68話
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「……マスター、辛そうだったわね」
「ええ、ですが必要な事です」
あたしの言葉にパステルが淡々と返してくる。だけど、その表情はとても辛そうだ。自分では必要と解かっていても、マスターに対して判断を下すのはきついのだろう。
今、マスターに必要なのはとにかく進む事だ。マスターは、強さに関してどこか諦めていた所があった。何がそう考えさせているのか、あたしには解からない。
何かあった時の辛い役目は、パステルに任せてしまっている。いつもあたし達は、パステルに甘えてる……。あたしも昔1度だけやった事があったけど、正直な所もうやりたいとは思わない。
「気持ちを切り替えて行きましょう。ボス戦ですから、一瞬の油断が命取りになります」
「うむ。主にはコクが付いておる。問題はないじゃろう」
パステルがパッと真面目な表情に切り替える。まだ、ここに来てから浅いからか、リムはコクの事を信用している様だ。
あたしからしてみたら、そっちの方が心配なのよね。無茶な事をしなければ良いんだけど……。
「では、入りましょう。戦い方は先程言った通りにします。前衛と後衛が遠く離れるので、細かい判断は各自お任せします」
「あ、パステル。合成魔法は使わないの?」
「合成魔法は威力は高いのですが、魔力の消費を考えると長期戦向けではありません。上位の魔法を使った方が効率が良いでしょう」
あたしがパステルに聞くとその様な返答が返ってきた。どうやら合成魔法は使わないらしい。
パステルならまだしも、あたしの魔力では1度使った後にポーションを飲んで回復しても魔力疲れは完全に抜けない。
後の行動が遅くなるくらいなら、最初から長期戦を想定してゆっくりとダメージを与えた方が良いのだろう。
ちなみに、リムとパステルの合成魔法はまだ研究段階なんだそうだ。暗黒魔法と風の魔法の相性以前に、あたしたちには魔族専用とも言える暗黒魔法の知識が全く無い。それらを学ぶ所から始める必要があるのだ。
マスターからスキルを貰えば、スムーズに研究に入れるかもしれない。でも、あたし達はそれを望まなかった。お互いに知識を教え合う事は、コミュニケーションとして成り立つ。リムは使い魔になってから日が浅い。
自分自身の役目を持てるというのは、思った以上に精神の安定として効果があるのだ。それをマスターから説明された時、あたし達はそれに同意した。
パステルがボス部屋に続く扉を開ける。それは、重苦しい音を立てながら開いていく。部屋に入ると魔力感知が反応する。部屋の中央に大きな魔力がある。
あたし達はお互いに無言で頷き合い、陣形を整える。陣形といってもネクとティアが前衛、あたし達は後ろに立つだけだ。いや、あたしだけは空中に飛んでいく。
天井近くまで飛び上がると、そこから魔力反応があった所を見る。そこには黒い何かが見えた。
確か、ボスはスカルドラゴンと言っていたはずだ。ドラゴンというくらいだし、巨体だと思うのだけど……相手の姿が見えない。そもそも相手は骨のはずなのに黒いというのは、何かおかしい気がする。
「パステル! 何か変よ」
「変……ですか? ネク、ティア戻ってきてください」
ボス部屋の特徴として、こちらから何かしらのアクションをしないと戦闘が始まらないケースが多い。あたしは、パステルの隣まで飛んで行き、状況を伝える。
黒い何かが相手である事、そもそも巨大な何かではない事。
「おかしいですね。真っ白い骨のドラゴンと聞いていたのですが……5階層のこの迷宮はボスが違うのでしょうか」
『どちらにしても倒さない事には出られないよ。臨機応変に行動するしか無さそうだね』
