60話
「あれ、広間に誰も居ないのか」
「ほう、これが生活している拠点かの」
広間に入ると誰もいない。マップを開いて所在地を確認してみると、コク以外は全員コタツの所に居る様だ。コクは相変わらず地下である。
俺は、リムを促してコタツの部屋に向かう。そして扉を開けると……そこは異空間だった。
「えーと……何だこれ」
「あ、マスター。パステルが荒れちゃってねー。余程巨乳が駄目みたいよ」
「主様ぁ……そんなにあんな脂肪の塊が良いんですかぁ……」
パステルが、まるで酒を飲んで酔っ払ったような絡み方をしてきた。いや……これは……。
「酒くさっ。パステル、酒を飲んだのか?」
「はいぃ……飲ませて頂きましたぁ……」
パステルは、間延びのある返事をしてきた。周りのメンバーを見る限り、酒を飲んでいるのはパステルだけのようだ。
この場にコクが居たら酒宴の場と化していただろう。地下に居てくれて助かった。
俺自身が酒を好きな事もあり、DPに余裕が出来た時に買い足している。使い魔の皆にも飲み過ぎない程度なら飲んでも良いとは言ってあったのだが……。
「パステル程々にしておけ。新しいメンバーが加わるから、ちゃんと座れ」
「うう……巨乳の人ですか……」
今度はコタツのテーブルに突っ伏して言って来る。いつも凛々しいだけにこういうギャップはありだな。
演じているのではなく、素でこういう姿になるのは本当に珍しい。
「ほう、見た事のない酒じゃな。飲んでみても良いか?」
「後にしろ。それで、こいつが新しい使い魔のリムだ」
「うむ。新しく主の使い魔になったリムじゃ。宜しく頼むぞ」
皆はリムを見て驚く。あの迷宮での姿と一致しないからだろう。俺だって驚いたよ。
ティアもパステルから一通り聞いていたと思う。迷宮って不思議だなぁ……。
「マスター、巨乳の人はどこに?」
「巨乳は夢に消えたよ。人の夢と書いて儚いって読むんだ……」
「なにそれ」
タリスの質問にそう答えたのだが、どうやら理解はしてくれなかったようだ。
表示詐欺として文句を言いたいくらいだ。掲示板の内容でもヴァンパイアは巨乳って書いてあったのにな。
「ともかく、色々と教えてやってくれ。俺は調べたい事があるからPCの所に居るよ」
「うん、解かった」
タリスに頼むと俺はPCの所まで移動する。パステルは酔い潰れているし、変な事にはならないだろう。
タリスが暴走してもネクとティアなら止めてくれると信じている。
「さて、ステータス確認か。見た目は大分違ったけど、テイムを使った限りでは変異種では無さそうなんだよな」
独り言を呟きながらPCを起動する。メニュー画面からリムのステータスを開くとこんな感じだった。
名前:リム
性別:女
種族:ハーフヴァンパイアLV1
職業:メイジ
種族適正
吸血衝動:血を吸わないと暴走する。
魔法特性:魔法のスキル熟練度が上がり易い
飛行:空を飛べる
聖属性弱化:聖属性に弱い
魅了の魔眼:目が合った者に弱い催眠効果を与える
職スキル
魔力の泉、魔法適正
スキル
なし
装備
武器:なし
盾 :なし
頭 :なし
胴 :布のシャツ
足 :布のスリッパ
装飾:なし
「なるほど、魅了の魔眼か」
先程牢屋で使われたのはこれらしい。確かに意思を奪ったりするほど、強いものではなかった。
恐らくは、ちょっと意識を逸らす程度のモノなのだろう。交渉を有利に進める上ではかなり有効そうだ。
ただ、その後すぐに使用を止めたし、気が付かれて抵抗をされたら効果が無いくらい弱そうではある。
吸血鬼が血を吸った後に誤魔化す程度の技術なのだろう。
「メイジって事は魔法スキルか。後衛だし、感知スキルも付けるかな」
確か、暗黒魔法が得意ってどこかに書いてあった気がする。武器は杖術、古代と暗黒、生命と魔力感知スキルを購入する。
一気にスキルを覚えさせても混乱しそうだし、これくらいで良いか。
鑑定台に出現したスクロールを取ると調べ事の為に掲示板を開いた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
使い魔スレpart45
890 名前:名無しさん
そういえばさ
巨大蟻とか昆虫系を使い魔にするとどうなるの?
