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竜達の愛娘  作者: ao
第五章 ―終章―
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グリンヒルデ王族の末路

残忍な描写があります。

不快に思われる方には申し訳ありませんがご理解よろしくお願いします。

/シュベル


 ベルンへ街の中央に行くよう指示を出し声を大きく響かせる魔法を使った。


「グリンヒルデの国民たちよ。聞け! 

 我ら竜族を無意味に狩り続けるこの国の人族を我らは許さぬ!

 だが、今日これよりこの国の王たる資格を持つ、ガイアス・ピア・デュールと我らは永劫の誓約を交わした。

 それ故、グリンヒルデの王族以外に我らは危害を加えぬ。この国は今日、これより新たな国へと生まれ変わるのだ!

 我らが生きる限り、ガイアス・ピア・デュールは、お前たちを苦しめることも、竜狩りを強制することもしない。

 それは、我ら竜族のみならず、アルシッドク皇国国王、セルスティア王国国王、大神殿の巫女が我らと共に聞いたことだ。

 よって、我らはガイアス・ピア・デュールとその血族が王である限り共にあることをここに約束しよう!」

 

 私の演説を聴いていた、街中にいた民たちは呆然とその言葉を聞き、その後大きな歓声を上げた。街の者たちもまた望んでいたのだということが良くわかる光景だった。

 そこからは、我らの出番ではないと判断を下し、ガイアスへ思念を送る。


《後はそなたたち次第だ》


《はい。必ずや良き国にしてみせましょう!》


《期待している》


 ガイアスの言葉を信じ、その場から空魔法で塒へと戻る。

 ジオール、カシによって塒の広場に降ろされた馬車へと歩み寄り、中にいる人族全てに外へ出るよう伝えれば、ガタガタと身体を震えさせながら降りてくる。

 

《半数は竜体のまま待機せよ》


 思念で皆にそう伝えれば、デイハ、リューク、アルティ、セシルは魔法:擬人化で人の姿となり、憎い相手をこれでもかと睨み見つけている。彼らの無念を晴らさせるためには、命をもって償ってもらうのが一番だと考え、まずは王と思われる肥え太った髭男の髪を掴み、ひとり引き摺りだすとデイハ達の前へと差し出した。


「お前がグリンヒルデの王で間違いないな?」

 

 そう問いかたが、返事はない。振るえ足の間から漏らしたのか異様な匂いが鼻に届き、顔を顰めさせられた。

 その姿を見ていたデイハが、グリンヒルデの王の首に着いたブローチを毟り取るように奪い、王妃と思われる女の耳や手、腰、ドレスの装飾を次々と毟り取ると、リューク、アルティも同様に、後にいる男たちの総則品を乱暴に剥いで行った。


「我らの同胞だったものの鱗は、お前たちにとって装飾品か……」


「っ!!」


 デイハが怒りを滲ませた声音で言えば、王たちは歯を鳴らし怯えきった表情を見せる。

 バキっと音が鳴るほど握り締められたブローチは、その台座を粉砕され鱗のみが手に残った。

 物悲しそうな表情を浮かべ見つめていたデイハは、ギュッと鱗を握り締めるとその拳を憎き相手へと叩きつける。

 顔を変形させ、歯が数本折れたのか口から跳ぶように吐き出されると、身体ごと広場の端まで弾き飛んだ。

 

「ふぅーふぅー」


 飛んだ髭の男を仲間が爪で掴み上げ、物でも投げるように抛ると孤を描いてこちらへと戻ってくる。

 ドスッ 重そうな音が鳴り戻った男を見れば、ピクピクと痙攣している。静かにアルティが歩み寄り、彼の胸倉を掴むとその身体を持ち上げる。


「てめーは、俺の親父を殺した! これで漸く仇を漸く討てる!」


 空を見上げ瞑目し、瞳を開けると憎き仇へと視線をむけた。

 右手でグリンヒルデの王と思われる男の、胸元に尖った爪先を突き刺すよう腕で貫いた。

 ピクっと震え、そのまま王と思われる男は赤い液体を流し動かなくなった。

 屍を投げ捨てるよう、抛ったアルティが下がる。


「さて次じゃの……」


 そう言って、首をコキコキ鳴らして前にでるのはジオールだ。

 第3王子の方へと歩みを進め、無い首を引っつかむと怒気をこめた視線を向ける。


「お前は欲が過ぎたのじゃ。私の孫に……我らが王竜の番に手を出そうとした!

