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竜達の愛娘  作者: ao
第一章 ―王都編―
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お邪魔虫となみだ!

評価・ブックマークをして下さった方ありがとうございます。また、それ以外にこの小説を読んでいただいた方々に心からの感謝を♪お暇なときにでも、感想やレビューを頂けると、泣いて喜びます…(笑

/シュベル


 本日は、散策(デート)である!


 初めての皇都デュセイで皆も楽しそうにはしゃいでいる。私達は今、デュセイ中央にある、ショープス市場に来ている。

 ここは、このアルシッドク皇国で一番物が集まる市場なのだと、近衛兵のマルセイが教えてくれた。彼は気さくでとてもいいやつだった……。帰りになにか土産を買ってやろうと思う。


 何故ここに来たのかは、言わずもかな…ウィリアの希望だからだ!あの子は、こちらの食べ物を知らない。我々の作った肉の丸焼きなどを食べた事はあるのだが、人が作ったものは菓子以外口にしたことがないのだ! それ故に、あの子はここを希望したと私は考えている。


 それにだ、ウィリアは今まで、買い物と言うものをした事がないのだ。これは後々を考えればあの子の為にはならない。【市場で買い物をさせる】と言う建前を語り、他のメンバーに内緒で2人で散策(デート)をするつもりだ……。


「それでは、皆硬貨はもっているな? 集合は、昼の鐘までにはここに戻っていること、遅れれば置いて行くのでそのつもりで頼む」


 各々、頷き返事をしたのを確認して解散となった。


「さて、ウィリア、ここは人が多い、逸れるとやっかいだし、手を繋いでみて回ろう」


 手を差し出すと、ウィリアは素直にその手を握ってくれた。

 今日の服装は、薄い水色に白のラインの入ったワンピース、腰に大きな青のリボン、肩から下がる白い小ぶりな鞄(肩掛けポーチの事です)、頭には塒の竜達の鱗で作った髪留めでとても、可愛らしく纏めている。誘拐されないように気をつけなければ!!

 まぁ、手を出そうとしたら、ためらい無く屠る(ほふる)が……!!


「さて、どこを見ようか?」


「ん~。美味しそうな匂いがします! シュベルお父様」


「では、さっそく食べに行こうか!」


「はい!」


 どこがいいだろうか? ウィリアは小食だ。あまり沢山は入らないだろう。ん~~~悩ましい! そうだ、購入して食べきれない分は、塒の者達に持って帰ればいいではないか! そう考え、近くの露天へ向かった。その露天は、鳥の串焼きを売っている店だった。数人並んでいた為、順番待ちをする。


「シュベルお父様」


「どうした?」


 ウィリアに呼ばれ返事をする。


「えっとですね、私沢山は食べれないから、1本買って半分ずつ食べませんか?」


「なるほど! それはいいな」


「はい! 折角買ったのに食べれないのは作った人に悪いですからっ!」


「そうだな」


 順番がきて店主の親父が、何本か聞いてきたので、先程話し合った通り1本を購入する。受け取った串をウィリアの方へ向けると、「いただきます」と言うと、はむっと食べた。


 その食べ方がまた可愛らしい! 娘がこんなに良いものだとは、今なら300年前のデイハの気持ちが死ぬほどわかる。などと共感しその串の肉を私も食べた。塩の味付け、仄かに柑橘系の香りがアクセントになっている。


「これレモンかなぁ? ハーブソルトかな?」


 と言い、咀嚼している。使われている香辛料が気になっているようだ。


 直ぐに、串の肉はなくなり、次々と違う露天に行っては、2人で食べた。他にも飾りの売っている店や服を売る店なども見てまわった。もちろんウィリアの勉強のために、支払いを覚えさせることも大事だ! 


 鉄貨が一番下の硬貨で順次、銅貨1枚=鉄貨10枚、銀貨1枚=銅貨10枚、金貨1枚=銀貨10枚となる事を忘れず教えた。昼の鐘が近くなり、集合場所へと向かって歩く。今日は満足だ!! 心の中でひとり浮かれていると近くの馬車から、降りてきた執事服の男性に従うように侍女服を着た女性の2人が私達に声をかけてきた。口を開いたのは、男のほうだった。


「失礼ですが、ハーナス卿でお間違いないでしょうか?」


「あぁ、そうだが?」


「もし、お時間ございましたら主人がお話ししたいと申しております。よろしければこちらへお越し願

えませんでしょうか?」


「――?」


 この国で、私の名や存在を知る人族は少ないはずだ……。この者の主人とは誰だろうか?