891 名前:名無しさん
言いたい事は解かるが普通だぞ
突然齧られたりはしない
892 名前:名無しさん
そうなのか
てっきり、油断をしたら拠点内で食われるくらいの
大惨事を予想していたのに
893 名前:名無しさん
そんな殺伐とした拠点は嫌だよ
食われそうだったら解放して諦めるだろ
894 名前:名無しさん
むしろ、そういう生物の方が従順だぞ
無駄に知能がある訳じゃないから強者というか主に従う
どんな命令でもな
895 名前:名無しさん
どんな命令でも・・・だと・・・
あ、昆虫だっけか
896 名前:名無しさん
お前、今何と勘違いした
897 名前:名無しさん
でも、ゾンビ娘なら知能なさそうだし・・・
898 名前:名無しさん
グロいわ!
後、臭い
899 名前:名無しさん
ゾンビって基本人間ばかりだよな
他の種族と違って使い魔にすると多種多様な体型だぞ
900 名前:名無しさん
ああ、エルフとか獣人って無駄な脂肪がないからなぁ・・・
特にエルフは絶望的
901 名前:名無しさん
敢えて何がとは言わないけど
本人の前では言わないように
結構気にしているみたいだよ
902 名前:名無しさん
それでも・・・
それでも男はおっぱいを求めてしまうんだよ!!
903 名前:名無しさん
そうかい
なら、天使かヴァンパイアでも使い魔にするんだな
基本的にでかいのが多いらしいし
904 名前:名無しさん
基本的に?
全員でかいんじゃないのか
905 名前:名無しさん
ああ、ハーフだとその特性が生かされない事があるらしいぞ
本来なら20歳くらいで止まる成長が高齢だったり幼い年齢で止まる事があるそうだ
906 名前:名無しさん
へー、ハーフなんているのか
ハッ!?
つまり、ハーフは熟女とか幼女が居るって事か!!
907 名前:名無しさん
そこまで極端なのは稀だけどな
ハーフで更に年齢まで狙うと相当数をこなさないと無理
908 名前:名無しさん
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
909 名前:名無しさん
熟女なら割と引き当てられるけど
幼女は滅多に居ないだろ
一応、年齢は一定以上の子しか選出されないみたいだし
910 名前:名無しさん
ロリコンは許容されるけどペドは無理って事なのか
世知辛い世の中やね・・・
911 名前:名無しさん
ロリコンもどうなんだろう・・・
あ、でも15前後はロリの範囲か
912 名前:名無しさん
やっぱりファンタジーらしく15歳で成人とかなのかね
だとしたら、良い世界だ
913 名前:名無しさん
それだけで良い世界とか・・・
そういう嗜好の人にはそうかも知れないけどさ
914 名前:名無しさん
あ、でも、年齢が基準ならハーフの子って
下手したら幼女のまま容姿が止まるんだよな?
だったら、ロリババァという可能性が・・・
915 名前:名無しさん
あるかも知れないし
ないかも知れない
情報が足りんのよ
916 名前:名無しさん
ハーフが少ないのが悪い!!