そういえば、5階層以降の闇と墓の迷宮の情報は少ないと書いてあった気がする。そのせいでユニークモンスターに関する情報が無く、マスターがあんな状態になってしまったのだ。
そう考えれば、情報と違っていてもおかしくはない。でも、ドラゴンから小型の何かに変わるというのは違いすぎの様な気がする。
「タリス、速度上昇の強化魔法をお願いします。ネクとティアは、最初は様子見をしながら牽制してください。後衛は、相手の行動パターンがある程度読めるまで観察です」
「それが良いかも知れないわね。どんな攻撃をしてくるか解からない状況で詠唱なんて出来ないもの」
パステルの指示に同意する。詠唱をしながら歩けるのはパステルだけだ。中断して避けるとしても、その判断は咄嗟に出来るものじゃない。
とりあえず、動きの早いネクとティアが戦う事になった。あたし達は後ろで観察だ。攻撃出来そうなら参加、出来なくても神聖魔法での回復や強化魔法を使う事は出来る。
全員でボスの近くまで歩いていく。次第にその輪郭が見えてきた。ボスはドラゴンなどではなく、黒いモヤの様な物を身に纏った人だった。
人間と同じ様な体格だったが、頭からは角が生えており、普通の人間とは違う事が窺える。
「魔族でしょうか。見るのは初めてですが……」
「うん、だけど……何か嫌な予感がする……」
パステルとティアは、あの存在が魔族であると思っている様だ。あたしは魔族どころか、ここに来るまで人間すら見た事なかった。さっぱり見当が付かない。
そんな事を考えていると、ネクから変な気配が漂ってくる。何だろう? 今までネクがこんな雰囲気を出す事はなかったんだけど……。
「それじゃ、行く。援護をお願い」
「強化魔法をかけるわよ。ちょっと待ってね……って、え?」
ティアに速度上昇の魔法をかける様に言われて、詠唱を始めようとした矢先、ネクが手でそれを制してきた。
「ネク?」
『見覚えがあるんだ。あれ相手に接近戦は危険だよ』
ネクは紙にそう書いて見せてくる。見覚えがある魔族という事は、ネクの過去を教えてくれた時に出てきたあの魔族なんだろうか。
だとしたら、これはネクの仇討ちであると同時に再戦の機会なのだ。
「なるほど……という事は、あの黒い霧の様なモノは周りの物を腐らせるのでしょうか。だとしたら接近は危険ですね」
「腐食の魔王。確か、初代魔王がそう言われていたはず」
周囲の物を腐らせていく魔王。ネクの話を聞いたティアがそう思い至ったようだ。魔王って言われるくらいだし、強いんだろうなぁ……。
リムもヴァンパイアだし、分類は魔族になる。もしかしたら、そういう知識とか持っていないのだろうか。
リムの方を見ると目が合った。そして、笑顔を返された。ああ、あれは何も考えていない顔だ。
「腐食……ティア。何か知っている事があったら教えて下さい」
「吟遊詩人が語っていた物語くらいしか知らないけど……」
パステルが少しでも情報が欲しいのか、ティアに聞いている。ティア自身もそこまで詳しくないようだ。
あたし達は、持ちうる情報を集めて考える。魔王(仮)は、こちらの行動を我関せずとばかりに虚空を見ている。
ネク自身も見た事がある、程度らしい。ネクの生きていた時代の魔王らしいけど、その姿を現すことは滅多になかったんだそうだ。
吟遊詩人の英雄譚では、クレメンスという騎士が率いる騎士団が魔王を討伐するという話だった。
魔王城での戦いでは、魔王やその右腕だった黒い騎士との戦いを熱く語っていたんだそうだ。
それによると、魔王は周囲を腐らせる霧を出せるらしいが、生命力を消費するらしい。
つまり、ダメージを与えていけば自然に消えていくとか。
『それで、そのクレメンス騎士団は魔王を倒した後どうなったの?』
「そこで話はおしまい。その後は何も語られなかった」
『そう……なんだ。ありがとう』
