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竜達の愛娘  作者: ao
第一章 ―王都編―
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改築とお茶会……レッサーヌヌキ!④

評価・ブックマークをして下さった方ありがとうございます。また、それ以外にこの小説を読んでいただいた方々に心からの感謝を♪お暇なときにでも、感想やレビューなどいただければ幸いです♪

/シュベル


 ウィリア達が、屋敷へ戻るのを見届けた、ジオールが、安堵したように息を吐くのを感じた。


「大人の話は聞かせられないからな」


「そうですね…ウィリア様のお立場を考えれば当然かと……」


「大人のと言うよりは、どちらかと言うと人がしてきた歴史をウィリア様にかたるのが嫌なのでしょう? それを知った時、きっとウィリア様は、自身の種族を責め悲しむでしょうからね」


「そうじゃな、あの子はそうするだろうからのぅ」


 北の大人達が、少しだけ寂しそうにそう語っていた。種族の差はどうあっても超えられないものだからこそ、ウィリアには聞かせたくないのだ。あの子が大きくなりきちんと自分で考え答えをだせる歳になるまで、自分達が受けてきた全てを隠すとそう決めていた。


 セシルは不思議に思っていた。人族の子をどうしてそこまで守りたいのか…彼女が何故特別なのか共に過ごしていないセシルには分らなかった。


「ご質問、よろしいでしょうか?」


「なんだ?」


「北の皆様は、どうしてあの人族の子をそこまで守りたいのですか?もちろん、竜神アルバス様より授かった事は聞いております。ですが……」


 そこで、言葉が切れた。どう伝えればいいか迷ったのだ。


「そうだな、きっと南の竜もウィリアと長く過ごせばその意味が分ると思うぞ? これに関しては我らも上手く説明できないのだ。あの子と過ごすうちにいつの間にかそうなっていたとしか言えないからな」


 朗らかな笑みを湛え語った私を見て、不思議そうに顔を歪めたセシルに


「ウィスユリア様は、とても珍しい姫だからな……」


 と言って、デイハは笑った。


 その後、南内の会話を終え、デハイは王竜シュベルへと視線を向け、口を開いた。


「此度の事、我ら南は従う事できません。申し訳ありません。」


 やはり一筋縄ではいかんか……。まぁ、分っていたことだ。

 南は、北よりはるかに過酷で人は、生きるために竜を狩る事さえあると伝えきいている。そんな環境にいる、南の竜達は人を憎み・恨んでいることを知っている。


「理由を聞いてもいいか?」


「我ら南は、過酷な環境で過ごしている事はご存知でございましょう?南で人は生きるために我らを食らう。肉の為に、狩られるのです。それは我らにとって許せる行為ではない。今この瞬間も同胞が殺されているかもしれない。我らを狩る人族が憎い!! 我らは盟約を守っている!! なのに親、兄弟が何故殺されねばならんのだ!! そう思ってしまうのです」


 そういって、デイハは自嘲気味に笑った。デイハの言葉は、シュベル達北の竜にその思いを十分に伝えた。


「そうか……」


 殺される同胞を思い胸を痛めた。自身にできることがあるとするならしてやりたいとさえ思う。

きっと、私も南に居れば、人を憎み・恨んだに違いない。


 私は至極真面目な顔をし、居住まいを正すとデイハ達南の竜へ頭を下げた。


「今、聞く限り南は伝え聞いていたより更に過酷になっているようだ。気付かずすまなかった」


「いいのです。我らも意地を張りどこにも洩れぬようにして参りましたから」


 デイハは首を横に振り言葉を返した。


 そんな、デイハに私は更に言葉を続けた。


「もし、デイハ殿達南の者が嫌でなければだが、北へ来ないか?これ以上同胞がミスミス殺されるのを黙ってみてはいられない、北は竜にとって安全と言える場所になる! 確かに密猟者がいたりはするが、南よりは遥かに住み易いはずだ!! 私としては、この話をしたからと言って、南の面子を潰すつもりも、情けをかけた訳でもない、だが共に暮らしてはくれないだろうか?」