 それは万死に値する行為じゃのぅ~。違うか?」


「ひぐぅっ……」


 閉じているようにしか見えない双眸から涙を流す、第3王子に対しジオールはその怒りを余計に募らせたようだった。


「お前はウィリア様に対し何をした? 嫌がる孫に何をしたのじゃ!」


「ぐぐっ……!」


「許さぬ。あの世でその生き様を悔いるのじゃ!」


 そう言葉を発し、ジオールは容赦なくその首を締め上げた。息が出来ない苦しさから手足をバタつかせ必死に両手を使い締める手を掴みもがく第3王子を助けるものはいなかった。

 暫しの沈黙が流れ、第3王子の手足が力を失いダラリ垂れ下がる。

 ジオールは、確実に殺すため魔法でその首を切り飛ばし、首の方へ身体を投げ飛ばすと火魔法で灰へと変えた。


「我らに情けを期待するな?」


 残る人族に視線を向けたジオールが、あざ笑うかのようにそう告げると、溜まらず従者と思しき男が逃げ出そうと走り出す。それを捕らえたのは、竜体のベルンだった。

 前足の爪で従者の男を摘まみあげ、私の方へと投げて寄越すとフーンと鼻を鳴らした。


 ドサッと落ちた男を前に、私はゆっくりと歩み寄る。


「そなたがオーカスか?」


「ちっ、違う……わ、わたしは、たっ、ただ……」


「オーカスではないと?」


「そっ、それは……」


 認めようとしない男の目を覗き込めば、その眼球が酷く揺れていた。


「もう一度聞くぞ? オーカスはお前か?」


「ヒッ!」


 後一歩のところまで近づいた私に怯え、動揺を見せる定まらない視線に、オーカスで間違いないと確信を得る。無言で見つめ、風魔法を使いその手足を切り落とし、足を使って跳ね飛ばす。


「ぎゃああああああああああああああ」


 痛みと自身の身体から流れる血をみたオーカスは、耳障りな悲鳴を上げた。


「この程度で泣くな。私の愛しい番はこの痛みよりも更に酷く心を痛めたのだ。

 お前の手足程度の痛みで済むはずがなかろう?」


 不快感を露にしつつ、オーカスへウィリアの心がいかに傷付いたかを説くも、正気を失った彼には何も響いていないようだった。


「ふむ。ベルンすまんが、これを森に捨ててこい。生きたまま獣魔に食われるのも良かろう。

 あぁ、それと底に落ちている肉も一緒に獣魔の餌にしておけ。

 それと、カシ。残りを連れ皇王の元へ向かい、ガイアスに身柄を全て渡しておいて欲しい」


「「御意」」


 殺すよりも、更に酷く奴の心が壊れればいい。そう考え森へ捨てることを告げてやる。

 ベルンにそう頼み、飛び立つベルン。空魔法を使い残った王族と消えたカシを見送り、私の復讐は終わりを迎えた。

 カシが連れて行った二人の王族と現在、皇王に囚われている第2王子とその従者たちを含め、全てをガイアスに任せる約束となっている。


《皆、苦労をかけた。ウィリアが目覚めた暁には、皆で宴を開こうではないか!》


 私の思念が届くと同時に、皆が歓声の雄たけびを上げ久方振りの平和が訪れた。屋敷へと戻り、ウィリアの部屋を訪ねようとすれば、カシリアとルリアに捕まり風呂へと抛りこまれる。

 血に汚れたままウィリアに会うつもりかと言われ自身の身体を見てみれば、手足や顔にまでそれが着いていた。


 風呂を済ませ、すっきりとしたところでルリアから、届いていた物を渡され中身を確認する。

 それを魔法:個人箱へと仕舞い、急ぎウィリアの部屋を訪ねれば、ウィリアの側にいた皆がこちらを振り返り労いのつもりか頭を下げ、部屋を後にした。


 たった数時間しか離れていないのに、遥かなる時を離れて過ごしたような気分になる。

 そっと彼女の髪へ触れ、耳へと指を伸ばしシュハニベルの耳飾りを外した――。

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