917 名前:名無しさん
悪いのか、それ
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「なるほど、ハーフか……」
掲示板の過去ログを漁りどうにか見つけ出した。ハーフだと年齢が若かったり、年老いた状態で止まる事があるらしい。
リムの場合は、若い頃に止まってしまったのだろう。ヴァンパイアは基本巨乳らしいし。
逆に老人じゃなかった事を喜ぶとしよう。さすがに、ご老体に迷宮探索を頼むのは無理だ。使い魔にして介護生活を強いられるのは勘弁願いたい。
実際に高齢なのか、本当に若いのかは解からない。こればかりは、記憶を取り戻して聞いてみるしかないだろう。
俺は、コクにリムの装備を作って貰えるよう伝える為に地下へと下りていった。
「つまり、僕と同じくらいの体格の魔術師用装備で良いんだよね?」
「ああ、そうなる。詳細なデータは、ネクたちが採寸しているだろうし、そっちに聞いてくれ」
地下に下りてコクにリムの装備を注文する。使い魔は成長がないので、一度採寸して作ってしまえば、そのままずっと使えるのは便利だと思う。
逆にプレイヤーは、筋肉が付いたり痩せたりして、体格が変わる事も多いらしい。
「容姿を見ないとデザインは決められないなぁ……。やっぱり似合った衣装の方が良いだろうしね」
「そりゃ、似合っているのが一番良いんだけどさ。普通の装備で良いんだぞ?」
「そういう訳にもいかないよ。その子の魅力を最大限に出したいからね」
コクは、そう言い切った。職人としての拘りなのだろうか。今のダーク鉱の鎧は、全身真っ黒で格好良いのだが、ちょっと痛々しかったりもする。
ファンタジー基準ならありなのかも知れないけど、この防具で街中を歩くのは罰ゲームとして成り立ちそうだ。それくらい恥ずかしい。
「それじゃ、上に行こうか。今、皆に案内して貰っていると思うから、紹介をするよ」
「うん、楽しみだなぁ……ヴァンパイアって見た事なかったんだよね」
コクは笑顔でそう言ってきた。コクの過去の話を聞いた限りだと、ドワーフ以外と会うのは初めてじゃないのかね。
もしかしたら、コクの世界の住人は異種族と出会う機会が極端に低いのかも知れない。ドワーフがそういう種族だっただけかも知れないけど。
「お、おおおおお。これは凄いのじゃ。便利じゃのぅ」
「そう思うわよね。でも、こうしたら……」
「お、お湯が出てきたのじゃ! どんな魔法を使っておるんじゃろう」
広間に続く扉を開けると、風呂の辺りからそんな声が聞こえてくる。
今は水道の説明をしているのだろうか。
「それでね。こうすると……」
「お湯が滝のようじゃ!! っと、タ、タリス何をするんじゃー!!」
風呂場の脱衣所に入る。中からはリムの焦った声が聞こえてきた。
どうせタリスがいつもの様に調子に乗って何かをしたのだろう。
「コク、入らない方が良さそうだな」
「そうだね。入ったら僕たちもずぶ濡れになりそう」
俺とコクは、お互いにそう言って脱衣所から出て行く。何にせよ、仲間に打ち解けているのなら問題は無い。
飲み物を用意してコタツの部屋へと移動するのだった。
「ネクとティアは留守番か。パステルは?」
「寝てる。悪酔いしてしまったみたい」
「……そうか」
ティアは、テレビから目を離さず答えてくる。そこまで熱心に何を見ている……ん……だ?