 しばしの沈黙の後、デイハは穏やかな口調で告げた。


「その、お気持ちありがたく頂戴いたします。ですが――」


 そう、言いかけた所で、エプロンを着けたウィリア達が戻ってきた。


「お待たせしました!シュベルお父様、デイハ叔父様、ジオールお爺様、皆様も」


 テーブルの上にいくつもの料理を取り出し、沢山食べて下さいね! そう言うと、チョコンと私の膝の上に座った。


「ありがとう、ウィリア。皆も食べよう! 話は食べた後でもできる」


 皆がテーブルの上に乗った、料理を皿に取り口へ運び食べる。その度にウィリアは嬉しそうに微笑んでいた。


「先程、言いかけたことですが――」


 ウィリア達が来る前にしていた話をデイハが振ってくる。シュベルも、皿を置き話を聞く体勢をとった。


「あぁ、頼む」


「先程のお言葉、ありがたく頂戴いたします。ですが、こればかりは私の一存では決められない事です。それにやはり人族の近くに住めば、南の竜は肉にされた親・兄弟・仲間の為、その怒りや憎しみ・恨みをぶつけてしまうでしょう。それゆえ、私の一存で決めるわけには参りません。一度持ち帰り検討した後返答させていただきたいと思います」


「そうだな、急に塒を変える事は不安を呼ぶ、そこはじっくりで構わない。……人族を知れば少しは変わるとは思うが……、そこも焦らなくていい」


「ありがとうございます」


 話が終わり、食事を再開した。

 ふと見れば、ウィリアは考え事をしているのか、食事の手を止め一点を見つめていた。


「何か悩んでるようだが、嫌じゃないなら、お父様に教えて欲しい」


 心配になり、ウィリアの肩にそっと手を置いた。


「うん、嫌じゃないよ。デイハ叔父様たちは、人族が憎いの? ウィリアには優しくしてくれるのに……」


 俯き、少しだけ悲しそうな声音で言うウィリアに、デイハは優しげな声を出して答える。


「南の竜……否、私たちは人族と仲が良くないんだ。理由は、人が私たちを狙い、殺して食べてしまうようになったからだよ……」


「辛いこと聞いて、ごめんなさい」


「いや、気にしなくていい」


「ありがとう。あのね、ウィリアは、デイハ叔父様もリュークさんもこの間あった南の竜さんたちも皆好きなの。それで……、叔父様達は、ご飯どうしてるの? 何も食べてないの?」


 ウィリアは心配するように、問いかける


「好きか、ありがとう。我らは、魔獣を食べる。まぁ、こんな風に料理はできないが……」


 何を言いたいのか思案顔で答えるデイハは、目を眇めウィリアを見詰ている。


「……怒らないで聞いてね。叔父様たちの仲間が、人に食べられることと、叔父様達が魔獣を食べることと、魔獣が人を食べることは、何か違うの?」


「っ、それは、気持ちが違うんだよ。大切な仲間を殺され食べられるのは辛い」


「そっか……、でもウィリアはこう思うの。魔獣にだって、子供もいるかもしれないし、お友達も居るかもしれないって」


 ウィリアの言葉に、誰も何も答えることが出来なかった。それでもウィリアは気にした様子もなく話を続けいく。


「魔獣は、それで辛くないのかな? 命を繋ぐ為に食事をするのは大切なことだって、ウィリアは知ってる。皆、食べないと生きていけない! だから、食べ物は絶対に残さないし、無駄にしないでってお願いしたの。ねぇ、デイハ叔父様たち南の竜だけが、本当に辛いのかな?」


 静かに聴いていた――。大の大人が揃いも揃って、大きく目を開き驚いていた。


 そうなのだ、まだたった10歳のウィリアに悟らせられたのだから、人も竜も魔獣も他の生き物も皆、他の命を奪ってその命を繋いでいるのだ……。我々は、狭い視野に囚われ長い間、ただ恨み言を言うだけの因習に囚われていたのかもしれない。