ネクは紙に書いた文字を見せると、少し俯いていた。過去の仲間達がどうなったか知りたかったのだろう。
自分自身は死んで終わりでも、仲間達のその後は続いているのだ。
「ネク、気持ちは解かりますが、今はボス部屋の中です。切り替えましょう」
パステルがそう言うと、ネクが頷いて答えた。あ、そういえば、ボスの部屋の中だっけ。
あの魔王(仮)が大人しいからすっかり忘れてた。
「取り敢えず、あの魔王の霧はダメージの蓄積によって消える可能性が出てきましたね。ティア以外は全員で遠距離攻撃をします。ティアは、相手が攻撃してきた時の私たちの護衛をお願いします」
「うん、頑張る」
作戦の変更は、接近戦をなくして遠距離に変えただけだ。スカルドラゴンだとしても魔法が主体だったのだから、そこまで大きな変化はない。
あたし達は、魔法を詠唱して行く。それでもボスは余裕なのか、何もしてくる気配がなかった。
神聖魔法より、上位になった古代魔法の方が威力が高い。相手は魔族であってアンデッドではない。神聖魔法が特に効く訳じゃない。
詠唱の完了をお互いの顔を見て確認すると、一斉に魔法を解き放った。
あたしとパステルが使ったのは、風を圧縮し磁場を形成。それを撃ち出すという、構造自体は単純であると同時に高威力の魔法だ。
風じゃなくて雷属性じゃないか? とか初めて使った時には思ったのだけど、分類は風らしい。
ネクは光の矢を5本同時に撃ち出す。リムは上位が使えない為、下位の炎の矢だ。中位を詠唱すればもっと威力があるだろうけど、10分近くかかる詠唱を待つ気にはなれない。
全ての魔法が吸い込まれるように魔王(仮)に向かって行く。奴は余裕なのか避けようともしない。魔法が着弾した瞬間、とてつもない量の光が溢れて大爆発が起きた。
これは目に悪い。使い所を考えないと目が焼けそうだ。
「……やったの?」
さすがにこれだけの魔法を直撃させたんだ。倒されていなかったとしても、相当なダメージに繋がったと思う。
むしろ、あたし達がこんな魔法を食らったら即死以外ないと思う。
「いえ……立っていますね」
「うむ。この程度で倒れるほど魔王も柔ではないじゃろ」
パステルが姿を確認し、リムが少し楽しそうに言っている。いや、あれでこの程度と言われても……。
とは言え、曲がりなりにも迷宮のボスだ。魔法1発で倒れるほど簡単にはいかないのだろう。そう思って魔王(仮)を見ると、闇が晴れていた。
「えーと……あれって、腐食は終了って事?」
「かもしれません。一応、遠距離攻撃は続けましょう。ネク、ティア、防衛を頼みます」
魔王(仮)もさすがに攻撃されたからか、魔法の詠唱を始める。あたし達も負けずと詠唱し始めた。魔法同士の対決。だけど、あたし達には前衛がいる。
あっちみたいに防御せずに魔法を直撃される事はない。
魔王(仮)から闇の矢が数本飛んで来る。ネクが光の盾を作り出し、それを防いでいく。それに漏れたものは、ティアが剣で破壊し無効化して行く。
どう考えても魔術師同士の戦いは数の勝負だ。相手が1人しかいないのは、設定ミスとしか言い様がない。もしくは、あの腐食の霧で知らずに突っ込んできた人を一掃する予定だったのかも知れない。
暫く魔法の攻防を続ける。いや、ある意味一方的な攻撃だろう。あちらの攻撃は全て防がれ、こちらの攻撃は全て被弾である。これは酷い。
次第に魔王(仮)の攻撃が止んで行く。そろそろ打ち止めなのだろうか。最後にリムの炎の矢が突き刺さると魔王(仮)はそのまま倒れていく。
呆気ない……これって本当に魔王なのだろうか。ちょっと疑わしい。
「……起き上がりませんね」
「どうしよう……」
倒れたままの魔王(笑)は倒れたまま起き上がる気配がない。さすがにこのまま終わりなんて事はないわよね?
