


「その節はお世話になりました。竜大公シュベル様」


「あぁ、久しいな。ガラド・セル、楽にしてくれ、その後どうだ?」


 そう伝えれば、二人は立ち上がり、セルが私の質問に答えてくれた。


「ウィスユリア様のお話の後、娘と話し合いまして! 無事元のように戻る事ができました。心より感謝もうしあげます」


「そうか、それは良かったな!」


 私はセルの肩を叩き、笑った。セルも恥ずかしそうにしながらも笑ってくれた。そして、改めて真面目な顔をしたガラドとセルは、ウィリアの方を向きセルもガラドも揃って頭を下げた。


「ウィスユリア様、先日はありがとうございました」


 ウィリアは慌てたように両手を振り


「いいえ、お嬢さんを思ったセルさんの気持ちが伝わったからですよ」


 と、笑顔で返していた。


「そうだ、今度娘を連れて、屋敷に遊びに来るといい。お前達なら歓迎だ!」


 この2人ならば問題なく屋敷に入れられるだろう、そう思い声をかけてみた。


「是非、お邪魔させていただきます」


 2人笑顔で答えてくれた。


「あぁ、いつでも構わないからな」


 私も、笑い2人と握手を交わすと2人は「失礼します」と言葉を残しホールへ戻っていった。


 そうこうする内に、舞踏会も終わりに近付いていたようだ。はしゃぎ過ぎて疲れたのかウィリアが目を擦っていたので、先に帰ると皇王に伝え控えの間に入ると、屋敷へ空魔法で移動した。

明日、閑話2話もアップされます。内容的には、ウィリアの転生に関する話です。読まなくてもストーリには問題ありません。

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