 探るような私の視線を受けても、執事服の男は涼しい顔で「ご案内いたします」と馬車の方へと手を伸ばす。


 男の誘導に従い、馬車の方へ歩いていくがこのまま行けばウィリアに危険がある可能性を考え、近くに居るかもしれない者へ思念を飛ばす。


《誰か近くにいるか?》


《シュベル様、皆揃っております。いかがされましたかの?》


 ジオールが代表で答えたようだ。


《馬車の主人とやらに、声を掛けられた。しかも私の名まで知っている! 無いとは思うが、ウィリアに危険が迫る可能性もある。直ぐに私の気配を追いここへ来てくれ》


《はっ直ぐにまいります》


 指示を出し終わり、馬車へと到着する。馬車に近づき中を見ると、リーシャ・グラシエ・フォン・アルシッドク皇女が乗っていた。他にもう1人、皇女よりも年上の女が上品な衣を着込み乗っていた。


 執事が馬車を開け、中に誘導するが、私は乗るつもりは無いのでその場で足を止めた。困惑する執事や侍女を余所に馬車の中の人物を見る。


「シュベル様、昨日は共にお茶にお付き合いいただき、大変嬉しかったですわ♪ また、ご一緒できる機会を頂きたいですわ」


 緑の手袋を着けた両手の平を胸の前で組むように合わせ微笑みを見せる。


「……」


「ところで、本日は何をなさっていたのですか?」


 チラリとウィリアに視線を向けた後、小首を傾げ、上目遣いを忘れず聞いてきた。


「ウィリアとこの街の散策にきていたのだ。それに、今まで山奥に居たのでな、折角だから貨幣の使い方を教えていたのだ」


「まぁ、そうなのですか! シュベル様はお優しいのですね。それにしても、ウィリア様はお金の使い方をご存じなかったのねぇ。歳が近いのにそんな事もご存じなかったのですかぁ?」


 くすくすと、明らかにわかり易く馬鹿にしたように笑っていた。誰も声を返さないのをいい事に……!!


「あぁ、そうですわ、宜しければ私が何か買い物を手伝ってさしあげますわ! 計算は難しいですものねぇ? お母様、私が手伝ってあげてもよろしいかしら?」


 そう言って、母親の方を見た。母親は笑うだけで何も言う事はなかった。

 私の顔が今どうなっているかは分らないが、ウィリアを馬鹿にされ笑っていられるほど優しくはない……。ウィリアは答えることなく俯くと私の後ろに周り抱きつき腰に顔を埋めた。


「ウィリア、少しだけ離れてくれないか?じゃないと、ウィリアを抱きしめてあげられない……」


「グスッ」


 ウィリアの手が離れ抱きしめようと振り返った、私の視線の先に、ジオール達が見えた――そして、走ってジオールの下へ向かうウィリアの背中も見えた――何故?


《シュベル様、到着いたしました。遅くなり申し訳ありません》


 いつもの平坦な声でベルンが到着の挨拶をする。


 ウィリアは、ジオールの元へたどり着くと、抱き上げたジオールの首に腕を巻きつけ、肩に顔を埋め抱きついた。


「ウィリア様? 泣いて居るではないか!! どうしたのじゃ!? 誰が、我が愛しき孫を泣かせたのだ……」


 ジオールから怒りに満ちた痛い視線を受け、私は馬車を見ることでその元凶を示す。


《誰が泣かせたのですかな?》


皇女(頭の悪いメス)だ》


《ご説明いただけますか? シュベル様》


 素敵な笑顔でルリアが言う。もちろん、笑っているわけではない!!


《あぁ、かまわんが、何故ジオールなのだ!》


《はっ?》


 馬車に、怒りを向けていたジオールは、突然名指しされ意味が分らないとこちらを向く。


《とにかくだ、ここを離れるべきだな……。これ以上ウィリアを泣かせる事は避けたい》


《確かに!》

 

 シュベルは馬車へ身体を向けると、皇妃に視線を向けた。


「私の連れのものが来たようだ、これで失礼する」


 そう言うと、足早に馬車から離れた。


 そのまま、人通りが少ない場所にある料理屋へと入った。未だ、離れようとしないウィリアをジオールに任せ、馬車での事を話して聞かせた。


 話を聞き終えた、5人はそれぞれの顔に僅かに怒りの表情を乗せていた。もちろん、話をしている私も怒っている。ウィリアの楽しい顔があの皇女(馬鹿なメス)のせいで、泣き顔に変わり挙句、私ではなくジオールに――考えると(はらわた)煮えくり返るようだ!!


 事の経緯を伝えている間に、ウィリアは落ち着いたようだった。顔をあげて、私を上目遣いにみあげると、「ごめんなさい」と謝ってきた。


「どうして、謝るのだ?」


 少し困った顔をウィリアに向け、理由を聞いてみる。


「私のせいで、シュベルお父様に嫌な思いさせちゃったでしょう? ウィリア、もう絶対そんなことしないからだから嫌いにならないで」


 大粒の涙を目に浮かべ、懇願するような口調、小さな両手は硬く握られている。

 ウィリアは、何をそんなに不安になっているのだろうか?この子は悪い事を何もしていない。なのに!! なぜそこまで思いつめているのか? ひとまず先にする事は、ウィリアを安心させてやる事だ!


「大丈夫だ、ウィリア。お父様は嫌いになったりするわけがない!! それどころか、自慢したい位だ!」


 安心できるよう笑って、両手を広げればジオールの側を離れ、すぐさま胸に飛び込んできた。その小さな身体を受け止め抱きしめる。そして、いつものように優しく撫でまわす。そうする事で少しでもウィリアが笑顔になってくれるならそれでいいと思えた。


 その夜、リビングに集まる6人の黒い影――子供には決して見せられないどす黒いオーラを纏った大人達の会議が開かれたのは言うまでも無い……。


少しだけ、ウィリアの転生前の過去が見えるかな?

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