すると、その姿が粒子になって消滅して行く。
「終わっちゃった……の?」
「そうみたいですね。あちらに直通ゲートが発生しています」
パステルが指を差す方向を見るとそこには光の柱が立っていた。マスターが居ないから倒したかどうか判断し難い。
こうして、呆気なさ過ぎるボス戦は終了したのだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「スズキさん。そろそろ休まないと」
「……ハァハァ……そう……だな」
コクに声を掛けられて俺は素振りを止める。どれくらいの時間振り続けていたのかは解からない。
コクが水の入ったコップを差し出してくる。俺はそれを受け取ると一気に飲み干した。こういう気遣いは嬉しい。
「ありがとう。見ていて変な所はなかったか?」
「専門家じゃないから細かい所は判断出来ないけど、少なくとも腰は引けていなかったよ」
「そうか……」
あの鎧で剣を振るイメージは正常に体に染み付いてくれている様だ。これを何度も繰り返せば、動きもどうにか治りそうではある。
後は、実際に戦闘を行って耐えられるかだが……これは1日でどうにかなる事ではないだろう。何度も積み重ねて慣れていくしかない。
もう恥じて仲間に頼らないなんて事はしない。今の俺には這い蹲りながら強くなる必要があるんだ。
「それより、ススキさん。剣が軽くない?」
「……軽い? いつもと変わらない気がするんだが……」
訓練用の剣は、刃が引いてあるだけで実際の剣と同じ重量に調整されている。軽過ぎては、訓練として役に立たないのだ。
実際、今回素振りに使っていた剣もいつも使っている剣と同じ重量のはずだ。
「ううん、そうじゃなくて、いつもの剣が軽くないかなって事。スズキさんは力があるんだからもっと大きな剣はどうかな?」
「これより重い剣か……考えた事もなかったな……」
剣のサイズは最初からあったロングソードと同じだ。使い慣れた長さや重量だからと、コクにはその形で作って貰っていた。
以前より、レベルも剣術のスキルも上がっている。もしかしたら、武器をもう少し考えてみる必要があるのかも知れない。
「それじゃ、これを使ってみてよ」
「これは……でかいな」
コクがアイテムボックスから取り出したのは、180cmはありそうな両手剣だ。盾を使うスタイルなのだから、そんな剣をどうしろと言うのだろうか。さすがに盾を捨てる気はないぞ。
「これを片手で使ってみてよ」
「……マジかよ……どう考えても……ん?」
あろう事か、コクがそんな事を言ってきた。見た感じでは、今までの片手剣の倍以上の重量がありそうだ。
受け取りながら片手で受け取ってみる。……思ったより軽い?
