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竜達の愛娘  作者: ao
第一章 ―王都編―
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南の決断!!

評価・ブックマークをして下さった方ありがとうございます。また、それ以外にこの小説を読んでいただいた方々に心からの感謝を♪お暇なときにでも、感想やレビューなどいただければ幸いです♪


竜達の愛娘 ―ものおき―

閑話はこちらに置く事にしました。思いついたものや皆さんのご希望があれば欠かせて頂きますので、感想の方に書いて頂ければ幸いです。 https://book1.adouzi.eu.org/n6489fs/

/シュベル


 お茶会後の話し合いから戻り、急いで客間を作った! ウィリアが眠りにつく時間が近くなり、寝かしつけに行こうと、扉を開けた所で、デイハ殿・リューク・セシルが私の部屋を訪れていた。仕方なく室内に招き入れる。3人共、どこか鬱々とした素振りを見せている。


 いつまで経っても、話が進まず、空気が暗くなるばかりで、面倒だと思った、月が中ほどまで昇っている。限界だった――その空気をぶった切ることにする。


「それで、そなた達は何を悩んでいるのだ? さっさと話せ……」


 きつい言い方になるのは仕方ないのだ! この後、私はウィリアと添い寝する予定なのだから、早くしないとジオールがっっっ!!!


「その、我らは、ただ被害者だとばかり思っていた。それは間違いなのだと分ったのだが、どうすればいいか……」


 意気消沈気味にデイハが言う。


「食物連鎖とは、それは我らが、食べられても仕方がないということなのでしょうか?!」


 悲壮な顔をしたリュークが変な方向でナイーブになっていた。


「ウィスユリア様の事を考えれば考えるほど、私は……」


 セシルは、何を考えているのだろうか良く分からない! ウィリアに手を出すようなら覚悟してもらうことになる。


 はぁ~と盛大に溜息を吐き3人に活を入れる。


「いいか? 良く聞いておけ? 別にウィリアは、お前達が食べられていいなんて一言も言っておらんぞ? ウィリアが言いたかった事は、命を繋ぐ為に命を奪う事は誰にも責められない事であり、感情論だけで人族を憎んでいるんじゃないか? そう言ったのだ! 自分達の、言った事を思い出してみろ――それと、ウィリアに手は出すな! 出したら人じゃなく北が南を殲滅するぞ!! そして、私はもう寝る! お前達は客間に戻り考えるなり寝るなりしてくれ!」


 そう伝え、席を立つとそそくさとウィリアの部屋へ向かった。


 ベッドで眠るウィリアの隣に、ジオールが手を添えて優しく寝かしつけた後のようにともに寝ていた――人知れず打ちひしがれた私は……仕方なく自室に戻り眠った。


 翌日、南の3人は昨日の事が嘘のように、朝から、モリモリ(どちらかと言うと、ガツガツかもしれない)食事を食べていた。朝は基本、自分で食べるように伝えたのだが、折角のお客様だからとウィリアが朝早くから作ってくれた。


 メニューは、ベーグルサンド?と言う丸い形で真ん中に穴が開いたパンの間にハムやチーズや肉などを挟んだ物と肉がゴロゴロ入った野菜のスープ・サラダ・果物だった。

 今日もとても、美味しかったし、料理をせっせと作るウィリアが可愛かった。


 食事を終えた3人は、南へと戻った。戻る際、魔法:応答を籠めた魔石をデイハに渡し、空魔法を教えたので今後、連絡も取れるし、自分達で来れるようになるだろう。さて、私も北の皆と会議に行かねばな…そう思い席を立つ。


 塒に作られた、大会議室(ウィリア命名)には皆が集まっていた。大会議室と大層な名前だが、ただ、岩山の崖に穴を彫っただけである。ウィリアは、他の子供たちと塒を新しくしにいっている。


「さて、2つの案件がある。皆の同意を貰いたいできればだが……。ひとつ、南の竜をここに受け入れたいと思う。受け入れる際だが、子供を産める塒を新たに作り、そちらで産んでもらうこと、また、我々北の竜は、本人の意思により屋敷に塒を置くこと」


「ふたつ、皇王との話し合いで、叙爵しこのゴーチ連邦周囲を我らの領地としようと思う。また、仮ではあるが叙爵の際我らは、人の下に下るわけではなく、皇王と同等の立場での形をとりたいと思っている。これについては次回の話し合いにて、伝えるつもりだ。皆の言葉を知りたい。教えてくれ」


 そうして、始まった会議は夕方までもつれ込んだ……。

 皆それぞれ思う所があるようだった。概ね賛成ではあるが、南は一度問題を起こしている事で受け入れるのはいいが塒は分けたいなどの意見があった。叙爵については、領地がここになるのならば、皇王と同等の立場でなら受け入れられるとの意見が多かった。