 デイハ殿もまた、私と同じように考え付いたようだ。その瞳が悠然と物語っている。

 我らは、ウィリアに教えられたのだと……。


「ウィスユリア様……」


 リュークが呟きのようにウィリアの名前を呼んだ。きっとあの日の事を思い出しているのだろう。


「ウィスユリア様、お伺いしたいことがあります」


 セシルが手を挙げウィリアに問いかけていた。


「はい! えっと、どなたさま?」


 言いながら、私の方へ首を傾げてくる。


「南の竜でセシルだ。そう言えば自己紹介がまだだったな……」


 私の言葉を聞いて、慌てたように立ち上がるとセシルは自己紹介を始めた。


「私は、南の竜でセシルといいます。どうぞよろしくお願いいたします」


 ピシっとなりそうなほど綺麗な直角のお辞儀をしてみせた。ウィリアも立ち上がり、フラっとしながら淑女の礼をしてみせ


「北の竜の皆と一緒に暮らしています。ウィスユリアといいます。仲良くして下さいね」


 後ろに花があるのではないかと思う笑顔を見せた。

 呆けた顔をしたセシルにジオールがぶっきら棒に口を開く


「それで、質問があるのだろう?」


「ぁ、そっそうでした。先程の話ですが、何故そう思われたのですか?」


 なるほど! ウィリア自身を確かめているのか、シュベルは目を眇めた。


「だって、皆食べるでしょ?」


 当たり前のように返すウィリア


「確かにそうですが……」


「ん~と。人や竜や魔獣だけじゃなくて、野原に住む動物も、虫も全部、食べなきゃ生きていけないでしょ? 皆、加害者で被害者なんだよ。命を奪って命を繋ぐことは悪いことだとは言えない。確か、食物連鎖って言われる現象だったと思う」


「食物連鎖ですか? どうしてそのような事をご存知なのですか?」


 セシルの問いは、私が今まで、ウィリアに何度も聞こうとして断念した言葉だった。思い返せば、料理やキッチン・メイド服や執事服など沢山ある。だがその度に私は何故かその問いをウィリアに聞くことができなかった。何処かで怯えていたのかも知れない! ウィリアの拒絶を――その考えに自分で驚く! 私でも怯える事があるのだな……。


「えっと、あのね……」


 皆の注目を集めたウィリアは目を泳がせ、視線を逸らした後……拙いと言う顔をしたがそれは直ぐに顔を伏せられたことで見えなくなった。


「セシル、誰にでも秘密のひとつやふたつはある物だ、あまり興味本位でウィスユリア様を困らせるな」


 デイハがウィリアに片目を瞑り、ほんの僅かに口角を上げ、言わなくていいと言わんばかりに頷いた。


「申し訳ありません。つい気になって聞いてしまいました」


 気まずそうにセシルも謝った。


 食事が終わり、皆で紅茶を飲みながら先程のウィリアの言葉を南は南同士で、北は己の頭の中で考えていた、すると、扉がノックされ、メイドが入ってきた。皇王と宰相が訪ねてきたらしい、入室の許可を出すと部屋へ入ってきた。


 デイハが座る場所を、私の正面から右隣のソファーへ変え元の位置に皇王が腰を下ろした。その後軽く挨拶をすませると、今後の話になった。


 話を切り出したのは、宰相だ。


「先程の、爵位のお話はどうなりましたでしょうか?」


「あぁ、その件についてだが、やはり私としては爵位を貰うことには同意するが、南にも理由がある。もうしばらく時間をかけたいと思う」


 私は王として、南も北も同時に守りたいのだ!


「我々が考えた限りですが、現時点で、皆様をお守りする方法と言えば、叙爵しゴーチ連邦一帯を領地として渡す事が最善かと思われます」


 その場を沈黙が支配する……。しばらく、その場で様子を見たが、進展がありそうに無かった為、解散とした。


 デイハ達は、遅くなった事、ウィリアが泊まっていってと言った事で、屋敷に泊まることとなったぁ! ……客間ナイョ……?

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