「見た目より軽いな。これはどうなっているんだ?」
「ちょっとした細工をね。刃引きしていないから気を付けてね」
どうやら練習用ではなく、コクが作った剣だった様だ。また変な機構が内蔵されてそうで怖いが、使えるのなら使ってみたい。
それを片手で振り下ろしてみる。重量はかなり増えているが、問題はない。いや、むしろ丁度良い重さだ。以前の武器よりも遥かに使い易い。
「これは良いな。長さに慣れる必要はありそうだが、重さは問題なさそうだ」
「でしょ。スズキさんの腕力を考慮して作ってみたんだ。それでね、ここを押すと……」
俺の言葉を聞くと、コクは笑顔になって走り寄って来る。そして剣の取っ手に付いていたボタンを押す。
ガコンという音と共に剣の刀身が中央から2つに分かれて広がる。そして、その中心には銃身が現れた。
取っ手の部分もまたトリガーの様な物が現れており、これを使って撃てという事なんだろうか。
「また随分と面白い武器を作ったな」
「以前ティアが使ったランスの構造を応用してみたんだ。アレみたいに威力はないけど、遠距離攻撃も出来るようになるし一石二鳥かなってね」
どうやらコクは雷龍に使った武器を改良したらしい。中に空洞が多かったから重量が軽かったのだろうか。
いや、以前のランスは部品の1つ1つに軽量化の付与をしていたはずだ。そういう意味でも金属のみで作った武器より軽いのだろう。
「壁に向かって撃って見てよ。弾は10発しか入らなかったけど、銃身が熱くなる事もないし全部撃てると思うよ」
「解かった。撃つから少し離れてくれ」
俺は剣を片手で構えると先端を壁に向ける。そしてトリガーを引くと反動と共に弾丸が撃ち出された。それは壁にぶつかると煙を立てながら壁に張り付いていた。
壁まで走り寄ってみて確認をしてみる。壁を破壊するほどの威力は無いようだが、長く煙を出し続けていたという事は、かなりの摩擦が発生していたのではないだろうか。
「やっぱり、この壁は壊せないみたいだね。回転を強く加えてみたんだけど、もっと改良の余地はありそう」
「いや、十分だろ。生物にこれを使ったら貫通すると思うぞ」
そもそもコクは何を相手にする事を想定しているのだろうか。このままでも、十分強い気がする。その内、迷宮を破壊しながら探索とかやりそうで怖いんだが。
「ともかく、その武器で良いかな?」
「ああ、剣としても良さそうだ。弾倉は交換出来ないのか?」
「内蔵型だから無理かな」
さすがにそこまで上手くは出来ていないようだ。下手に作ると剣としての機能に障害が出てしまうのかも知れない。
あくまでメインは剣で、銃の部分は副次的な扱いなのだろう。
「コク、ありがとう」
「うん……僕では戦闘を教える事は出来ないけど、スズキさんの力になりたかったからね」
コクは俺を見上げながら言ってくる。コクにも……いや、皆には凄く心配をかけていたな。
「でも、良かったよ。あっちの薬を使わなくて済みそうだ」
「……薬?」
何だろう……凄く嫌な響きだ。コクがそう言いながらアイテムボックスから薬品を取り出した。そしてそれを壁に投げ付ける。
瓶が割れて中の液体が零れる。そして地面に落ちると白い煙を上げながら蒸発して行く。
「……コク? それはなんだ?」
「えっとね。ショックで一時的に記憶を消す薬品……かな」
どんなショックを受けるんですかね? どう考えてもやばい代物だ。俺が進めそうになかったら、それを使うつもりだったんだろうか。
そう考えると背筋に悪寒が走る。使われなくて、前向きに考えられるようになってよかった……。
「大丈夫だよ。体には少ししか副作用がないから」
「そ、そうか。なら安心だな!」
俺は少しという言葉をスルーし、笑顔になって答える。コクのマッドっぷりが、どんどんやばい方向に行っている気がする。
このまま進ませても大丈夫なのかね。
*5階層のボスが倒れました。6階層が開放されます。この拠点からこの部屋への直通ゲートが開放されます。また、製品の追加とプレイヤーのスキル枠が5つ追加されました*
コクと一緒に休憩をしていると、そんな文章が流れる。どうやら皆はボスを倒してくれたようだ。
俺がいなくても大丈夫、なんて事は考えない。俺が必要だとそのうち言わせてやる。それくらいに思っておこう。
「……ん? スキル枠の追加?」
「どうしたの? スズキさん」
文章の最後の方を見ると、プレイヤーのスキル枠が追加されたと書いてある。今までカツカツだっただけにこれは嬉しい。
5階層までクリアした特典なのだろうか。
「皆がボスを倒したみたいだから出迎えに行こうか」
「あ、そうなんだ。新しい鉱物が楽しみだなぁ」
俺とコクは別の事を考えながら訓練所を出て行く。
コクは、新たな鉱物の事を。
俺は、新しく覚えるスキルを何にしようか考えながら。