 食事の時間を知らせる、大きな鐘の音がなった。この鐘は、ウィリアの発案で、丘の上の更地に設置されている。竜体は大きい、塒1つだけでも、ウィリアが到達するのに時間がかかるし声を張り上げても届かないからだ。


「概ね皆の意見は聞けたと思う。それを踏まえて今一度、南・皇王それぞれと話してみようと思うがいいか?」


 頷いたのを確認し、食事をするべく更地の広場へ向かった。

 そこには、今朝、帰ったはずのデイハ・リューク・セシルの3人が居た…


「王竜シュベル様、我ら一族をまとめ戻ってまいりました!」


「ぇ? 早くな……いっいや、早かったな」


 驚いた!! そしてつい素がでそうになってしまった。


「えぇ、長はあっと言う間に纏め上げていましたから。ハハハ」


 リュークが遠い目をしている。何があったのだろう? 聞きたいが聞かない方がいいだろう……


「とりあえず、食事が先だ。これ以上待たせるとウィリアがぷんぷんするからな」


 そう言って、定位置に座りだされる料理を待った。


《何があったのでしょうか?》


 ベルンも気になるようだった。


《うーん。聞かぬ方がよいと直感がそう言った……》


《なるほど! では触れぬ方が良さそうですね》


《あぁ、関わらぬ方がよい》


《かしこまりました》


 中々に――中身のない会話だった。そんな会話を終わらせ出された料理を見ると、今日は、はじめてみる料理だった。いい香りがあたりに立ち込め、ダラリと涎が垂れそうなそんな匂いだ。


「シュベルお父様、終わりました!」


 そう言って、私の横に座ったウィリアが合図をだす。手と手を合わせる形を取り


「「「いただきます!」」」


 そのまま、皆ガツガツ食べ始めた。不思議そうに見るセシルに意味を教える。


「この挨拶は、作ってくれた人、死して我らに糧を与えてくれた物に対する礼だそうだ。意味としては、貴方の命を美味しくいただきますや作ってくれた料理をいただきますと言うことらしいぞ」


「なるほど~!」


 大きく頷いた後、セシルも手を合わせいただきますと言って食べはじめた。


「今日の料理は、何と言う名前なのだ?」


 そう聞くと、口に入れたばかりだったらしく、一生懸命咀嚼していた。コクンと飲み込むと


「ドレイクステーキ丼ガーリック風味・ジャイアントボン(猪型の魔獣)味噌汁・ドレイク肉巻きお握りと後は、キュール(キュウリ)の塩漬けです! 沢山作ったから、沢山食べて下さいね。シュベルお父様♪」


「あぁ、いただいてる。美味しいな今日の食事も……」


 毎日、1食とは言え温かな食事を提供してくれるウィリアに感謝しなければな!

 自然と手は、ウィリアの頭を撫でる。当たり前の毎日が今日も無事に過ぎていく――南の皆は食べているだろうか? そう考えると無性に物悲しく感じた。


 夕食を終え、屋敷に戻ると、南との話し合いをするべく席を設けた。デイハはじめ、皆夕食には満足したようで今は、ゆったりと紅茶を飲んでいる。その空気を壊すのは忍びないが、聞かなければ何もはじまらないと思い話をすすめることにした。


「それで、南はどのような結果になったのだ?」


 私の質問にデイハが事務的に答える。


「はい、南は王竜シュベル様のお考えに沿うとなりました」


 早い結論だな!! 何があったのか非常に気になるところだ……。


「理由を聞いてもいいか?」


 頷き、しばし目を瞑るとデイハは口を開いた。


「はい、昨日のウィスユリア様のお言葉を皆に伝えたのです。命を繋ぐ為に命を奪う事が悪いことなのか、人も竜も魔獣も動物も虫も、同じように食べ生きていることの何が違うのか? そう問えば、誰も何もいえませんでした。

 もちろん私もその1人です。我らは、因習に囚われ動けなかっただけなのではないのか? その土地に縛られず、北を頼るべきだったのではないのか? そう皆に問い話しました。

 結論はでませんでしたが、王竜シュベル様よりのお言葉を伝えた所、皆も納得してくれたのです。もちろん習慣や生活などの違いはあれど、同じ竜がともに生き暮らせる場所があるのなら、我らはあの、お言葉に縋りたいとおもったのです」


 静かに語るデイハの姿は、遣り切れなさとほんの少しの希望が入り混じっているようだった。


「そうか! 辛い決断をさせたようだ。だが、北に来てくれるのであればこれ以上お前達南が悲しむことが無いよう、我ら北も一緒に戦う! これは我らの贖罪のような物なのだが……」


 見逃してきた自分の愚かさを知って悔しくなった。つい眉を下げ、少し俯き拳を握った。

 その様子に、デイハは笑みを浮かべていた。


「そのお言葉だけで、我ら南は十分に救われます」


「ありがとう」


 2人は、目尻に涙を溜め固く握手を交わしたのだった。

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