俺は画面を見て顔が引き攣る。ああ、あれは俺が見てはあかんもんや……。彼氏の浮気のネタとか、2人に手を出した俺が見たら心が痛くなるわ。
しかし、そんなに巨乳は嫌いなのだろうか。ドワーフの時も同じ様な反応していたよな。
ドワーフ男と巨乳。駄目だ。全く繋がらない。一体どんな経験をしたんだよ、パステル。
コタツに入り、持ってきたドクターペッパーに口を付ける。コクは、ネクからリムの寸法を聞いていた。早くもサイズを測ったらしい。
ネクは既に衣類を作っている。あれはどうみても下着なのだが、お子様向けみたいなのを作るのかね。いや、気持ちは解かるけどさ。
テレビをボーっと見ながらゆっくりとした時間を過ごしていると、部屋の扉が開く。そちらの方向を見ると髪の濡れたタリスとリムが入ってきた。
タリスは自分用の服を持っていたのでちゃんと着ているのだが、リムはバスタオルを体に巻いているだけだ。風呂場であれだけはしゃいでいればそうなるよな。
「外に出ると結構冷えるのぅ……」
「リム、ほらこっちだ」
そう言ってコタツ布団を開けて入るように促す。そして、リムはコタツに入ると頭だけを出して、体をすっぽりと入れてしまった。余程寒かったのだろうか。
「暖かいのじゃぁ……」
「それは良かった。リム、これを読んでくれ」
「何じゃ? ふむ……これは便利じゃのぅ」
寛いでいるリムに、スキルのスクロールを渡す。リムは、寝転がりながらそれを読んでスキルを習得していった。
リムは目を閉じて何度も頷いている。スキルの効果や知識を確認しているのだろう。
そんなリムを俺はボーっと眺めていると、ネクが居る方向から布の様な物が飛んできた。
何だろう、そう思ってそれを広げる。パンツだ。パンティーとかショーツとかじゃない。パンツだ。子供っぽいパンツだった。
俺はネクの方を見る。これを俺に被れと言うのだろうか。
『完成したから、リムに穿いて貰って』
ネクがそう書いた文章を見せてくる。どうやら、俺に変態な仮面を装備させるのが目的ではないらしい。普通に考えればそうだよな。
ネクの手には油とかないし、このまま穿かせても衛生的に大丈夫だろう。
「リム、これを穿いてくれ」
「む? 主よ。これは少々変態染みておらぬか?」
「何も言うな。無いよりは良いだろう?」
リムから指摘される。そりゃ、子供用の下着を穿けと言われたら、変な性癖を持っていると思われても仕方がない。恐らく、リムの見た目は少女と言っても問題は無いが、実年齢はそれなりに高いのだろう。会話の内容から、何となく読み取れた。
俺が差し出した下着を受け取ると、リムはコタツの中でゴソゴソと動く。俺はそれを見ないように、アイテムボックスから自分のシャツを取り出した。
先程まで着ていたシャツは、バスタオルだけで出て来た所を見る限り、風呂場で濡らしてしまったのだろう。
「これも着てくれ」
「む……こちらを見ないでくれんか?」
「見ないよ。俺は本当に嫌がることはしない主義だ」
さすがにシャツを着るのはコタツの中では難しいらしい。牢屋では羞恥心のようなモノを出さなかったが、やはり裸を見られるのは恥ずかしいようだ。
「ネク、他の服は時間かかりそうか?」
『そうだね。装飾を考えると結構かかりそうだよ』
「いや、普通の服で良いんだぞ……」
リムの様な綺麗な少女を着飾ってやりたい気持ちは解かる。だが、普段着でゴテゴテした服は生活をし難いだろう。
ネクは少し残念そうにすると、布を取り出した。先程まで手に持っていたシルクではなく、綿に変えたようだし大丈夫だろう。
『色々と構想が浮かんだんだけどね。ある程度普段着を作ったら挑戦するよ』
「そうしてくれ。俺も見てみたいしな」
俺はシャツを着終えたリムを見ながら言う。長い銀髪に綺麗なドレスは良く映えるだろう。
ティアとパステルはそういう衣類に関して、そこまで興味が無いようで残念なのだ。獣人とエルフだからだろうか。
出来れば色々な衣装を着て欲しかったんだけどな。
「さてと、リム。血はどれくらいの頻度であげればいい?」
「うむぅ、10日に1回くらいじゃな。1回目は早く欲しいくらいじゃよ」
「そうか、なら早速飲んで貰うか。どんな感じなのか解からないから、寝室に行こう」
俺とリムは立ち上がる。ネクが、文章を急いで書いている。何か急ぎで伝えたいのだろうか。
『スズキ、リムに変な事をしないようにね』
俺ってとことん信用がないのな……。大丈夫だ。俺はロリコンではない。コクと一緒に居ても大丈夫だったんだ。問題はないさ。
俺はサムズアップをして答える。ネクは呆れたような感情をこちらに向けてきた。あれ? 伝わっていない?
「主、早く頼むのじゃ」
「解かった。それじゃ、行って来るよ」
コタツの部屋から出て寝室へと向かう。タリスとティアはずっとテレビを見ている。変な影響を受けないと良いなぁ……。
「さて、俺はどうすればいいかな?」
「そうじゃな……この高さならベッドの上に座ってくれるだけで大丈夫じゃろう」
「あいよ」
俺はベッドに足を伸ばして座る。端にではなく中央にだ。どんな姿勢で飲むのか解からない以上、全方位から近寄れる位置の方が良いだろう。こぼしてベッドが血塗れになったら困るけどな。
「って、リム。前からなのか?」
「うむ、そうじゃよ。男の血を飲んだ事はないのじゃが、後ろじゃと飲み難そうなんじゃよ」
そう言ってリムは、俺の首に両腕を回すように抱き付いて来る。こういう姿勢はちょっと良くない。もっと小さい子だったら何とも思わないのだが、リムの見た目は14、5歳くらいだ。意識をしていなかったとしても、ちょっと反応してしまいそうだ。
「んっ……こうして……」
「ちょ、何で首を舐めるんだよ。くすぐったいぞ」
「牙を突き立てる時に舐めておくと痛みが無いって聞いた事があるんじゃよ」
「むぅ……」
そう言われては、俺も黙るしかない。かなりくすぐったいが、痛みが無いのならその方が良いだろう。
暫くリムは俺の首を舐めている。その舐めた場所がどんどん熱くなって来る。血がそこに集まりだしているのだろうか。吸血鬼に舐められるとそういう現象が起こるのか……。
「そろそろ良いじゃろ。主、行くぞ」
「ああ、いつでも来てくれ」
そう言ってリムが、俺の首に牙を突き立てる。突き刺さる感触はあるものの、痛みは一切無いようだ。不思議だ。
俺のすぐ横でリムが喉を鳴らしながら血を飲んでいる。結構血が出ていないか? これ。
そんな不安を他所に、リムは牙を首から抜く。そして、先程牙を突き立てた場所を舐め始めた。止血でもされるのだろうか。
「はぁ……これで完了じゃ。今まで血を美味しいなぞ感じた事はなかったのじゃがなぁ……うっ」
「リム、どうした!?」
俺はリムの肩を掴み、その表情を見る。その赤い目は、涙で潤んでおり、口元は唾液が流れている。これは一体……。
「あ、主……これはなんじゃ……体が熱いのじゃぁ……」
「お、俺も吸血鬼の生態なんて解からんぞ……ちょっと調べてくるから、ベッドで寝ていてくれ」
そう言ってリムを寝かせて俺はベッドから降りようとする。だが、リムの手が俺の服を掴む。
そちらの方向を見ると、上気した表情のリムがこちらを見上げて来ていた。やばい、これは……。
「ある……じ……我慢出来ないのじゃぁ……」
リムの口からそんな言葉が漏れる。俺は、その表情……いや、その目から視線を逸らす事が出来ない。まさか、魔眼か!?
牢屋に居る時は、少しの抵抗でどうにかなったのだが、今は解かっていても動く事が出来ない。
もしかしたら、別の要因が混ざってしまっているのだろうか。
俺はロリコンじゃない。俺はロリコンじゃない。ロリコンじゃないんだ。そう念じるように考える。
「あるじぃ……」
リムは四つん這いで這うような姿になってこちらを見上げる。今リムが着ているのは、俺のシャツというだけあってかなりサイズが大きい。
シャツがズレ、その肩があらわになる。俺は、それを見て唾を飲む。自分でも驚くほどの音が鳴った気がする。
俺はロリコンじゃ……いや、そもそもこの法律もない場所で、我慢をする必要はないんじゃないか?
ロリコンでも良いや。




